第6話 ヤンデレ、宝を手にする

「では先にどちらから飲みますか?」


「てか何で1本しか買ってないんだよ?」


「1本しかなくて」


「いっぱいあった。」


「冷たいのがこれしかなくて」


「いっぱいあった。」


「お金が無くて」


「じゃあ俺が代わりに買ってくるわ。」


「無駄遣いは許しません。家計の紐は私が握っているんですから。」


「まず紐を渡した覚えがないけどな?」


いつ渡したかな?絶対渡してないよね。


「それよりどっちが先に飲みますか?先に唾液をつけるかその後に唾液をつけるか。」


「やめて。気持ち悪い表現すんの。」


唾液で表現するな。


「じゃあ俺が先に飲むから。」


「あ、一気に全部飲むとかそんなお茶目なことしたらダメですからね?」


「……………」


くそ。バレてたか。

仕方なく1口レモンジュースを口にする。そして気づく。いや、これ一気飲みムリなタイプのジュースや。レモンすっぱぁ………


「ほら飲め………」


ゴーサインも出してないのにすぐさまレモンジュースを抜き取り口に含む彼女。


「これ………酸っぱいですね?一気には飲めないですね?仕方ないですね?私が持ち帰りましょう。」


「ちょっと待て。持ち帰る?何か変なことに使う気が…」


「あります。」


「堂々と言うな。俺が持って帰って捨て…」


「捨てるなんてもったいない!これは初デートのお土産ですよ?分かってますか?」


「いーや。分かりませんね。あと分かりたくありませんね。」


変態の気持ちは分かりとうない。



「さ、バカなことしてる前にさっさと行くぞ。」


「あ、ちょっと待ってください。私少し用意してくるものがあるので先に行っててください。心配しなくともいき」


「心配はしてない。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る