第5話 ヤンデレ、デートす

「何で家まで知ってんの?」


「ここから徒歩10分ほどのところにあるマンションの一室ですよね。確か783……」


「やっぱりストーカーだろ?」


「いえ、前世の嫁ですから。」


頑なに認めないヤバ女と共に下駄箱へ。


「アンタは1年2組じゃないんだな?」


「1年1組ですね。神様は悲しいことをさせます。」


「神様って………」


「そんなことより大河さん。」


「はい?」


「アンタ、とは何ですか?私には杏という名前があるのに。」


「いきなり下呼びは………」


「上は変わるんですから杏とお呼びください?」


「変わる予定はねーよ!」


無茶苦茶だな、コイツ。

こんな変なヤツが俺の高校生活第1ページに刻まれるのは………やだな………


「あ!」


「何?いきなり?デカイ声で?」


「今気づきました。これって放課後デートと呼ばれるヤツですね!」


「入学式からそれする?」


「これは記念です!あそこのコンビニで何か買いましょう!」


「何で?」


「記念です。」


「何が?」


「記念です。」


「記念って……」


「記念です。」


「もういいや………」


応答するのも疲れた。



「では何を買いましょうか?」


「何をって食い物買えばいいじゃん?それ。そのアイスとか2人で食べれるようになってるし………」


「それじゃ形に残りません。」


「形に?」


何がいいたいんだ?


「やっぱりこれですね。」


「やっぱり……ってそれ。」


彼女が提示してきたのは250mlのレモンジュースだった。

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