第2話 ヤンデレ、説明す

「ちょ、ちょ、ちょっと………涙………大丈夫?」


「すいません………取り乱し………ですがやはり優しいですね。貴方は。流石私の夫となる人。」


「ちょっと待って。夫?結婚?いや、意味が分からないんだけど………」


「これは決まっていることなのです。」


「決まっていること?」


「私の名前は一色 杏と言います。そして私には前世の記憶があります。」


「前世の記憶?」


「江戸時代の農民の女でそこそこ豪勢な過ごしをして子供を3人成していました。私は家の家事ばかりでしたが私には働き者の夫がいました。それが貴方 伊波 大河 なんです。」


「ちょっと待って。俺名乗ってない………」


「名乗らなくても分かります。何故なら私たちは前世で結ばれていたのですから。」


「…………………」


つらつらと喋る杏と名乗る少女。全く見たこともないし知り合いでもない。

一言で表すなら恐怖。恐怖であった。

知らないヤツが自分の名前を知っている。しかも入学式という絶対に以前から知ってないといけない日に。


「さぁ、大河。早く説明は終わりました。では書くものは持ってますか?」


「書くもの?何するんだよ?」


「そりゃ当然。」


胸元から紙を1枚出す。


「婚姻届を出すんです。」


「……………」


ヤバイ。だいぶイカれてる。コイツ。

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