第2話 契約

「契約ですか?」

「そうじゃ。おぬしに我が力を授ける。その代わり、そこにいる女子を救う。これが契約の条件じゃ。」

「そこにいる……え、ええ?」

そんなはずはないだろう?俺は確かに、この手で彼女を、殺したんだぞ?

「久しぶりね、優さん?」

俺は幻でも見ているのだろうか……彼女は死んだはず。というか、自らの手で殺したはず。

「おぬし、ここがどこか分かっておるじゃろう?」

「死後の世界ですよね?」

「そうじゃ。なら、彼女がここにいてもおかしくはないはずじゃろ?」

「それは、そうですね。でも、なぜここに?」

「おぬしに守ってもらうためじゃよ。」

「え?」

「彼女はな、わしの力を持っておるんじゃ。」

「…ふぁ?」

「ふぁ?じゃないわよ。」

「そうじゃぞ~。あの時、殺そうと思えばおぬしのことを一瞬で消し炭にすることだって可能だったはずじゃよ。それなのに、おぬしのことを殺さなかった。それは、本当におぬしのことを愛しているから。違うかのう?」

「はい…」

「シャキッとせんか!男じゃろう⁉」

「はい!」

「それでよい。所でおぬし、現世に戻ってどうする気じゃ?」

「まず現世に戻るってことが意味不明で理解できていないんですが……」

「あー、そうじゃな。悪かった。おぬしには生き返ってもらい、魔獣の根源、鬼を倒してもらう。」

「…おお、マジっすか。」

「そんでもって、このまま生き返らせたらおぬしらは国外追放かその場で斬首じゃろう。だから、地球を異世界とつなげる。」

「何ちゅうことを……」

「あと、異世界をつなげる理由は二つあっての。一つは鬼が異世界にいるから。もう一つは、地球の魔獣は異世界からきているため、異世界とつなげれば現代の魔獣装備を強化することができる。そうすることで、地球の魔獣のせん滅が容易になるのじゃよ。」

「でも、魔獣が異世界からきているならもう異世界とつながっているのでは?」

「それがな、時空のひずみから転移してしまうことが多くてな。安全なゲートでつながっていることはないんじゃ。だから、おぬしらの世界の魔獣討伐隊の近くにゲートを作る。」

「ダイジョブなんですか?」

「ああ。本部の長の前で謎のゲートから出てきたら、異世界に転移したと信じるしかなかろう。」

「そうですが…」

「大丈夫じゃ。ゲートを移動できるのは、おぬしら二人のみにして、本部から特別な存在として認識させる。そして、日本に魔獣装備の材料を提供する代わりに、沙羅を生かしてもらう。という交渉をする。」

「俺が鬼の能力を有した場合、それはどのように説明すれば?」

「それはばらしてはならん。」

「なぜです?」

「鬼神の力を宿す人がいるとなれば、人間は必ずおぬしを捕まえようとするからな。」

「……なるほど。では、鬼神の力とはどんなものなのか伺っても?」

「ああ。基本的に鬼神は圧倒的な身体能力に加え、体に合う特殊能力を持つ。だが、沙羅のように例外があってだな。」

「ええ、私は特殊能力がかなりの数あって、管理が大変なのよ。」

「あの子のように、ごくまれにとんでもない器の子供が生まれるんじゃよ。」

「俺は一体どんな強敵に銃口を向けて立ってたんだろう……」

「まあ、おぬしは醜野目の家系ではないからのう。あまり期待せんほうが良い。」

「そう、ですか。」

「あとは異世界についてじゃ。異世界では、身分証はギルドというところで作ることができる。そこにいってまずは身分証を作り、身分証に血か念を込めるかしてくれ。そうすれば、わしがおぬしらの近くにゲートを開く。」

「わかりました。」

「では、おぬしの鬼神の力のお披露目と行こうかの。



















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