第6話 変わらない日々
それから七月までは、特筆すべきことは少ない。
せいぜい、入部届を馬場に提出した日からやたらと生暖かい目で見られるようになったのと、自然に部長や日並と仲良くなっていったのと、日並が辰也と幼馴染であることを知ったくらいだ。
日並と辰也の幼馴染関係を知ったのは、入部した翌日だったので驚いたからよく覚えている。
四月最後の日に、朝の教室で辰也とこんなやり取りをした。
「そういや、もしかして文芸部に入部した?」
「あぁ、うん。そうだけど……お前の情報網こわいよ」
「いや違うんだって。文芸部に日並っているだろ? 俺、アイツと幼馴染なんだよ。昨日帰り際に偶然あってさ、嬉しそうに話してた」
「……付き合ってんの?」
「お前もそれ言うのか……違うっての……」
因みに、夕飯は結局小百合と一緒に作ることになった。
文芸部は帰宅時間に調整が効くことがわかると、再度夕飯作りの相談を小百合と行った。
その時小百合が「一人で作る」とゴネたのだが、まずは基本を教えると言い聞かせた。
指を切っていたりと心配で仕方がなかったからだ。
しばらくは一緒に作って、小百合に料理の基本を教えることにした。
ちゃんと作れるようになったら、小百合一人に任せようと思っている。
後は一緒に夕飯を作るようになってから、小百合と話す機会が増えた。
中学校はどうだの、俺の部活はどうだの、友達がどうだの。
小百合は俺が夕飯を作る時に話す文芸部のことを、楽しそうに聞いていた。
なんだかんだで、そんな感じの、結局はいつもと変わらない日々だった。
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