第2-2話 ロールプレイは基本
―― 『国立
仰々しい門構えにプレハブの詰め所が見える。自衛隊か機動隊かはわからないがヘルメットを被り盾を持った人たちも多数ウロウロしている。
「カイくん、来たよ! 高校だよって何もないねぇ」
探索者高校は市内から離れた山の近くにかなり広く土地を確保して建設が始まっている。
将来的には併設して研究施設兼用の大学も建設することでダンジョン資源の活用を考えているらしい。
「あなた達は今日の推薦入学者?」
建設中の建物がある方から声を掛けられた。
「あ、はい。
「同じく
「
「ふぇっ、え、
ふらふらと何処かへ行きかけていた朔良も慌てて帰って来た。
「はい、確認しました。それでは試験会場に案内しますね」
防弾ベストっぽい装備を着けた女性に案内されて高校の敷地へと入る。
「
ベータプレイヤーとしてダンジョンに入りモンスターと戦ったりするための学校とのことで、教師側にも戦闘的な実力が必要と考えられたようで、警察や自衛隊、消防庁等から厳選された人員が特例的にベータプレイヤーとして赴任してきているらしい。
「まずはダンジョンに入って『
「あ、わかりますよ。僕はスマホでのRPG系のゲームも良くしますし、要はゲームで言うところの職業やクラスの選択ですよね」
流石にここにいる全員が既に『
「ええ、大体その認識であってます。ベータプレイヤーがダンジョンに入ると『
たどり着いた先はかなり大きめの体育館だった。
体育館の入口には既に数人、知らない中学校の制服を着た男女が待っていた。
「待たせたかな? こっちはここに来る途中で簡単に説明を済ませてるから早速入りましょうか」
弥生先生は大きな扉の前にいた男性と一言、二言言葉を交わした。
扉の両横には機動隊と思われるガッシリとした体格の人達が複数待機しており、物々しい雰囲気もある。
「緊張しなくても大丈夫よ、この中はダンジョンになっているけど、ベータプレイヤーであればどうってこともないから」
ひらひらとお気楽に手を振る先生に対して、扉を開けようとしている隊員とその背後で盾を構えている隊員の顔は強張っていた。
「すみません……この前ニュースでダンジョンに凸した人が怪我って本当なんですか?」
他校の男子生徒がおずおずと尋ねた。
「あぁ、あれね。本当よ。ここに出る最弱のモンスター、と言っても今はその一種類しか出ないのだけど、そいつにボコボコにされて救助されたわね。おかけでこんな風に警備を厳しくしないといけないわ、提出書類の数が増えるわで――」
「ちょっ、隊長!
もう一人の先生らしき男性が愚痴りだす弥生先生を慌てて止める。
「まあ、あなた達ベータプレイヤーは心配しなくても大丈夫よ。『
ニヤリと笑って受験生を見回した。
どうやら個人のステータスパネルを見る方法がないらしいとの情報からベータプレイヤーを自称した受験生や編入狙いの高校生が既にいたらしい。
なお、『
ベータプレイヤーは探索科、または、生産科に所属することになる。
「残念、ベータプレイヤーでないのにダンジョンに入る勇者はいないみたいね。それじゃあベータプレイヤーの皆さん、ようこそ初ダンジョンへ!」
大きく開け放たれた扉の先には芝生の生えたサッカー場が広がっていた。
「……!!」
「いや、そうはならんやろ!! 幾ら大きい体育館やてサッカー場が入ってたまるか!!」
皆が呆然とするなか、少しツンツンとはねた赤髪の少年が大声でツッコミを入れた。
「くくっ、くっくっくっ。良いね、その反応実に良いよ。ツッコミも切れがあって良いが、なにより、驚きからの復帰が一番早かったのが良い。……
ご満悦な弥生先生が手元の資料を確認している。
これは目を付けられたな。突っ込んだ落葉君とやらも顔が引き攣っている。
「隊長、それぐらいで。それでは皆さん、これからダンジョンに入ってもらいます。入ったところで我々が『天の声』と呼んでいる脳内アナウンスが流れて『
なんとなく全員が互いに顔を見合わせ、覚悟を決めたように芝生の上に足を踏み出す。
―― 『『
「んっ……!」
予想外のワンコの声に思わず驚くというか吹き出しそうになるのをこらえる。
周りを見ると他校の生徒も驚きの表情をしているので結果オーライだろう。ただ、朔良だけはツボに入ったらしく口とお腹を押さえて肩を震わせている。
「引き続きベータプレイヤー確認試験を行いますのでこちらに並んで着いてきてください」
男の先生が数本の竹刀を順に渡して歩き出す。
「この先には現在このダンジョン唯一で最弱のモンスターがいますので、皆さんにはそのモンスターを一人一匹ずつ倒してもらいます。竹刀が当たりさえすれば倒れるぐらいですし、倒せた段階で試験に合格となります」
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