第3話 夢を見る、そして転生してきた。

《レナード目線》

 ここは何処だ?

僕は自分自身に問いかける。

僕の名前はレナード・スキナード。音楽の都ウィーンで活躍していたプロユーフォニアム奏者だ。僕は多分死んだ。そんなことはとくっの昔にわかっているし、ここが多分天国でも地獄でもない場所なのも知っている。でも、いつ亡くなったかは正確にはわかっていない。

もう何年もここにいていつも真っ白な霧がかかってて、いつも自分がどこにいるか分からなくなる。


 そんなある日、ユーフォの音が聞こえてきた。

これは、日本のユーフォニアムの代表曲で、よく初心者が引く「ふるさと」という曲だ。私も以前って言っても30年以上も前になるが私も吹いたことがある曲の一つだ。

僕はユーフォの音につられるようにして音がある方に歩き出した。


 音がある方向に歩いてすぐにユーフォを奏でている女の子が見えた。正直第一印象は丸っこい女の子だった。まるでジブリ映画※⁶のとなりのトトロ※⁷に出てくる中トトロ※⁸のような見た目をそのまま人型にしたような女の子だった。私は遠目でその子を眺めていた。

 その子が奏でるユーフォの音はお世辞にでも上手とは言えなかった。

しかし、何年かぶりに聴くユーフォの音は僕を奮い立たせるのには十分だった。

 もう一度ユーフォが吹きたい。この子に僕の全てを教えてあげたい。この子はまだ上手くなれる。

僕は確証もないのにそんな事が頭に浮かんだ。




《桜目線》

 私は遠目から見つめている人の視線に気づいていた。熱い視線、正直プレッシャーでもあるけど、夢の中でもユーホを引いている私はきっとユーフォが好きだと思いながらまた楽器を構える。

私はまたふるさとを演奏しだした。

 正直自分の音は上手くないことなんてとっくの昔からわかっている。でも、私は上手くなりたい。それがどんなに努力が必要でも私は諦めたくないから。







 「ファ〜〜〜〜〜」

私はベッドからのっそりと起き上がった。

気づけば熟睡していたらしい。時刻は16:35。ずっと寝ていた。私の熱は下がったらしい。

そんな事を考えてると頭の中から声が聞こえて、部屋の中に男の人が現れた。

「やっと起きたか。小娘。ってか部屋汚いな。」

!?!!?!!??

私はびっくりした。

「え!?なに!?疲れてる!?自分!?ってか一言余計!」

私は取り乱したが目の前から人が消えることはなかった。

「はぁ……まさかこんな事になるとは僕も想像してなかったのだよ。」

「貴方……誰?」

私が問いかけると頭の中から話しかけてくる人が膝から崩れ落ちた。

「まさか……小娘、僕のことを知らないのかい?」

「??うん。」

私はなにも考えずに返事をした。そしたら次は絶望の底にいるかのような表情に彼はなった。

「やれやれ、この僕のことを知らないユーホニアム奏者がいるとは……しょうがない、素直に名乗ろうか。」

そう言って目の前にいる彼は仁王立ちになって自己紹介を始めた。

「僕の名前はレナード・スキナード。ウィーンで活躍していたプロのユーホニアム奏者だ。小娘、名は?」

私は急にゆわれて戸惑った。

「あ、えっと……私の名前は藤桜です…えっと……」

そこまで言うと私は言葉が詰まってしまった。

「??どうした?小娘?」

「い、いえ……とくに……」

「そうか?そんなふうな顔をしてないようだが?」

そう言って彼は私の顔をアゴクイした。

!?!!!!??!??!

私はここが私の生きている現実とは考えられなかった。こんなのするの少女漫画の王子様キャラのポジのキャラじゃないとできないやつじゃん!

そう思いつつ私はアゴクイされていた。

「さくらか、いい名だな。なんだな。小娘。」

「!?そんな事初めて言われました。」

「そうなのか?まぁ、どうでもいいがな。それより今は何年だ?」

「えっと……20☓☓年の6月3日です。」

「そうか。僕が死んでから3年経ったんだな。」

そう言うと彼は虚無の目で窓の外の空を眺めた。

「それより、ちぇりー。お前、ユーフォニアム引いてるか?」

「!?」

私は驚きで声が出せなかった。

「なんで知ってるんですか?」

「不思議なことか?夢の中でもあったじゃないか。僕たち」

私は記憶が蘇ってきた。


 さっきの夢の中の出来事で私は彼と出会った。遠目から観ていた人はこのの人だった。今全てがつながった。

「そっかぁ……でも、なんで私なんですか?転生したの」

私は思ったことが口に出てしまった。正直アイツのほうが才能あるし、上手いからあっちに転生したほうが良かったと思うったんだけど……

そんなことを知らない彼は言った。

「不思議なことではないだろう?才能があるやつが、才能がないやつにすべてを教えて、見返す。ただそれだけのことだ。」

それから私を指さして言った。

「ちぇりー。見返したいやつがいるのだろう?」

「!?なんでわかったの!?」

「そういう顔をしていたからな。この僕が、君を一人前のユーフォニアム奏者にしてみせる!」

そう言って高らかに笑い出した。

少しハチャメチャな人と出会った今日だった。


 晩御飯とお風呂が終わってあと寝るだけになったった頃、

「ちぇりーは、僕のことなんて呼びたい?」

不意打ちにそんなことを言われて私は戸惑ったが、

「好きなように呼んでいいですか?私はちぇりー気に入ってるんで、それで呼んでください。」

「そうか。わかった。じゃ、レナードって呼んでみろ。」

急に私はそう言われて戸惑ったが意を決して名前を呼んだ。

「れ、レナード……」

「何かね?」

「特に用事はないよ。」

「そうか。」

私はレナードと、そんな会話をした。

明日からまた嫌いなやつと会うけど私は頑張ってみせる!そうを決して今日はもう一度寝床に入ったのだった。

「おやすみ。レナード」

「あぁ。おやすみちぇりー」

私達は狭いベッドで一緒に寝たのだった。



※⁶:正式名所はスタジオジブリ。宮﨑 駿が監督をしている作品が多数ある映画会社。独特なのが多く、様々な年齢から愛され続けている。

※⁷:スタジをジブリの作品の一つ。幼い頃に見た記憶しかなくほとんど作者は記憶がない。

※⁸:※⁷の映画でててくる水色っぽい謎の生命体。

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