1:出会った二人と初めての夏
第1話 強豪吹部の一般性
「はァ……今日学校ってか、部活行きたくねぇ……」
そんなつぶやきをする私、藤桜。私が通っている高校は、私立夢の宮学院で、吹奏楽が強い学校なんだ。そんな私の担当楽器はユーフォニアム。知る人ぞ知るドマイナーな楽器。でも、最近はかの有名な京アニ※³がユーフォを題材にしたアニメを作っているから見ている人なら話がわかってくれる。
なんで私がこんなところにいるかというと、公立高校に落ちたから。元々は公立の高校に行く予定だったんだけど、見事に落ちて、滑り止めのこの高校に一般生で来たわけ。吹部のみんなはほとんど特待を持ってて、楽器がありえないほど上手。私は場違いだと思うってぐらいに……
これが行きたくない理由1。
もう一つの理由は……
「さくらちゃん?手が止まってるよ。」
「すみません。」
私は顔と心の色をなくして話しかけてきた人に答える。
今話してきたひとは3年の茂環(しげ、たまき)先輩。私は心のなかでしげたまって呼んでいる。私はこの先輩が苦手だ。私に対してだけ圧が強いのもあるが、目が笑ってないのが辛い。これが2つ目の理由。この先輩、マジで嫌いで嫌になる。
私が吹部に入ってからはや2ヶ月がたち、6月になった。最初は、とてもかわいい先輩だなって思っていたけど、日が立つにつれて私はこのひとが嫌いになった。ユーフォはうまいけど、後輩に対しての当たりが強くて嫌になる。また、後輩に対しても態度を変えるのがクソすぎてついていきたくなくなる。唯一の救いはコイツが3年生であることだ。コンクールが終わればコイツとはおさらばできる。早く立ってくれって願いながら私は日々部活をしている。
「疲れたぁ〜〜」
私は部活終わりのスクールバスで大きなため息を付いた。
「どーしたの?さくらちゃん!元気ないじゃん!」
「うーうんなんでもないよ雪花(ゆな)ちゃん。」
こんな風に優しく声をかけてきた雪花ちゃんだ。
私はこの娘といっしょに帰るために部活をしていると言っても過言ではない。
でも………アイツも同じバスだから帰る時間が被って欲しくないんだよなぁ……同じパートなだけでもきついのに……
「はァ……」
そんなことを思っていると
「今江までお願いします。」
そう言ってアイツが乗ってきた。
はァ……地獄の時間がやってきました。
私はそう思いながらスマホの電源を付けて、現実逃避を始めたのだった。
※³:正式名所は、京都アニメーション。様々な作品を展開しているアニメ会社。有名作は、響け!ユーフォニアム、ヴァイオレットエヴァーガーデン、小林さんちのメイドラゴン、ツルネ等
作画がとてもきれいなことでも有名。見出したら止まらない作品が多い
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