第二話 黒鳩
1
カビ臭さが充満したゲームセンターの一番奥にあるストリートファイターのゲーム機にあの方はいつも座っておられる。
「やぁ、マイハニー。」あの方はあたしをそう言う。
あたしはあの方の彼女みたいで大変うれしく思っている。
あたしは息を荒げ「はい、前橋様。こんにちわ」
「こんにちわ。マイハニー、どうしたんだい?そんな息を荒げて?」と前橋は聞いた。
「いや、はぁ。ノルマの一万円を大幅に超えて二十万ゲットしました。前橋様!!」
あの方は大喜びをした。
「そうかそうか。それは良かった。俺のあの計画を実行できるまであともう少し・・そして、我々BLACK PIGEONがこの地区一番のギャングになる日も近い」前橋はニヤニヤしている。
「とにかくありがとうマイハニー。君は僕が見込んだだけの女だよ。」と前橋は感謝を伝えた。
「いやいや滅相もございませんよ。前橋様!」
「そうだ、ハニーに頼みたい事があるんだよ」あの方はあたしにそう言った。
「なんですか?」あたしは首を傾げた。
「実はお得意のクライアントから依頼が来たんだよね。」前橋は指パッチンをして部下を呼んだ。
部下は大きなカバンを持ってきた。
「で、そのカバンがどうしたんですか?」とあの方に聞く
すると、あの方は「このカバンにはとてもとても大事なものが入っている。それを君に公園まで運んでほしいんだ。」
「はい、分かりました。」とあたしは頷き
あの方も「そうか、じゃあコイツを運んでくれよ。決行は明日にしてくれこれもクライアントの願いらしい。まぁ、ハニーならできるだろう。」
「はい、もちろん」あたしは頷いた。
「じゃあ、よろしく頼むよ。マイハニー。このカバン明日駅のホームに入れとくからさ。」
「はい、分かりました」あたしは頷く
「あぁ、そうだそうだ。ハニーもし、カバンの中を見たり依頼が失敗したりクライアント様に不満をお持ちになるような言動したらお前の家族を殺すからな!」と肩を叩きあたしの耳元で囁きあの方はどこかに行ってしまった。
あたしは「は~い」と一言。まぁ、どうせ家族は殺してもいいし。いいや。
そして、あたしもゲームセンターを後にして帰宅の途についた。
「あっ、志乃お姉ちゃんだ。先生、志乃お姉ちゃんが帰ってきたよ。」と子供が廊下を走っていった。
すると、女の大人が来て「志乃ちゃん、どこ行ってたの?」と聞いてくる。
あたしは「そこら辺を歩いてた。」と答えた。
女の大人は「二日も帰ってこなかったのによくそんな言い訳ができるわね。」
「ハイハイすいやせん。すいやせん。」と適当に謝った。
「志乃ちゃんね!あなたのお兄ちゃんを見習いなさい!!」と逆行された。
「はぁ~、今いない糞兄貴のこと言われたって分かんねよ。どうせ糞兄貴の事だ。研究職が忙しくて今日もいないとかなんだろう。」とあたしも逆行した。
「そ、それは志乃ちゃんのために一生懸命働いてお金を稼いでいるってことじゃないの・・・」
「はぁ、何が働いてお金稼ぐだ。あたしには毎月最低限のお金しか振り込まないしあんな兄貴最低だよ。」と言い
あたしは自室に戻った。
2
今日は僕の嫌いな数学の小テストがあるらしい。嫌だな。と思いつつも僕は祭壇に手を、合わせ家を後にした。
学校に着き僕は数学の復習をする。
チャイムが鳴り担任の家入先生が入ってくる。
家入先生は教室に入った途端「あれ、また志乃ちゃんいないの?」と言う確かに教室を見渡すが志乃の姿はなかった。
そして、志乃は放課後まで来なかった。
放課後僕は家入先生に呼び出された。
職員室に入ると家入先生がこっちこっちと手招きをする。
僕は家入先生から案内された席に座った。
「で、どうしたんですか?家入先生?」と僕が聞くと家入先生は頭をカキながら「いやぁ、このプリント志乃ちゃんに渡しといてくれる。」と家入先生は僕にプリントを渡した。
僕は「は~い」と一言
そして、立ち上がり職員室をあとにしようと
すると、家入先生は僕に「ねぇ、和ちゃん。志乃ちゃんって元気?」と聞いてきた。
「はい、すごく元気ですよ。」とだけ言い僕は職員室を後にした。
去り際僕は家入先生の顔を見たその顔は少しほっとしていた。
僕は志乃にプリントを届けに行った。
確か、駅前の施設に住んでるだっけ…と僕は駅前を歩いていた。
すると、駅前のロッカーに志乃がいた。
「おい、志乃」と僕が大きな声で叫ぶと志乃は驚いて大きなカバンを背中に隠す志乃「な、なんだ。お前か。和かよ。」と驚きを隠せていない志乃
「どうした志乃?」と問いかける僕
「い、いや何でもないよ」と動揺する志乃
「ところで、そのかばんは何なんだ?」と僕は志乃が持っているカバンを指さす。
「こ、これはとっても大事なものなんだよ!」と志乃はカバンを強く掴む。
「ふ~ん、中身、何が入ってるんだよ?」
「はぁ、し、知らないわよ!!」と激昂する志乃
「あっち行け」と言いながら志乃はどこかに行ってしまった。
3
「ハァハァアイツのせいで時間大幅に遅れそうじゃん。急げ」あたしは急いで公園に向かった。
そして、どうにか公園に着いた。
公園のベンチには黒ずくめの男がいた。
あたしは「あのう、すいません。マウターさんですか?」と聞いた。
「あぁ~そうだ。君は前橋の彼女さんかな?」とマウターは言った。
「いや~恥ずかしいですよ。」あたしは照れた。
「ふぅ、そうかい。で例の物は・・」
「あっ、はいこれですね。」とあたしはマウターに大きなカバンを渡した。
「そう、これこれ」とマウターは喜ぶ
「じゃあ、あたしはこれで」とマウターと離れようとしたが
「あぁ、ちょっと待ってくれ」とマウター
「はい、どうしましたか?」とマウターに聞くあたし
「いやね、君カバンの中身見た?」と聞いてきた。
はっと思いながらあたしは「いや、見てません」と言った。
がしかし、マウターは「見たんだろう?」としつこく聞いてくる。
そして、マウターは怒りポッケから銃を出してきた。
あたしは驚き腰が抜けた。まさか銃を持っているなんて・・
「なぁ、本当に見てないんだよな?」とマウターは首をかしげる。
「だ、だからあたしは見てないの!!!」と言ったがマウターは聞かない。
そして、銃を構えるマウターあたしは死を覚悟した。
その時、「ギャぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」とマウターはキックされた。
「危なかったな。志乃」とそこにいたのは和がいた。
「な、な、和?」
「急いで、逃げるぞ志乃」と和はあたしの手を掴み逃げた。
去り際、マウターは「お前さんの彼氏にこのことは言う奥歯ガタガタさせておけよ。」と言った。
「ハァハァ、志乃、アイツは誰なんだ。」と和はあたしに聞いた。
「あの人はあたしたちのお得意のクライアント」と答えた。
「そ、そうなんだ。」と一言
「はぁ、あたしどうしよう。」とため息交じりに言った。
「どうした?」
「いやな、前橋様に失敗したら殺すって言われちゃって・・・」と答えると和はあたしの肩を掴み「じゃあ、僕の家に来ない?」と言われた。
「はぁあ、何言ってや・・・」
「前橋って奴は殺す気なんでしょう。だったら、今日は僕の家に泊れば多分すぐ前橋はすぐ諦めるよ。」
「そ、そうか」
「うん、そうだよ。と言う事で僕の家にレッツゴーー」
あたしたちは和の家に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます