番外編
番外編-1 第33話の後
「ふぅ.....。」
ソワソワとしながら、手の汗を拭い店の前で待っている人物は、腕時計を見ながら周りを見渡す。
「まだ来てないか......。」
予定よりも早くに到着したその人物は、まだ時間がある事を確認してから近くのコンビニによってコーヒーを買う。
店員「まいど~。」
テロレロレロ♪テロレロレ♪(コンビニの音)
「うぅ.....寒い。」
もっと厚着をしてくれば良かったかもと思いながら、近くのベンチに座って人が来るのを待つ。
待つこと数分後、初めにそれらしい服装の人物を見かけて声を掛ける。
「あのぉ......。」
「ひゃ!なんですか?ナンパですか?痴漢ですか?アホですか誰ですか?どなたですか?」
めちゃくちゃまくしたてて喋るその人物は、手で攻撃の姿勢を取り、勢いよく離れて威嚇する。
「チュチュさんっすよね?」
その言葉を聞いてピンときたようで、
「あ、高梨さんですか?」
と、照れながらお辞儀をして返事をする。
「あ、はい。高梨です。今日はよろしくお願いします。」
と丁寧にお辞儀すると、
「なんかそれ違うと思います。」
と言って、高梨さんをジッと見つめ、
「さては偽物だな!」
と言って指を指す。
「いや、偽物とかではなく......。」
とあたふたしていると、後ろから音を立てずに忍び寄ってきた人物が声を掛けてくる。
「あのぉ~、高梨さんと.....チュチュ?さんですよね?」
私とチュチュさんは、背後に音を立てずに忍び寄ってきた人物にびっくりして、勢いよくその人物から離れて振り返る。
「もしかして.....カモメさん?」
「へ、変態忍者!」
と言い、その人物を指差して、二人して大きな声を上げてしまう。
「せ、正解です。」
と、ゲームよりもイケメンに見える彼は、照れながら顔をマスクで隠してお辞儀をする。
「めっちゃイケメン!」
とチュチュさんが目を輝かせながら、カモメさんのマスクを取ろうとして、カモメさんが辞めろ取るなと言い二人で喧嘩になっている。いつもの光景を見て、リアルも変わらないなと笑っていると、後ろからマフラーをした女性が声を掛けてくる。
「よろしくお願いします。」
「あ、よろしくお願いします。ププさんですよね?」
「はい、そうです。」
と言って、リアルとゲームとで印象の変わらないププさんが丁寧にお辞儀をして、チュチュさんの方へ行って、カモメさんとチュチュさんを落ち着かせていると、
「お~い!おまえら~。」
と言って手を振りながらやって来たのは、最後の一人である味塩パッパさんだ。
「よろしく!」
と一通り皆と挨拶をし、
「それでは、御店の中へ入りましょうか?」
と言い高梨さんが案内する。
「うひゃぁ、おっきいわね!キラキラよ!」
と言いながら、初めて入る高級店で気分が上がりはしゃいでいるチュチュさんを、ププさんが、ほらほら落ち着いてね。と言いながら大人な対応で、チュチュさんの手を握り、じっとしている。
「あ、予約していた高梨です。」
店員「はい、高梨様ですね。」
店員「確認が取れましたので、お席にご案内いたします。」
そう言って案内して頂いた個室にそれぞれ座り、
店員「それでは、注文の際は、こちらの電子パネルからお選びください。」
店員「何かお困りのようでしたら、こちらのボタンを押して頂き、私どもがいつでも参ります。」
店員「良いお食事になりますよう。それでは、我々は失礼いたします。」
と言って店員は、去って行った。
「すごい高そうな場所じゃないんですか?」
と心配そうに聞いてくる味塩パッパさんに、
「大丈夫ですよ。好きなもの頼んで下さい。」
と高梨さんが、遠慮しないでねと皆に言ってメニュー表を渡す。
「おい、チュチュ!美味い飯食えるぞ!」
「そうね!バカ忍者、美味い飯食べ放題よ!」
と言ってワクワクしている二人は、遠慮なしにメニュー表をめくってこれが食べたいあれが美味しそうと話し合っている。
「仲いいんだか悪いんだか。」
と笑ってみていると、心配そうに二人を見ていたププさんがこちらを見て、困ったような顔をしながらニコっと笑う。
「それじゃぁ、こちらも美味しい物でも頼みましょうか?」
と言いながら、メニュー表を見ていろいろと頼む。
次々に運ばれてくる料理を見て、
「本当にこれだけ食べられるの?」
と心配して言っているププさんに、
「大丈夫よこれくらい!」
と言ってチュチュとカモメは、テーブルに並んだ料理を次々に食べていく。
案の定、後から二人はお腹一杯になったと言い料理を残したのは.....見ていて分かっていた事なので、味塩パッパと高梨とププで、二人の残した料理を食べ。
とりあえず、食事はなんだかんだこんな感じで楽しく終了した。
「美味しかったわね!変態忍者。」
「おい、変態は余計だ。ただ......怒るのが面倒くさいくらいに美味かった。」
と言って二人は、上を見ながらお腹をさすっている。
「お~い、二人とも.....これで終わりじゃないんだぞ?」
と高梨が言い、満足して帰ろうとしていた二人を引き留める。
「そうだったわ。話し合いがまだだったわ!」
「バカだなチュチュは!俺は覚えてたぞ。」
「ほら、喧嘩しないの。」
「そうだぞ、せっかく美味い飯奢って貰ったのに.....。」
そう言いながら、高梨を方を見る。
「え~っと、取り敢えず事務所に移動しましょうか。」
そう言って案内されたのは、撮影の仕事部屋として借りているアパートの1室だ。
「広いわね!」
「おい、探検しよう!」
と言って二人は、話し合いから逃げてしまったので、
取り敢えず3人で話し合いをすることに決まった。
「まぁ、あの二人は、細かいことはそっちで決めろとか言うんでしょうね。」
とため息をついていると、
「えぇそう言ってました。」
と申し訳なさそうにププさんがお辞儀をする。
「いえ....いいんですよ。」
と言い、取り敢えず収益の話や、今後一緒にやって行くか、それとも別れるかについての話し合いが始まった。
「取り敢えず、私としましては、今後とも皆さんとやれればと思っているんですけどどうですかね?」
と紙で書かれた資料を渡して、一通り説明する。
「えぇ、私はそれで構いませんよ。ただ、収益とかそう言うのは良く分からないし.....。」
「私は、正直に言うと収益とかそういうのは、必要ないんですけど.....。」
と言う。高梨さんは、いえそう言うわけにはいきません。と言ってそれを拒否し、収益の一部は渡しますと話す。
「そうですか、それでは、お任せしても構いませんか?」
と言って高梨さんが全て管理することに決まってしまった。
正直、後からお金であーだこーだ問題になるのが嫌でこういう話し合いの機会を設けたわけなのだが、その必要はなかったらしい。
「あ~、俺も収益とかそういう細かいことは分からんし、正直一緒に遊ぶだけでお金が貰えるって言うのもなぁ。」
と言い、一番お金が貰えることに喜んでいた味塩パッパさんも、実は今回は、それを断るつもりで参加したらしい。
遊んでいる二人については、聞いてみたところ、
「くれるなら貰うし、あげれないならそれでいいわよ。」
「俺もそれでいいぞ。」
と言って難しいことは、大人に任せると言い、二人でテレビゲームを始めだした。
いろいろ資料を準備して、どういう感じにこれからやっていくのかのプレゼンまで作って来ていた高梨さんは、ちょっとがっかりした様子だったが、それだけ信頼されているんだなと思い、取り敢えず今後の方針についてもっと詳しく話したりした。
一通り話が終わった頃には、夜遅くになっていたため、先に遊んでいたチュチュとカモメの二人を家に送り、味塩パッパとププさんは、それぞれ終電で帰って行ったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます