7ご飯
目の中が光に包まれた。朝だ。
すぅすぅ
子供は隣で眠っている。
――――――――――――――――
いい匂いがする。鬼さんが台所に立っていた。
「おはよぉ。」
ぎこちない笑顔だ。
「すみません。鬼さんが起きているのに、寝ちゃってて。俺がやります。」
鬼さんに駆け寄る。鬼さんがむっとする。
「?」
きっと、遅くまで寝ていたから怒っているのだろう。当然だ。
「お前さん、おはようと言われたらおはようと返すもんだろう?」
そういうものなのか。初めて知る。
「そうなんですか。」
「そーそー。それ、おはよう。」
「おはよう。」
「うん、偉いね。お前さんは座っときな。我が作る。」
「けど、」
「いいから。俺が作りたいの。」
「分りました。」
座布団に座った。卓袱台(ちゃぶだい)を見ると紙が置いてある。
「その面〜、お前さんのだよ〜。つけてみな〜。」
台所から鬼さんの声がする。ただの紙だと思っていた。面の中心に謎の文字が描かれている。着けてみようとした。
コト。コトッ。
「さぁ、食べよ。」
鬼さんが料理を目の前へ置く。
「俺の分まで?いりません。鬼さんが食べてください。」
「ん〜、お前さん凄く細いだろう?子供なのに食べないと。お前さんを守った時に気づいた。」
「? ……あの時、俺、覚えてなくて。」
沢山のことが飛び交う。どれだろう。
「ん。そんなことはいいから、食べて。」
「んぐ。」
鬼さんが口にご飯を詰め込む。強引だ。
「どお?」
「美味しいです。」
――――――――――――――――――
「美味しかった、美味しかった。」
鬼さんの顔がこっちを向く。
「なぁ、お面つけてみてよ。」
「分かりました。つけてみます。」
紙を手に取り、顔を覆う。
「おぉ!可愛いじゃん。ずっと着けときな。」
鬼さんが胡座をかいて言った。頰杖を突きながら。
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