2人魚

 ゴゴゴゴ…………!!

 体勢が乱れる。

 「おっと、地震か?まあいい。」

 人魚の方へ見つめ直す。鬼の眼が太陽と海の反射光で、透明な水のように光っていた。

「鱗。毎度あり。これ、お代。」

 「…………!!ぅ!!」

 お代の入った小袋を上に掲げてバシャバシャしてる。

「おい、こら、我(わ)にかかるだろう?」

 人魚は鬼が何のものかは理解できないが、それはムッとしている。しかし、笑顔だ。綺麗だ。

「もう行くよ。また必要な時来るね。」

 鬼が立ちがろうとした。

「……ぅ…………!!ぅ!」

 鬼の袖を引っ張った。

「なんだ、なんだ。まだ取引したいものがあるのかい?」

 人魚が差し出した。

「!!!!」

 ぎょっとした。

「おいおい、勘弁してくれ。それ瀕死の人魚だろ。いらないよ。」

「………………」

 人魚がしゅんとした。

「永遠の命など我(わ)はいらん。そんな長々と生きていたら、飽きるだろう?ではもう行くな。」

 ――――――――――――――――――――――

「っぶな!海に引き下ろされるところだった。人魚との関係は難しいのぉ。おー怖。」

 帰り道、砂浜を歩いて行く。

 水面が反射しきらきらと光っている。

「少し入ってみるか。」

 2本の脚を波が避けていく。後ろに下がったり、避けたり。

 「綺麗だなぁ。」

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