うおデッカ!!×2
クリスマスを終えるとあっという間にお正月が来た。
例年はコタツでモチとミカン食ってだらだらするところだが、今年は違った。
Revi部から
めんどくさがりの私だが、これは面白そうじゃん。
なんでも着物を着るらしいが、そんなもん持ってるわけがない。
ところが、どうやら
先輩の家に行ってみると、とんでもない
話には聞いてたが、ゴージャスすぎるだろ……。
園芸部の怪しいハッパについてもみ消したって聞いたけど、これならあるいは。
まぁ流石に廃部を免れることは出来なかったみたいだが。
屋敷に入ると執事のおじいさんとメイドさんが何人も居た。
なんだコレはよ!! マンガ、アニメでしか見たことねぇぞ!!
そして揃ったRevi部の面々は手際よく着付けしてもらっていった。
そしてあっという間に晴れ着に着替えることが出来た。
うわぁ。晴れ着なんて着たのなんか初めてだよ。
みんなの色は……赤、ブルーに黄色……。
「クールな
「カレー大好き!! ツバサイエロー!!」
「さわやかスポーティ!! ナギサグリーン!!」
「脳内お花畑!! サクラコピンク!!」
「裏のリーダー!! アヤブラック!!」
「そして主人公補正の赤!! アイレッド!!」
6人揃って!!
いかんいかん。なんだこの脳内イメージは。誰向けの発想なんだよ。
こうして私達6人は
この神社はそこそこ広く、定番の
まずはお参りをしようかという話になった。
う〜ん、新年の願いかぁ。なんか思いつかねぇな。とりま世界平和とか祈っとくか?
今のご時世じゃ冗談になんねぇけどさ。
ふと横を見るとRevi部の皆が手を合わせて瞳を閉じていた。
みんな何を考えてんだろな。人の頭の中なんてわかんねぇもんだな。
だが、この時、私はこの5人を見て思った。
この楽しい毎日がいつまでも続けばいいのになって。
我ながらクサいな〜〜。恥ずかしいぜ……。
そして気になるおみくじ引きが始まった。
「へへ〜ん!! こんなの大吉に決まってるっしょ!!」
翼先輩は相変わらずの根拠のない自信がある。
これで凶がでたら面白いだろうな。
「やたー!! 大吉ぃ〜〜!!」
翼先輩がひらひらとおみくじを振っている。
マジ大吉‼ チェッ。強運だなぁ。
「
全員が
「……大吉よ。勝負は時の運ね」
余裕有りげな笑みだなぁ。チェッ。
櫻子先輩はニコニコしている。
「ウフフフ……。だ・い・き・ち。日頃の行いですわね」
全くよく言うよ!!
「運においても筋肉はウソをつかないッ!!」
なぎさ先輩は勢いよくおみくじを開いた。
マジかよ大吉だよ。ホントに筋肉関係ある?
横では彩先輩がクスクス笑っていた。
「やったぁ!!大吉!! みんなにもおすそわけだよ!! 今年はいい年にしようね!!」
うお
最後は私だ。みんなの視線が私に集まる。
揃いも揃って幸せそうな顔しやがって。
こういうのはな、間違いなくオチがあるもんなんだよッ!!
ここまで来て全員が大吉なわけねぇんだわ。
さて、大凶に備えるか。右か、左か、後ろか上か。
どっからでも来い!!
私は片目をつむりながらおみくじを開いた。
「大……凶ッ!!」
Revi部の面々は身構えた。ろくでも無い事が起きる!!
ガラガラガラガランッッッ!!!!
「サイドステップ!!」
私は運動神経は良くないほうだが、先読みできる罠に引っかかってやるほど間抜けではない。
「回避先にバナナっ!!」
続けて地面に転がっている障害物を避けきった。
思わず、すそをつっかけそうになったが、なんとか踏ん張った。
流石に危機はのりきった。と思ったが最後。
"プロテイン バナナ風味"のボトルが転がってきた。
誰だ⁉ なぎさ先輩か⁉
「いや、私のではない。私のはヨーグルト味だ」
すると向こう側で櫻子先輩が口元に手を当てて笑っていた。
「あら〜〜〜。うっかり落っことしてしまいましたわ〜〜」
2人共、なんで
完全に足をとられて、私は背中から倒れ込みそうになった。
「よっと!!」
そんな私をなぎさ先輩が受け止めてくれた。
なんて反射神経なんだ!! なぎさ先輩カッコいい!!
思わず私は先輩にしがみついてしまった。
「ぬっ……こら、愛!! 晴れ着が乱れて……力が入らん。あっ……このままでは着物がはだけてしまう!!」
「オオオーーッ⁉」
境内中の男が
「うおデッカ!!」
このままでは豊かなバディが
するとなぎさ先輩は胸元を押さえた。私から手が離れる。
「あっ!!
仕方ねぇよ……。恨みっこなしだぜ……。
私の晴れ着の帯は押さえたなぎさ先輩の腕に引っかかったままだ。
結局、ぐるぐると回る形になってしまった。
「あ〜〜〜れ〜〜〜〜!!!!」
私まで胸元がはだけてしまった。
恥ずかしくなって思わず胸元を隠した。
だが、境内けいだいの男どもはうんともすんとも言わなかった。
それどころか心なしか視線をそらしている気さえする。
あーそうですよ。どうせ私はまな板ですよ!!
胸元を見られたという恥ずかしさはどうでも良くなってしまった。
私は心の中で塩水を禁じ得なかった。
「オオオーーーーッ⁉」
男性の歓声とともにあっという間に私への注目は離れた。
仮にもだな、現役JKのだな、あられもない姿がだな。
ぶつくさ言いながら歓声の方を見ると櫻子先輩か《さくらこ》先輩が肩まで着物をずりさげていた。
なにやってんだよ!! オレンジジュースで酔うんじゃなかったのか⁉
あっ、甘酒……。
櫻子先輩は白いカップの中身を一気飲みした。
「フフフ。はぁん。体中がポカポカしてきましたぁ。ぱんぱかぱ〜〜ん☆ さくらこ、脱ぎまぁす!!」
酒乱はともかくとしてなんで脱ぎたがるかわかんねぇ!!
余裕のある
あれ
「イエーイ!! 新年カラオケ大会に飛び入り参加、センキューー!!」
あぁ、もうああなったら止まんねぇ!!
「
「了解!!」
あぁ、これ、去年のお花見ボランティアと変わらねぇわ。
もしかして皆もこんな日々が続けば良いって思ってるのかもしれない。
そういう意味ではこの
私はそんな満足感を胸に抱いて眠りについた。
(にしても、なぎさ先輩も櫻子先輩もうおデッカ!!×2)
貧乳コンプの胸比べで、すぐにイイ話になりそうな雰囲気は破壊された。
こうして私は塩水で枕を濡らし、寝付くことが出来なかったのだった。
やっぱり大凶じゃねぇか!!
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