Revi(リヴァイ)部のメンツを紹介するぜ!!

私は秋山愛あきやまあい!!


御曹司おんぞうしとお付き合いできるという異文化交流会の部室を叩いた私。

でも、そこで待ち受けていたのは幼女からの残酷ざんこくな一言だったんだ。


(……なんで高校にこんな小さい子居るんだよ)


「う~ん、異文化交流会はね、不純異性交遊ふじゅんいせいこうゆうのヤリすぎで今年度から廃部になってしまったんだよ。いや、ヤリ過ぎに深い意味はないよ?」


いや、深い意味もなにもモロじゃねぇかよ……。


って、え?


私はそれを聞いたとたん、希望をバッキバキに打ち砕かれてしまった。


「ふぅおおおおおおーーッッッ!!」


そして思わず膝から崩れ落ちてしまうのだった。


「憧れの異文化交流会が……薔薇色ばらいろ不純異性交友ふじゅんいせいこうゆうがぁ……」


マジな話、あまりのショックで立ち上がれねぇ……。


陰キャからの玉の輿こしで大逆転の人生を歩むはずだった。

死ぬほどキッツい受験生活を勝ち抜いてオーセンに入学したのに……。


するとあどけない少女はグロッキーになった私の肩を叩いた。


「まぁまぁ聞いてちょーよ。異文化交流会を求めて来たキミを損はさせないヨ!!」


損はさせないってどーゆーコト?

思わず私は耳をピクピクとさせた。


「このReviリヴァイ部とはね、諸々の事情で部活の継続が困難になってしまった生徒たちが部活の再起を目指して活動している部なんだよ」


すくっと立ち上がって自然と頭に浮かんだ英単語を口に出してみた。


「……”Reviveリヴァイブ…… 生き返る、よみがえる、回復する、復活する、復興する、再び流行する という意味ですね?」


それを聞いて小学生みたいな幼女は満足げにうなづいた。


「おー、さすがオーセンに受かるだけはあるね。発音もバッチリ。それに、Web辞書のコピペみたいな模範解答もブリリアントだね~!」


ナメてもらっては困る。私とて伊達に受験勉強をしてきたわけではない。

妙にカンの良い私は答え合わせの前に気づいてしまった。


この”Reviリヴァイ部とは英単語の”Revive”と”部”をかけて「Reviリヴァイ部」なのではないかと。


次の瞬間、部長らしき幼女は大きく腕を広げた。


「じゃーん!! ここは””Reviveリヴァイブと部活名をかけて名付けたReviリヴァイ部なのでーす!!」


うわ~、当たってもちっともうれしくねぇ!! 


「あ〜ッ、今、ムッとしたでしょ。これはあなたにも悪くない話だっていったでしょ? つまるところ、私達と一緒にReviveリヴァイブしない? ってお誘いなんだよ!!」


とたんに彼女からはまばゆい後光が差し始めた。ううおまぶしッ!!


「ぶ、部長ォ!!」


ヘロヘロな声をあげて私は救世主にすがりついた。


「あは、あはは。苦しいにゃあ……。実のところ私は部長じゃないんだよ。生徒会と部員は兼任できないんだ。だから私は部活復活のお手伝いをしてるんだよ」


戸惑う私を前に幼女は自己紹介を始めた。


「まぁ聞いておくれよ。そこの逆立ちしてる娘は2年生の”猪狩いがりなぎさ”ちん。水泳部のエースだったんだけど、”異性の前で肌を晒すのは恥”っていうPTAの申し立てで近所の学校のプールが使えなくなっちゃったの。だから今は一人市民プールに通ってる。あと、おっぱいがめっちゃでかい。……めっちゃでかい」


(なんで二回言ったし……)


逆立ちをしている少女はそのまま反発をつけて見事にハンドスプリングを決めて美しい姿勢で着地した。


「むっ、胸は関係ないじゃないですか!! や、やめてくださいよほんとにもう!!」


(意外とリアクションがカワイイ…。でもなんで逆立ち………)


「そんで、そこのギターの娘は同じく2年の”宇野翼うのつばさ”ちん。バンド部を結成してたんだけど、保守的な親の反対で辞めていく生徒が多くてね。今は一人なんだ。エレキが得意だけど、ボーカルもイケる口くちだよ。でも正直どうやってオーセンに受かったかはわかんないクズ成績でね~」


なんつー辛辣しんらつな物言ものいい。


♪テッテーーーン↑テレロロ↓ロロロ↓ロロロロ↓ギュゥゥーン!!


「へっへ~~~ん!! 夜露死苦よろしくゥ~~~ッ!!」


……ドンッ!! ドンドンドンドンッ!! バァン!!


うわぁ、むちゃくそ壁ドンされてんじゃんよ……。


角部屋で隣に部屋がないという現実を私は無視した。



「そこで分厚い本読んでるメガネで白衣の娘も2年生。”榎本えのもと知里子ちりこ”ちん。生物部だったんだけど新入部員が入ってこなくてね。生物部なんて地味だし不人気なんだよ。不人気。あとオトコの体には一番詳しい」


ネクラそうだなぁ。同族嫌悪だわ。


「……ブツブツ……なんで地学部は部員が居るのよ。絶対地学部のほうが地味じゃない。地味じゃない。私は地味じゃない……」


(オトコの体に詳しいのくだりはスルーなんけぇ……)


「そしてここで呑気のんきにお茶してるのは”沖田櫻子おきたさくらこ”ちん。 2年生。園芸部だったんだけど部員の一部がヤバイ種類の花とか草を栽培してて部が解体されちったんだよね。趣味は育てた植物でお茶やらポプリを作ること。家がめちゃんこお金持ちなんだよね~」


(マジかよニュース沙汰ざたじゃねぇか)


「あらあら~、キレイなお花だったのに、何がいけなかったんでしょうねぇ~? ウフフフフ」


(まともかと思ったけどうわこれ一番やべーヤツだ‼)


「まぁOGが結構お偉いさんになってるからそこらへんのもみ消しはしやすいらしいよ。そういうわけで表沙汰おもてざたにはなってない。あ、ちなみに櫻子さくらこちんは事件に関与してないからね」


(ホントかよ……)


「わったし、ハッパなんてやってませ~~~ん。ホントで~~~す。ウフ、ウフフ」


(うおっ、やっべ!!)


「そして私は3年生徒会長の”五色ごしき あやだよっ! 事情を聞いてReviリヴァイ部の立ち上げを申請したのは私で〜す。でもねー、五人部員が揃わないと部活として申請出来ないんだよね~」


「あれ? あなたが部長さんじゃなかったんですか?」


「まっさか~。生徒会と部活、両方には入れないって校則にあるんだよ。でも、これで五人揃ったね!!」


私は嫌な予感がした。私もその五人に含まれている……!?


「はーい。そうでーす。不純異性交遊ふじゅんいせいこうゆうのヤリすぎで今年度から廃部になってしまった異文化交流会の生き残りは貴女!! そう、えーっとキミの名前は…………」


私は迷わずきびすを返して部室に背を向けた。


(話にならない。こんなアヤシイ部活につきあってたら私の青春はお先真っ暗だ!!)


「…………あー、残念だな~。今ならライバルが居ないし、一人でいい思いできるかもしれないのにな~。う~ん、でも帰っちゃうならしょうがないね。次に来る異文化交流会の入部希望者を待とっか……」


「私、やります!! やらせてください!! Reviリヴァイ部、大いに結構じゃないですか!!」


真偽の定かではない甘い誘いにのって私は反射的にそう名乗り出てしまった。


熱い手のひら返しッ!!


そんな煩悩ぼんのうまみれの私だったが部員たちは皆、笑顔で迎えてくれた。

なんだか無性に自分を恥ずかしく感じて、無意識に頭をいていた。


これがとんでもない決断になることを今の私はまだ知る由もなかったんだ…。


なかったんだよォ!!

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