【アナザーストーリー】いじめっ子

天川裕司

【アナザーストーリー】いじめっ子

【アナザーストーリー】タイトル:「いじめっ子」


▼登場人物

●小山康代(こやま やすよ):女子高生。17歳。地味子。

●常盤典子(ときわ のりこ):康代のクラスメイト。綺麗で可愛い。イジメっ子。

●湯川(ゆかわ)リエ:康代のクラスメイト。典子の腰巾着的な存在。

●藤崎(ふじさき)ミカ:康代のクラスメイト。典子の腰巾着的な存在。


▼場所設定

●学校:一般的な公立高校のイメージで。

●街中:駅や道端やマクドナルドなど一般的なイメージで。康代が3人に呼び出しを喰らって落ち合う場所は道端か公園で良いかと思います。

●典子の自宅:一般的な戸建て住宅のイメージ。典子の部屋は2階。


NAは小山康代でよろしくお願いいたします。

(イントロ+メインシナリオ+エンディング=3762字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。


皆さんは学校でイジメを受けた経験はありますか?

出来れば一生経験したくない事ですよね。


でもそういったイジメと言うのは派閥から生まれる事も多く、

経験したくなくても向こうからやって来る事がよくあるものです。


今回は、この『虎の穴アニメ店』でアップされた、

『いじめっ子』

に登場する主人公・小山康代の裏の顔…

いわゆる「アナザーストーリー」といった形でご紹介してみます。


か弱く、大人しそうに見えた彼女の本性が、

実はどんなものだったのか…

その明かされなかった本当の顔を見ていきましょう。



メインシナリオ〜


私の名前は小山康代。

今年17歳になる高校3年生。

私は今、イジメに遭っている。


典子「やーすーよ!アンタまた地味なペンダント付けてるわね〜。そんなの付けてて面白い?可愛いと思ってんの?」


康代「え?あ、あはは…いやーなんつうかそのー」


典子「調子乗ってんじゃないわよ。ちょっと私に貸しなさいよ」


ト書き〈ペンダントを奪う〉


典子「ふーん、まぁよく見れば結構かわいいじゃない。よし、私が貰ってあげるわ!」


康代「え?いや、あのちょっと…」


典子「なーに?文句あるの〜?」


康代「い、いえ、無いでございます…」


典子「あっははは!その喋り方♪あんたってホントに良い私のペットだわ♪これからも可愛がってあげるからね〜」


こんな感じで何やかんやとちょっかいを掛けてくる。


私をイジメて下さっているこの子は常盤典子。

同じクラスメイトだ。


典子にはいつも友達が居て、

大体3人で私をからかってくる。

友達の名前はリエとミカ。


康代「…フフ…思った通りね。あーいうの、典子さんは結構好きだもんね…」


ト書き〈ワザと私物を奪われる〉


典子「見てーこれイイでしょう?康代ちゃんからプレゼントされちゃったの〜♪」


リエ「あはは、どうせまた無理やり奪ったんでしょ?」


ミカ「康代はあんた専属の貢ぎ人だからね〜」


典子「違うわよん♪康代ちゃんは自分から私にプレゼントしたいって言ってくれるのよいつも♪だから私が受け取ってあげてるの♪」


典子「まぁあんな地味子がとんなお洒落したってどうせ似合わないし、これも1種のボランティアかな♪」


ト書き〈大きなクマのヌイグルミ〉


そんな或る日の事。

学校が休みの日に私は典子から呼び出しを食らった。


私が人気のテーマパーク「スターランド」で大きなクマのヌイグルミを買った…と言うのを聞きつけたらしく、

それを持って来いと催促してきたのだ。

典子はとにかくヌイグルミが大好き。


典子「うっわぁ〜♪これめっちゃ可愛いじゃなぁい〜!サイコー♪」


康代「あはは…そう?確かに人気だよね、そのクマのヌイグルミ…」


リエ「でもアンタも呼ばれてすぐホイホイよく来るわねぇ。典子に取られるの分かってるのにさ♪」


康代「え…?」


ミカ「『え?』じゃないわよ。この後どうなるかもう解ってんでしょアンタも?」


典子「や・す・よちゃーん、これをここに持ってきてくれたって事はぁ、このヌイグルミ、私にくれるってことよね〜♪きゃー嬉しい!有難う〜♪」


康代「え、いや、あの…」


リエ「ねぇね康代、今度また同じようなもの買ったらさぁ、私にも教えてね♪ちゃんと貰ってあげるから」


ミカ「私にもね〜♪」


その後も散々つつかれて、

結局、その後マクドナルドに行き、

私はみんなの分を奢らされた。

そしてみんなと別れた。


康代「…フッ、作戦成功〜」


ト書き〈康代の部屋〉


康代「…ウフフ…聞こえる聞こえる、見える見える。典子ちゃん、この時間はこんな事をして過ごしてるんだね。ウフフフ…」


あのクマのヌイグルミの中には、

盗聴器とカメラを仕掛けてあった。


そう、私も典子を自分のモノにしたかった。

私からどんどん物を奪わせていたのは、

私が持っている物を彼女と共有する為。


彼女は確かに可愛らしい。

性格も明るく派手で、みんなの人気者だ。

私は見ての通り地味子で、

少し、そんな典子に憧れてる所があった。


いつしか私の気持ちは典子一色に染まってしまい…


康代「…うう…コイツのそばにずっと居たいわ…ああ…早く片時も離れずこの子と一緒に居られるようになって、この子を完全に私のモノに出来ないかしら…」


そんな事を思うようになっていた。


ト書き〈数日後〉


それから数日後。


典子「ねぇ康代、今日私んチに来なよ。みんなと一緒に遊んだり喋ったりしない?」


康代「え?」


願ってもないチャンスが巡ってきた。

なんと、典子の部屋に入れる!

私は即OK。


まぁ「みんな」って言うのは所詮、リエとミカの事。

2人が居たってそう邪魔にはならないだろう。

私には1つの計画があった。


ト書き〈典子の自宅〉


学校が終わって、私達4人は典子の家に行った。

当然、私はずっといびられ続ける。


でもそんなにシリアスのいびりじゃない。

まぁイジメのレベルにしてみれば、私のは軽い方だろう。


こいつらにはもう解ってるんだ。

余りいびり続けると私が登校拒否をする可能性がある。


そうなると、自分達が欲しい物をもう私から貰えなくなる。

ご飯も奢って貰えなくなる。


だから、付かず離れず、泳がす感じで私をいびり続け、

真綿で首を絞める感じにイジメて遊んでる。


そんな感じだ。


康代「あはは…」


リエ「アンタってほんと何やっても『あはは』なんて笑ってるだけだよね〜♪ホントいい子いい子♪」


適当にいびられ続けてやった後…


康代「あの、おトイレ行ってきていいかな?」


と切り出した。


典子「はぁ?トイレぇ?アンタでもトイレ行くんだ」


リエ「キャハハ♪」


ミカ「ここでしたら?」


典子「やーだよぉ!部屋汚れちゃうじゃない!こんな地味子のおしっこでさぁ!もー早く行ってきなよ!」


康代「あ、ありがと」


典子の部屋は2階。

私は1階に降りてトイレに行く振りをした。

3人は2階でずっと遊んでる。


私はトイレのドアをバタンとワザと閉め、

静かに1階のリビングを探索した。


この時間、典子の親は居ない。

父親は仕事、母親はパート。

これも、あのヌイグルミに仕掛けた盗聴器から聞き出した事。


康代「フフフ…あったわ。これよこれ…」


典子の家の予備キー。

そして私は澄まして2階へ上がる。

時間が過ぎていき、その日はお開きになった。


ト書き〈数日後〉


康代「…どうでもいいけど、あの2人がそろそろ邪魔になってきたわねぇ…」


私はその日。

学校が終わってすぐ最寄り駅のホームへ向かった。

この駅は、リエとミカが帰宅時に利用している。


学校が引ける頃には帰りのラッシュアワー。

この駅は夕方になるととても混むのだ。


(人混みに紛れて人身事故)


康代「…チッ、今日はリエだけか。ミカのやつ、何か用事でもあったのかな…」


いつもならリエとミカが2人揃って来るのだが、今日はリエだけだった。

仕方がない。


「きゃーーー!!」


人混みに押されて、リエは線路に落ちたらしい。

思いきり血しぶきが飛んで即死だった。


康代「ふーー、フフ… リエちゃん、さようなら」


私は何食わぬ顔でホームを立ち去った。


ト書き〈翌日〉


ミカ「…まさかリエが死んじゃうなんて…」


典子「昨日まで普通に喋ってたのに…リエぇ…」


2人は親友を失い悲しみのどん底。


ト書き〈翌日〉


典子「ウソ…ミカまで…」


その翌日。

ミカも死んだ。

リエと同じように駅のホームで誰かに押された様子。


康代「…あの、大丈夫?」


典子「康代…うるさいわね!ほっといてよ!」


典子は放課後、先生に呼ばれて職員室にいた。

心のケアでもして貰いに行ったんだろう。


康代「(フフ、これで邪魔者は居なくなったわね…)」


私は一足先に帰宅した。

でも自宅には戻らない。

戻る場所は1つ。


ト書き〈典子の部屋〉


典子「嘘よ嘘!2人が死んじゃうなんて、私絶対信じられない!」


典子は帰宅した後すぐ自分の部屋に上がり、

ずっとリエとミカの事を悲しんでいた。


ずっと泣いたり叫んだりした後、少し沈静化した。

そして…


典子「…友達を失うってこんなに悲しいものなんだ。私、今まで友達の有難みとか考えてこなかったのね…」


典子「…康代…あの子、今までこんなに辛く当たってきたのに、悲しんでる私のそばに来てくれて、慰めようとしてくれた…」


典子「康代も大事な友達だ…。謝らなきゃ…」


そんな方向に典子の独り言は変わっていった。

そして典子は携帯電話を手に取り、私に電話をかけた。


ト書き〈ギクっと振り向く典子〉


私の携帯の着信音は、典子の部屋のクローゼットから聞こえた。

クローゼットの扉がぎーーっと開く。


康代「……典子ォ、やぁっと、私の有難み…解ってくれたんだぁ…。嬉しいわ。これからは、ずーーっと一緒に居ましょうねぇ…」


典子は目をまん丸く見開いたまま…

黒目がちな瞳で私の事を見つめていた。



エンディング〜


実に怖いお話ですよね。


大人しく見える康代が実は自分への虐めを喜びに取り、

逆に典子を自分のモノにしようと追い込んで行く。


あるようで有り得ないような展開・結末ですが、

現実のフタを開けてみると…

こんな恐怖はもしかすると普通に起きているのかも知れません。


この後どうなったのかはご想像にお任せしますが、

康代にとって典子は大事な存在。

虐待したり暴力を振ったり、或いは殺害したりなど、

その辺りの心配はおそらく無かったでしょう。


でも、康代のストーカー行為を振り払う事はおそらく容易ではなかった筈。

それなりの代償を典子も払う事になる筈です。


その代償がどんなものだったか?

それが第2の恐怖になりそうです。


これまでに書かせて頂いたYouTubeドラマシナリオ(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=JH5eZmi_C1c&t=80s

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