第6話 女は男より大きくあるべきだ—杉浦大(157cm)の愛の哲学—

杉浦大(157cm、29歳)は、低身長男同盟の中でもひときわ異彩を放つ存在だった。

彼の彼女はなんと身長167cm、体重91キロの大女。

杉浦はそんな彼女に夢中で、その愛し方も一風変わっていた。


ある日のこと、低身長男同盟の定例会で、メンバーたちはいつものように話し合っていた。

斎藤や矢萩は、最近の低身長女子会との合コンの話題で盛り上がっていたが、杉浦は少し遠くを見つめながら静かに口を開いた。


「お前ら、どうしてそんなに女性のサイズにこだわるんだ?俺は違う。女は男より大きくあるべきだと思ってるんだよ」


その言葉に、場の雰囲気が変わった。メンバーたちは一瞬沈黙し、そして五島会長が首をかしげながら問いかけた。


「どういうことだ、杉浦?男が女より大きいのが普通だろう?」


杉浦は微笑んで答えた。


「それは、今の時代の常識にすぎない。だが、もっと遠い昔、人類がまだ微生物だった頃の話を知ってるか?」


メンバーたちは顔を見合わせ、困惑気味に耳を傾けた。


「遠い昔、オスはメスよりも小さかったんだ。それが自然の摂理だったんだよ。オスは小さくて俊敏で、メスは大きくて強かった。それが、俺の中には遺伝子レベルで刻まれている。だから、俺は自然に逆らわずに生きているんだ」


斎藤が笑いながら「お前、何を言ってるんだ?そんな話、聞いたことないぞ」と茶化したが、杉浦は真剣な表情で続けた。


「俺の彼女、知ってるだろう?身長167センチ、体重91キロ。まさに俺の理想なんだ。バッタみたいに彼女の大きな体にくっつくと、俺は安心する。世界が俺を包み込んでくれてる感じがするんだよ。だから俺は、男が女より大きいべきだっていう固定観念を捨てるべきだと思うんだ」


メンバーたちは彼の話に半信半疑だったが、その熱意には何かしらの説得力があった。


その言葉に、五島会長(155cm)が眉をひそめた。「バッタみたいに、って…お前、本気で言ってるのか?」


「本気ですよ!」杉浦は自信満々で言い切った。

「俺はですね、たぶん人類がまだ微生物だった頃、オスがメスよりも小さかった時代の記憶を遺伝子レベルで持ってるんですよ。だから、俺は大きな女性にくっつくことで、自然と一体になってるんです!」


その場が一瞬、静まり返った。メンバーたちは、口を開けて杉浦を見つめた。


「おい、杉浦、それって…」斎藤が言葉を選びながら切り出した。


「ちょっと、いや、かなり変じゃねえか?」


矢萩も首をかしげた。

「なんつーか、普通に考えて、お前ただの変態だろ」


「お前、それただの変態だよ、杉浦!バッタみたいにくっつくとか言って、ほんとに何考えてんだ!」斎藤は涙を拭いながら笑い続けた。


メンバーたちの笑い声が響く中、杉浦は一瞬だけ悔しそうな顔をしたが、すぐに開き直った。


「まあ、変態かもしれないけど、それで幸せなんだからいいだろ!俺は彼女の大きな背中にぴったりくっついてるとき、世界で一番リラックスしてるんだ。お前らには分からないだろうけど、これが俺の生き方なんだよ」


五島会長が息を整えながら言った。


「確かに、俺たちには理解できない部分があるけど…まあ、杉浦、お前が幸せならそれでいいんじゃないか」


結局、杉浦の「恋愛哲学」はただの変態扱いされてしまったが、彼はそれでも自分の信念を貫いていた。

そして、仲間たちもそんな杉浦をからかいつつも、どこか応援しているような、不思議な友情がそこにはあった。

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