第5話 遺伝子レベルの激突!低身長男子VS低身長女子の合コン
矢萩善明とその仲間たちは、低身長男子たちの悲願ともいえる「低身長女子会」との合コンに向けて、心を踊らせていた。
しかし、その期待は開始前に一気に冷や水を浴びせられることとなる。
合コン直前の打ち合わせで、低身長女子会の代表である船津明美がメンバーたちに向けてこう宣言したのだ。
「私たち、今度の飲み会は楽しむつもりで行きますけど、彼女になるつもりはありませんから」
その言葉に男子たちは一瞬沈黙し、打ち合わせの場の空気はピリッと張り詰めた。
しかもその次に明美が理由を語り始めると、さらにその場は凍りつく。
「だって、もし万が一結婚にでもなったら、子供が低身長確定じゃないですか?それはちょっと考えちゃいますよね」
この言葉に、低身長男同盟の面々はがく然とした。
矢萩はじめ五島会長や斎藤も、心のどこかで同じことを考えていたかもしれないが、あまりにも率直に言われると、さすがにショックを隠せなかったのだ。
「結婚なんて、まだまだ先の話だろう!」と、斎藤が笑いながら言い、なんとか場の空気を和らげようとしたが、明美の言葉は彼らの胸に深く突き刺さっていた。
しかし、ここで落ち込んでいては低身長男同盟の名が廃る。
明美が去った後、五島会長が立ち上がり、メンバーたちに向かって力強く言った。
「確かに、低身長の遺伝子は強力だ。だが、それで俺たちが屈するわけにはいかない!むしろ、俺たちの魅力でそんな心配を吹き飛ばしてやるんだ!」
その言葉に、矢萩や斎藤、他のメンバーたちも再びやる気を取り戻す。
「そうだ、低身長だからこその魅力を見せつけてやろう!」と彼らは一致団結した。
そして、いよいよ合コンがスタートした。
最初は気まずい雰囲気が漂っていたが、矢萩たちは持ち前のユーモアとトークスキルで徐々に場を盛り上げていった。
合コンが進むにつれて、低身長男子たちは自分たちがいつもとは違う感覚に包まれていることに気付く。
彼らの目の前には、自分たちよりもさらに小柄な女性たちが座っている。
普段はどこへ行っても「小さい」と言われるばかりの彼らが、初めて誰かを守るべき存在として感じることができたのだ。
「確かに低身長だけど、それだけで子供が低身長になるかどうかは分からないよね。遺伝子って案外、意外なところでサプライズを起こすんだよ!」と、矢萩が冗談交じりに言うと、低身長女子たちは笑い始めた。
斎藤も「それに、低身長だからこそ、かわいい子供になるかもしれないじゃないか。みんなでちっちゃな家族を作って、毎日笑って過ごすなんて素敵だろ?」と続ける。
その瞬間、矢萩たちは初めて、自分たちが「男」としての自覚を持った気がした。
彼らは、ただの低身長ではなく、自分たちが誰かを守り、リードする存在としての自信を感じたのだ。
女子たちは最初こそ半信半疑だったが、男子たちの誠実な態度とユーモアに徐々に心を開いていった。
船津明美も矢萩たちの真剣な思いに触れるうちに、少しずつ考えが変わり始めた。
「もしかしたら、低身長でも幸せな家族を築けるかもしれないね」と、明美がぽつりとつぶやいた。
その言葉を聞いた矢萩たちは、内心ガッツポーズをしたが、表向きは冷静を保ち、合コンを楽しく進行させた。
彼らは、ただ楽しむだけでなく、低身長の魅力を存分にアピールし、女子たちにその魅力を伝えることに成功したのだ。
結局、その夜は誰も彼女にはならなかったが、矢萩たちは確かな手応えを感じていた。
彼らは低身長同士でしか味わえない特別な絆を築き、次回の合コンに向けての希望を胸に抱きながら夜の街へと消えていった。
低身長男同盟と低身長女子会の物語は、まだまだ続いていく。
彼らの戦いは、笑いと共にこれからも展開されていくのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます