新人婦警 幸田詩琳
夏々湖
新人婦警 幸田詩琳
幸田
警察官として働くためは、厳しい警察学校にて十ヶ月間もの勉強と訓練が待っている。
苦しい訓練だった。毎日、へとへとになるまで絞られた。十ヶ月間、ひたすら訓練に明け暮れた。
しかし! 憧れの婦警になるために、高いモチベーションを保ったまま素晴らしい成績でこの十ヶ月間を過ごした。
卒業点検も完璧にこなし、ついに卒業式だ。
警察学校卒業式。そして、ここで最初の配属先が発表される。県内ならばどこでも可能性があるが、元の住居管轄だけは外される。
「幸田詩琳、県警本部への出頭を命じる!」
ん? 出頭? 配属じゃ無くて?
いやいやいや、多分言い間違いだよね。あーびっくりした。
式が終わった後、講堂の隅で辞令を確認した。
『以下のもの、県警本部への出頭を命ずる。 幸田 詩琳』
って、出頭って書いてあるしっ! いや、意味わかんないしっ!
慌てて元担当教官のもとに走る。
「あのっ、わたしの辞令がなんかおかしいんですが!」
「ああ、俺も初めて見たわ。いや、都市伝説では聞いたことあったのよ。出頭型辞令って奴。これもらった奴は、大抵県警から消えるらしいけど」
いやいやいやいや、大抵消えるって何それ怖い。
「まぁ、正式な辞令だ。出頭するしかないな」
「はぁ……」
こうして、詩琳の警察官としてのキャリアはスタートした。
♦︎
「幸田詩琳、県警警備部への配属のため、国家公務員、経験者採用試験の受験を命ずる」
県警本部へ出頭した詩琳は、最上階の小部屋に連れて行かれたあげく、少人数の中で新たな辞令を渡された。
これは一体何なのだろう。
わたしはただの高卒婦警のはず。一体この人は何を言ってるんだろう?
そんな疑問を持ちつつ、辞令を受け取った。
詩琳の頭の中はハテナマークが飛び交っているが、こんな場所でパニクるわけにもいかない。
辞令ってのは、こんなにポンポンと渡される物なのか?
日本の官僚制度はわかりづらいなぁ……なんて日本人のくせに考え込んでいる。
可愛らしいおかっぱに、細めの体躯。目つきは優しいがすっきりとしている。
誰が見ても『あら可愛い、新卒さん?』って見られるような小娘である。こんな複雑な人事システムがわかるわけがない。
しかし、辞令は辞令だ。言う通りにするしかない。
その日から県警本部の最上階に引きこもって、勉強漬けの日が続いた。
試験日当日、なんと担当教育官が会場入り口まで付き添ってくれると言う甘やかし待遇で受験し、後日、無事に合格が発表された。
試験に合格! よっしゃ、これで無事に婦警さんとして働けるのよっ!
十八歳で高校を卒業して、すでに二十歳を超えている。現場になかなか出られない。
試験に受かれば、当然また来ますよね。辞令。
『以下のもの、所属を警察庁へと移したのち、陸上自衛隊 小平駐屯地 陸上自衛隊調査学校にて初等教育を命ずる』
ちょっと待て!
あたしゃ警察官よ?
自衛隊? そんなところ入った覚えないのっ!
って言うか県警は? 警察庁ってキャリアの人たちが集まってるヤバいとこじゃないの? なんでこんなことになってるの?
しかし公務員の辞令である。従わないなんてことはまぁ、無理だ。
詩琳は住み慣れた県を離れ、東京にある警察庁へと出頭。すぐさま護送車! で陸上自衛隊調査学校に送り込まれた。
陸上自衛隊、小平駐屯地 陸上自衛隊調査学校
陸上自衛隊の中でも情報に特化されている教育機関である。
しかし、詩琳はそんなこと知らない。
どこそれ? 何するとこ? 何で自衛隊? あれ? わたし警察官になったんだよね? 自衛隊とか入ってないよね?
降ろされる直前、交差点の看板を見たら『警察学校北通り』と書いてある。
(ああ、なんだ。警察施設じゃん、びっくりしたぁ)
そして、そのまま小平駐屯地に連れ込まれた。
「け、警察庁警備局の幸田詩琳、ただいま着任いたしました」
到着早々に着任挨拶をさせられている。心の準備とか何もないし、目の前の人はどこからどう見ても自衛官だし。
「はい、お疲れ様です。で、お疲れのところ申し訳ないが、自衛隊前期教育ってのを受けてもらわないとならないんだ。じゃ、よろしく」
調査学校はガチガチの陸自隊員のための学校だ。陸自の常識をまずは叩き込まねばならない。陸上自衛隊前期教育……自衛隊に入隊した隊員が、最初に受ける洗礼である。
詩琳はそのまま、また外に連れ出されて深緑色の高機動車に詰め込まれた。
今度はどこに向かうのか……ものの三十分でついた先は立川駐屯地。また自衛隊の施設である。警察官なのに……
って、何? え? へ、ヘリコプター⁉︎
「こちらの
いや待って待って、ツッコミ追いつかない。人生初のヘリコプターにこんなところで乗るとか思ってないし! なんて言ってる間に機体に押し込まれ、タービンからの出力を受けたメインローターがビュンビュンと回り始めた。
「ではこれから、滝ヶ原駐屯地にお送りします。そちらで教育を受けていただきます!」
やたらうるさいヘリコプターの中、ほとんど怒鳴られているんじゃないか? という感じで説明を受ける。
滝ヶ原ってどこよ……なんて思っていたら、だんだん富士山が近づいてきた。
陸上自衛隊富士学校。
陸上自衛隊の教育を前期教育からレンジャー育成まで、なんでもこなすスーパー学校である。
だからわたしは婦人警官だってばっ!
着任の挨拶も早々に、装備品一式を貸与され、宿舎に案内され、そしてすぐに教導連隊へと身柄を引き渡された。
♦︎
「きをーつけー、右向けー、右っ!」
ザンっ!
全体の動きが揃った。
「駆けあーし、進めっ!」
ざっざっざっざっざっ
走る。ひたすら走る。
「次っ、ほら飛べ! 遅れるなっ! おまえの遅れで後ろのやつが死ぬんだよ!」
塀の上から飛びまくった。
「半長靴、磨き不備! やり直し!」
磨いた、畳んだ、揃えた、アイロンかけまくった。
「ほら、パウダー残ってる! そんなんじゃ遊底の摺動不良で死ぬぞ!」
64式小銃の分解整備組み立て作業。めちゃくちゃやった。暗闇でもできるぐらいに訓練した。
そのうち、前期教育を終えた隊員が入れ替わり、新しい隊員が来ても詩琳は教育を受け続けた。
「わたし、落ちこぼれなのかな……」
東富士演習場で手榴弾の投擲訓練をしながら、男性隊員ほどの飛距離を出せずに悩む。
そういえば、ここに来たばかりの頃は女性隊員と訓練していたはずなのに、気がついたら周りはみんな男性隊員だなぁ。
訓練開始から一年。
「よぉし、幸田巡査、今日からこっちの訓練に合流しろ」
訓練コースが変わった。うん、明らかにおかしい。わたしでもわかる。だってあの人たち……
「あのぅ、こちらの方々、返答が全部『レンジャー』なのですが……」
「ああ、まぁ気にするな。ちょっと特徴的なだけだから」
「いや、気にしますよねっ⁉︎ わたし、警察官なんですけど! あの人たち、どこからどう見てもレンジャー訓練ですよねっ⁉︎」
「レンジャーき章つけてる警察官とか、かっこいいじゃないか」
「違います〜、そうじゃない〜、あーれー」
お風呂だけは入浴時間を分けてもらった。
♦︎
詩琳は二十二歳になった。富士学校の中をたらい回しにされ、部隊内に知らない人はいないレベルの部外者になっている。
「詩琳ちゃん、非番かい?」
「はい、これから御殿場に買い物行ってきます」
「詩琳ちゃん、お昼食べてきな」
「ありがとうございます、じゃ、お言葉に甘えて」
「詩琳ちゃん……」
どこに行っても大人気である。おそらく、滝ヶ原開設以来で最も人気の出た警察官であろう。
普通は警察官の人気とか考えたりしないが。
そんなある日、やっと辞令が届いた。
「やった、やっと婦警さんになれるのね!」
世の中そんなに甘くなかった。
『辞令、以下のもの、陸上自衛隊小平学校への原隊復帰を命ずる 幸田詩琳巡査』
そういえば、最初に自衛隊に配属になった場所はそこだったわ。
調査学校は部隊改変により、小平学校と名前を変えていた。
小平駐屯地での訓練は体力的には随分と楽だった。基本的に全て座学。体力維持のためだけに走る程度で日々が流れていく。
ただし、頭は酷使する。もう、めちゃくちゃ酷使する。脳がカロリーと酸素を欲して暴れまくる。
普通科高校を出て、警察学校から脳筋の群れに放り込まれた小娘が、毎日コンピュータと睨めっこである。
「え? また新しい言語触るんですか? 御作法が変わるとバグだらけにしちゃうんですよぅ、わたし、そんなに賢くないですよぅ。もう全部C++で良いじゃないですか……」
ニーモニックから叩き込まれ、高級言語の素晴らしさに目覚めたばかりの詩琳である。
いや、レンジャーき章つけたシステムエンジニアとか、何それ美味しいの?
二年かけて無理やり情報戦争を叩き込まれた。幸田詩琳、二十四歳。そろそろ結婚適齢期である。
♦︎
『辞令、以下のものを陸上自衛隊 第一空挺団における研修を命ず 幸田詩琳巡査』
待てゴルァ! よりによって空挺だぁ?
そりゃ、富士学校の訓練でヘリからのリペリングなんかは散々やったよ? でも、普通科の範疇だった。わたしはまだ普通なの! 空挺は、あれはダメ。富士学校にいた時も時々降ってきてたけど、あの人たちは普通じゃないから!
とか思ってる間に、気がついたら立川から
そして、自衛隊での訓練の基本といえば
「おら、走れ走れー、弾飛んでくるぞおらー」
富士で慣らされた詩琳には、日常でしかなかった。
「よーし、行くぞ、飛べっ」
ただ、この高さ八十メートルの降下訓練塔はダメだ。
「た、たたたた、高いですよぅ」
「はぁ? 八十メートルしかないんだから低いだろ? 本番は三千メートルからだからな」
いやいやいやいや、十分高いって! 下にいる隊員とか、豆粒よりちっちゃいよ?あんなとこへ……あ〜れ〜………………
だいたい、女性自衛官はこれ飛んじゃダメなのに、何で警察官は良いのよっ⁉︎ ……あ〜れ〜……
まだ女性空挺隊員が誕生するずっと前の話である。
恐怖で足がすくむ事がなくなるまで、何度も何度も飛び降りた。
その度に、パラシュートの点検と正しい畳み方を再学習する。ここを失敗すると、訓練中の殉職だ。まだ警察官っぽいこと何もしていないのに。
早くわたしにミニパトを運転させてくれ!
偵察用オートバイには散々乗った。高機動車も軽装甲機動車も富士の麓で乗り回した! 次はミニパトだろ? こんな、
「おお、詩琳ちゃん、久しぶり! 元気だったか?」
「あ、お久しぶりです! 元気に飛び降りてますよー」
東富士演習場で飛ぶと、学校の教官達に出会う。ドーランまみれで素肌出てないのに一目でわかるの、すごいと思う。
(って、日本にいる空挺女子ってあたししかいないじゃんか……そりゃわかるわ)
「それにしても、もうすっかり空挺隊員だな」
「違います」
「普通科連隊のアイドルだったんだがなぁ」
「それも違います」
「あとは特殊部隊でコンプリート?」
「しませんっ! わたしは婦人警官なんですよぅ!」
『辞令、以下のものを陸上自衛隊 第一空挺団特殊作戦群における研修を命ず 幸田詩琳巡査』
いや、待てよ……いい加減にしろよ。何だよ特殊作戦群って。あたしゃ婦警よ? 百歩譲って特殊急襲部隊ならわかるの。警察庁の管轄なんだから。
なんで特殊作戦群なの? 警察官はそんなにパカパカ弾撃たないのよ?
なんで警察官がM4カービン抱えて
建物の窓から
特殊作戦群には、一人の女性士官がいた。日本語以上に中国語に堪能な
詩琳はこの女性士官に徹底的にしごかれた。女が戦場に立つと、負けた時にどれだけ悲惨な事になるのか。ならば、負けないためにはどう動くのか。
素手なら? ナイフ一本なら? 拳銃一丁なら?
何があっても生き残れ、そして殲滅せよ……
あの、わたし警察官なんですけどっ!
わたしは一体、何にさせられるのだろう。今も給料は警察庁から出てるのだ。警察は、自衛隊は、一体わたしをどうしたいのだろう。
しかし、疑問を持っても任務をこなす。詩琳は着実にエキスパートへと歩んでいる。
ただ、何のエキスパートなのかは一切不明だ。
♦︎
『辞令、以下のものを国連平和維持活動における自衛隊と民間企業との間の折衝を命ず 幸田詩琳巡査』
いやいやいやいや、もう突っ込むのも疲れたけどおかしいだろ? それ、警察官の仕事か?
『仕事です』
百歩譲って警察の仕事だとしても、民間人相手の警察官じゃなくて警務隊の仕事じゃないの?
『自衛隊の追加派遣は日本国的に面倒だから行ってきて』
それが本音かぁっ!
『M4カービンとUSPコンパクト持たせてあげるから』
なら仕方ないか……ぶつぶつ
こうして、ゴラン高原に一年半にわたって派遣された。
自衛隊は徹底的に戦闘地域を避ける。万が一戦闘が発生した日には、また国会が荒れまくるだろう。
だが、員数外の詩琳は別だ。
ビジネススーツを着た他宗教の可愛い娘が扮装地帯をふらふらしてるのだ。鴨がネギ背負ってやってきた。
側から見たら、確かにそうなのだ。鴨がネギ背負ってやってきたように見えるのだ。
だが、その実態は……詩琳がM4背負ってやってきた。
自衛隊に、詩琳が受けた全ての訓練をこなした人間はいない。
パパンっ、パパンっ、パパンっ
早朝の高原に銃声が響く。
相手の数はわかってる限りで五人。恐らく自由時間の地元兵だろう。武装は彼らの標準装備、カラシニコフ。下卑た表情で銃を向けて声をかけてきたので、とっとと発砲した。
「はぁ、早朝散歩だからってカービン置いてきたのは間違いだったかなぁ」
近くの岩陰に入りつつ、相手を伺う。と、7.62mmの弾がフルオートでばら撒かれてくる。
「7.62mmがフルオートで当たりますかっての!」
とはいうものの、マグレでも一発当たったらおしまいなのは確かなのだ。
「フッフッフッ」
短く三回息をして心肺を整え、飛び出し様にダブルタップ、パパン。
「逃げられるかなぁ……」
無線機はあるが、隊の方から救援は出してくれないだろう。戦闘地域に近づくなど、もってのほかだ。
とはいうものの、無言で行方不明になるわけにもいかない。一応連絡だけ入れておくかぁ。
「こちら幸田巡査、こちら幸田巡査、派遣警備隊取れますか?」
「こちらゴラン警備隊、詩琳ちゃんどうぞ」
「こちら幸田巡査、お散歩中に襲われまして、ただいま交戦中です。朝食に遅れるとお伝えください。どうぞ」
「バカ詩琳、どこだっ!」
「バカとはなんですか、(ダダダダダダダダダダ)とはっ!」
「ちょっ、待ってろ! すぐ行く!」
「いや、来ちゃダメでしょう、自衛隊的にっ(パパンっ)」
「良いから待ってろ!」
基地側の動きは早かった。
自衛隊には、銃声の方向から戦闘地域を割り出す機材がある。基地内のバラバラな場所五箇所に設置されたマイクが、拾った銃声の到達時間差から候補地を割り出しモニタに表示する。
「基地北方2km付近、集落手前の道路沿い、武装警護隊出ます!」
高機動車が三台飛び出していく。間に合えっ! 全隊員の願いを背負い、全速で現地に向かった。
(あー、悪いことしたかなぁ。ありゃ出てきそうだよねぇ)
とりあえず三人は無力化した気がする。もう一人も動きが鈍いかな?
おお、この4.1リッタージーゼルの音は……
「高機動車……ほーんと、ばかばーっか」
でも、弾とか使わせちゃったらまた面倒だよね……よし、今のうちにやっつけておこう。
自分を囮に使う。
姿を見せれば必ず撃ってくる。その弾が当たるか当たらないか。
「当たらせない!」
人間の反応速度はどんなに早くても0.1秒を切ることはない。相手が認識してから0.1秒。プラス、相手との距離の35m。弾が届くまでにかかる時間は0.05秒。合計0.15秒。
相手の狙った場所に出た場合は最短それだけしか猶予はない。
「余裕っしょ」
相手に狙いを追わせる事ができれば、さらに猶予ができる。
背中側に回していたバッグを頭の高さより上にして放り出す。
相手のエイムが一瞬でも揺れてくれれば……そのまま体を低くして飛び出した。
ダダダダダダ……
案の定フルオートで追い撃ちしてきた、あんなもん当たるわけがない。
見えた。ギリギリの低姿勢を保ちながら両手で保持したUSPコンパクトを向ける。流石にこの距離では牽制射撃にしかならないが、ダブルタップしながら距離を詰めていく。
15m詰めたところで時間切れ、高機動車が見えてしまった。身を乗り出した隊員が突撃銃で威嚇射撃を始めた。
「あー、弾使わせちゃったなぁ……申し訳ない」
誰にも届かないが、声に出して謝罪しておく。
ただ、気を逸らした相手に近づくことはできた。本日何度目かわからないダブルタップでお尻と脚にダメージを与えて制圧した。
「詩琳さん、大丈夫ですかっ!」
複数の隊員が飛び降りてきた。
「ありがとうございます、皆さん。わたしは大丈夫です。まぁ、疲れましたけど」
良かった良かったと騒ぐ隊員に謝る。
「すみませんでした。弾、使っちゃいましたよね……」
自衛隊では、全ての弾薬は厳正に管理されている。たとえPKOで出動していたとしても、紛失することは御法度なのだ。
そして、正直に戦闘行為があったと報告したら、今度は日本を揺るがす大問題になってしまう。
「ああ、その件ならさ、詩琳さんの弾、もらえればオケってことで!」
「…………ぽんっ!」
手のひらを拳で叩いて納得した。
そう、詩琳のM4と自衛隊の89式には弾薬に互換性があるのだ。製造元に違いはあるが……
「訓練で使った後に、カート入れ替えればおけっ!」
この日以降、詩琳がM4を手放すことはなく、更に二回襲われたが二回とも無傷で生還した。
こうして、陸上自衛隊では勝利の女神としての地位を上げていくのだが……
「だからわたしは警察官なんですってばっ!」
♦︎
帰国後、原隊復帰で特殊作戦群に戻らされたが、翌年とうとう待望の辞令が届いた。
『辞令、以下のものを警察庁警備局警備企画課に配属する 幸田詩琳巡査』
やったっ! 警察官だわっ! 婦警さんよ婦警さん!
小学生の頃に憧れた婦警! 長かったわ。
高校卒業してすでに九年。ひたすら婦警になるための修行を……修行? あれ?
でも、警備企画課って何かしら。企画課って事はイベントでも開くの? 交通安全教室とか?
まぁ、とにかく警察官よ、警察官! 今日からわたしは警察官!
配属日当日、ワクワクしながら霞ヶ関の本部へ赴いた。
指示されたフロアに駆け込み、集まってる職員に笑いかけながら、大きな声で自己紹介。
「おはようございます! 本日からこちらに配属になりました幸田巡査でありますっ! 新人婦警ではありますが、皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたしますっ!」
新人婦警 幸田詩琳 夏々湖 @kasumiracle
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます