その2
その『カキフライ』の一番の特徴は、やはり衣の際立ちだと思います。
素材の良さは当然なのですが、大粒の生牡蠣に、粗めのパン粉を使いカリっと揚げる❗
ただ、それだけなのですが、何かが違う❕
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話が少し逸れますが…
その店には一般的なレストランには、必ず有ると云って良い食材の『玉葱、人参、ジャガイモ』等が、基本的に有りませんでした。
『マヨネーズ、タバスコ』等の加工されたソースも一切、置かない徹底振りでしたので、時よりのお客様からの要望に困る事もしばしば有りました。
ですから、その『カキフライ』にも『タルタルソース』等のソースは
無く、それがその店に於いては至極、普通の事でした。
私は今でも基本的に、フライを食する時に、ソース等は使用せずそのままで頂きます。
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話を本題に戻しまして、
美味しさの要素はさまざまに有ります。『香り』『食感』『味覚』『変化』『喉越し』…
そんな中、この『カキフライ』で私が別格と思う一つの象徴として、ある『感覚』を感じ得た事です。
それは『痛み』でした。
かの『カキフライ』を美味しく食べ終えた後、この痛みに気付いたのは、まずコーヒーや水が口腔全体に滲みたのです。
私が思うに、この『痛み』は『カキフライ』の衣の余りに鋭い際立ちにより、口腔内に無数の傷が出来た為だと思われます。
フライの衣で口腔内を傷つけるなんて始めての経験ですし、そんな話を聞いた事もありませんでした。
もし、この『カキフライ』に何かのソースが掛けられたりしたなら、こんな現象にも至らなかったと思います。
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こんな経験が、私にとっての『別格のカキフライ』として、記憶の中にしっかりと刻み込まれ、今に至る訳です。
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その後、現在に至るまで『痛いフライ』にお目にかかる事は無かったのですが、先日嬉しい事に『痛い天婦羅』に出会う事が出来たのです。
美味しい『衣』は『痛い』を再び体現できた事は
痛い『衣』は『美味しい』の証明にも為ったのではないでしょうか。
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もし、皆さんが美味しそうな『フライ』や『天婦羅』に出会ったなら、試しに何も浸けずに召し上がってみて下さい。
口腔内を傷つける、キレッキレの衣を体験する事が出来るかもしれませんから…
そしてその『フライ』や『天婦羅』は、きっと美味しい筈です!
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