四物語―肆―

六散人

ようこそおいで下さいました。

わたくし、当屋敷の執事バトラーでございます。


恒例の怪談会も、これで四度目となりますが、『し』という仮名には、『死』という真名を当て、古来より不吉とされてきました。

そして今宵は四度目の四物語。


『死』重ねの、それは不吉な夜会となりました。

妖しき話を語り聴くには、誠に相応しい夜と申せましょう。


そして今宵の語り手たちも、不吉な夜会に相応しい方々を取り揃えております。

最後までお付き合いいただきましたら、これに勝る喜びはございません。


さて、会を始めます前に、お詫びとお知らせがございます。

これまでの三度の会におきましては、ご出席の皆様方に、何の饗応も差し上げておりませんでした。


わたくし、屋敷あるじより、その不躾ぶしつけを、きつく𠮟られた次第です。

大変申し訳ございませんでした。


そこで今夜の会では、些少ではございますが、茶華などをお口汚しに供させて頂いております。

是非とも御笑納下さいますよう、伏してお願い申し上げます。


さて、少々前置きが長くなったようでございます。

それでは『四物語しものがたり』第四幕の始まりでございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る