第18話 色々と振り返る男です。
それにしても、今日という一日は振り返ってみてもあまりにも驚きの連続だった。
そんなことを考えながら今、寝巻姿の俺、佐藤健は自宅のベッドの上でひとりぼーっとスマホを弄っている。
でも、それにしてもだ。今日がものすごく楽しかったことに異論はないが、まさか倉科さんが、あの倉科のお姉さんだったんなんてな。
そもそも、まさかのマッチングアプリの【あず】さんが、倉科さんだったことに朝から驚愕して腰を抜かしそうになったから、本当に言葉通りに驚きの連続だった...。
先週に引き続き、真剣にどうなっている。
色々とありえなさすぎることが立て続けに起こりまくっているこの状況は。
まあ、現実的にはありえてしまっているのだが。
ちょっと、まだ無料期間であるとはいえ、マッチングアプリを利用し続けるのが本格的に怖くなってくるレベル。
なんせ、今のところこのアプリでマッチングした女性が、俺の知っている人である確率が100%だからな。
お互い顔も本名も出していないのに、どういう神の悪戯だ。
それとも以外にマッチングアプリではよくあることなのだろうか?
「......」
いや、そんなわけがない。明かにイレギュラー中のイレギュラーだろう。
そう。こんなことがそう頻繁に起こりうるわけがない。
それにしてもだ、何だろう...。
いつもなら、こうやってベッドの上でスマホ弄っていると自然と睡魔に襲われて眠りについてしまっているのだが、倉科さんほどの美女との疑似デート的な、あまりにも非日常的な今日の出来事に脳の興奮が冷めていないのか、全然眠たくならない。
今も、俺はとある相手とlineのやりとりをしている真っ最中ではあるが、その相手はあのバカ木村。本来ならこいつとのlineの最中に眠りに落ちることがほとんどなのだが、今日は全然。
とりあえず、木村も俺と一緒にあの倉科とは仕事をしていた仲だったから、教えてやった。
あの倉科さんが、その倉科の姉だったということを。
もちろん、今日倉科さんとマッチングしたことは内緒にはしているが、あまりにもその事実に驚いた俺は、つい誰かにその事実を共有したくなり、お昼ごろに結果として木村にlineをしたというところ。
ただ、本来であればそういうlineにはすぐに反応する木村も、意外にも今日は返事が遅く、返信があったのもそのlineを送ってから10時間ぐらい経ったついさっき。
既読は早い段階からついていたし、あいつにしては珍しかったが、まあ、あいつももういい歳をした大人だ。没頭する趣味や用事とか色々と何だかんだであるのだろう。それが碌なものであるかどうかは置いておいてだ。
まあ、そんなことは正直、心底どうでもいいことに違いはない。
それよりもやはりこっち。
本当に、まさかのまさかだが。
「.....」
まさかの来週も倉科さんと土曜日に会うことになった。
まあ、もちろん次は今回みたいに二人ではないが。
どうやら、倉科。そう。倉科さんの弟の倉科 充が俺と久しぶりに会いたがっているみたいで、今度は来週の夜に一緒に3人でご飯をすることになった。
場所とかは
ちょっと、あいつとはかなり色々とあったから懐かしいというか何と言うか、普通に楽しみだと思う。そして今日はあいつの話で倉科さんともかなり盛り上がったのだが、何だかんだであいつは俺にも感謝をしてくれているらしい。
あと、これはさらにまさかのまさかなのだが。
その日の昼は...。
色々とあって、まさかの今田ちゃんと一緒に猫カフェに行くことになっている...。
「.....」
ちょっと、来週の俺の土曜日の予定。色々と濃すぎではないだろうか...。
でも、夜の予定があるから、一度は今田ちゃんに翌日の日曜日やその次の週では駄目か提案してみたものの、日曜日や次の週はどうしても予定があるからその日がいいとのこと。
さすが今田ちゃん...。俺と違ってシンプルに休日が充実している様子。
とりあえずだ。もう、何がなにやらわからないが、これからずっと暇を楽しむことになるであろうと思っていた俺の週末が、一瞬ではあろうが、まさかの彼女がいた時よりも忙しいというか、暇ではなくなっている気がする。
そして、あらためて、この状況に勘違いをするような愚かな真似をする俺ではないが、何だろう。
俺、もうすぐ死ぬのか?
そうでないと説明がつかないほどの良い意味での出来事が立て続けに起こり続けている。
そして、そうこう考えているとまた木村からのline。
『やっべぇよ、佐藤。また本格的に梓ちゃんからlineが来るようになった上に、今日なんてもうあの今田ちゃんともlineしまくりでさー! 俺、もうすぐ死ぬんじゃね?あー、お前にもこの幸せを分けてやりてーよ。なあ、今から通話していいか!通話!』
いや、前言撤回...。
最悪だ。今の俺...木村と同じ思考回路?
『いやー、来週お前はあの充と一緒に飯に行くみたいだけど、もしかしたら俺っちはそのお姉さまの梓ちゃんとディナーに行く可能性もワンチャンあるぞ、これ。いや、まじで。おい佐藤、とりあえず俺のこの興奮をお前にも分けてやるから通話に出ろ!』
そして何言ってんだ、こいつ...。
とりあえず、駄目だな俺、あまりの非日常的な出来事の連続に、こいつと同じく何だかんだで頭お花畑になっていた。
色々と危なかった。
「......」
そして、通話?
絶対にするかよ。この時間からあいつの声はただの毒。朝まで永遠に中身のない自慢話をノンストップで聞かされること間違いなし。
よし。
寝よ...。
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