第10話 麻酔
麻酔をかけてしまえば
痛みも苦しみも感じなくなる
皮膚を切ることも
針を突き刺すことも
何だって怖くないって
気づいてしまったんだ
それは素晴らしいことだと
苦しいのはキライだし
現実逃避と言われても
嫌な感覚を消せるならいい
だから僕は麻酔をかけた
何も感じなくなるように
この腕からぽたりぽたりと
体を駆け巡る秘密の薬
それはよく効くおまじないのようで
今はもう何も感じない
だからきっと大丈夫
何があっても大丈夫なんだ
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