第3話 友情

「今まで、見て見ぬふりしてごめんな」

僕の席の後ろの前田翔が話しかけてきた。コイツは僕をいじめから助けることはなかったが、鈴木にいじめの手伝いを要求されても、決して僕をいじめることはなかった。鈴木が最近、僕をいじめてこないので声をかけてきたのだろう。

「僕も、クラスのやつがいじめられても助けることなんかできないと思う。だから気にするなって」

「なんか、木城って俺達のこともっと恨んでると思ってた。お前いいやつなんだな」

前田は申し訳なさそうに言った。

「前田も一緒にご飯食べない?」

青山が気を遣って言った。僕は青山と前田の3人で過ごすことが増えた。青山が来て1ヶ月がたった。6月になった。今まで6月は祝日がなく、学校にたくさん来ないといけなくて憂鬱だったが、今は友達が2人できて学校で過ごす日々が楽しく思えるようになってきた。こんなに幸せの普通の日常がずっと続けばいいと思っていた。でもそんな日常は突如終わりを告げる。

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