通勤パニック

口羽龍

通勤パニック

 啓太(けいた)は新社会人だ。今年の4月に入社したばかりだ。仕事は大変だけど、徐々に慣れてきて、上司からの信頼も得てきた。だが、まだまだ油断はできない。もっと頑張らないと。


 敬太はいつものように起きた。大学から一人暮らしを始めて以来、規則的な生活を送っている。寝坊した事はまずない。しっかりと起きて、しっかりと寝る。それが常識だと思っている。


「はぁ・・・」


 敬太はカレンダーを見た。今日も出勤だ。いつものように支度を始めよう。


 敬太はカップみそ汁とご飯を作り、食べ始めた。もう何年もこんな生活だ。早く結婚して、裕福な家庭を築きたい。そのためには、今の自分を頑張らないと。


 朝食を食べ終えると、敬太は歯を磨きに行った。洗面台に映る自分を見ながら、今日も歯を磨く。何でもない、いつもの日だ。


 歯を磨くと、啓太は作業ズボンに履き替えた。この会社は服の決まりがないが、啓太はこの作業服がいいと思っている。


「今日も出勤だな」


 啓太はスマホの時計を見た。そろそろ出勤時間だ。


「さて、今日も行くか」


 啓太は自宅のあるマンションを出て、最寄りの駅に向かった。道路には、多くの人が行き交っている。通勤時間帯では普通の光景だ。啓太はどうも思っていない。


 啓太は駅にやって来た。だが、運行情報を見て、啓太は悩んだ。人身事故で遅れているのだ。それが書かれている掲示板の前には、多くの人が集まっている。


「あれっ、遅れてる・・・」


 啓太はホームにやって来た。ホームには多くの人がいる。彼らは、遅延で焦っていた。だが、啓太は余裕を持ってい動いているので、全く気にしていない。


「じゃあ、少し前の電車に乗るか」


 啓太はやって来た少し前の電車に乗った。電車の中はすし詰め状態だが、それが普通だと啓太は思っている。


「余裕余裕!」


 啓太はいつものように車窓を見ていた。少し早いけど、いつもの日だ。この先の乗り換え先も多分大丈夫だろう。絶対に遅れない。そう思っていた。


 だが、車内の液晶や放送によると、その先の乗り換え先でも遅れている。今乗っている路線が原因のようだ。啓太は焦り出した。冷静さが途切れたようだ。


「あれっ、乗り換え先も遅れてる・・・。そっか。ダイヤが乱れたから、こっちも乱れるのか」




 啓太は乗り換えた電車の中にいた。電車の中はぎゅうぎゅう詰めで、本当に乗れるのか心配になったが、乗れるようだ。


「うーん、間に合うかな?」


 啓太は汗をかいている。緊張しているようだ。このままでは遅れそうだ。早く行かないと。


「遅刻しそうだ」


 最寄り駅に着いた。最寄り駅までは徒歩10分ぐらいだ。走って行かないと間に合わないだろう。早く行かないと。


「やっべ、早く走らないと」


 啓太は職場までの道のりを走っている。普段は歩いているのに、何もかも電車の遅延のせいだ。自分は悪くない。だから、もし遅れても、許してくれ。


「急げ急げ!」


 だが、間に合わなかった。だが、遅れてでも行かないと。来る時間が長くなってもちゃんと行かないと。


「あー、間に合わなかったか・・・。それでも早く行かないと!」


 やっと職場についた。職場では朝礼が行われている。上司の姿もいる。だが、行かないと。


「すいません、遅れました」


 啓太は職場にやって来た。すると、従業員が冷たい目で見た。遅れたので、冷たい目で見ているようだ。


「バカモン!」


 上司は怒った。遅刻は絶対にやってはならないのに、どうして遅刻したのだ。


「本当にすいません・・・」

「この、バカモン!」


 啓太は上司にげんこつを食らった。


 と、啓太は目を覚ました。どうやら夢だったようだ。啓太はほっとした。夢でよかった。今日もいつも通り起きた。


「あれっ、夢か・・・」


 突然、電話が鳴った。こんな時間に、誰からだろう。


「誰からだろう」


 啓太は受話器を取った。そこからは、工場のような音が聞こえている。職場だろうか?


「もしもし」

「おい、沢村!」


 上司の声だ。どうしてこんな時間だろうか? そして、怒っている。どうしたんだろうか? クレームだろうか?


「じょ、上司・・・」

「時計を見ろ!」


 啓太は時計を見た。すると、仕事を始める時間だ。自分はここまで寝ていたようだ。まさか、夢の中だけではなく、現実でも遅刻をしてしまうとは。


「ね、寝坊!」

「バカモン!」


 またもや上司の怒号が聞こえた。

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通勤パニック 口羽龍 @ryo_kuchiba

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