第38話 昔の話
むかしむかし、この世界が出来てすぐの頃。
東と西の大国が争いあっていた。
神はそれを憂い、異世界より勇者を呼び寄せた。
勇者は西の国に赴き、闇夜に暗躍するものたちを縛りあげ、東の国へ行くと怒り狂った人民をなだめた。
そうする内に勇者の心意気に触れたもの達は改心し、世界は平和なものとなった。
「……というお話。ま、随分昔の話さ。それでさー聞いてよ!勇者ってば、旅の途中にボクの巣穴に来て無言で殴りつけてきたんだよ?!シンイチ、喧嘩自慢だったらしくてデカいやつはとりあえず殴るって方針でさー。しかも他のメンバーもやる気でさー」
「そ、それはそれで……」
「なんというか、ヤンキーというか」
「んで、その時の勇者パーティが勇者シンイチ、狂戦士オグル、賢者ルル、魔道士ドロル、そして狩人エクチル」
あ、そこで繋がるんじゃな。
エクチルさん、昔は弓使いだったらしい。
クロと戦闘になった時は執拗に目に矢を打ち込んできたらしい。
二つ名は『百発百中のエクチル』
「いやー、再生能力ガン振りしてなかったら失明してたねー。エッちゃん、ほんときっちり黒目を貫いてきてさー。弓を回避しようとしたら魔法が飛んでくるし、地上は勇者と狂戦士がボッコボコに殴ってきて……創造龍だ!って言っても止まらなったもん」
「そりゃ、寝てるだけの黒龍は敵じゃろ。もしくは魔王」
「……あの時は魔王という概念すら無かったんだけど?」
「けど、クロちゃんが勝ったんでしょ?勇者さん達怪我とかなかった」
「もちもち!鼻息で吹き飛ばした。ちょっと鼻水出ちゃったけど」
……わぁ、きっつー。
しかも勇者にべっとりついたらしい。
ドンマイ、ヤンキー。
その後落ち着いたので話をして理解してもらったそう。
エクチルさんと魔道士の方はクロについて知っていたらしく土下座して謝ったそうな。
この世界のエルフは創造龍を信仰しているそう。
……こんなぐうたら寝坊助ドラゴンを?
信仰は人それぞれだからね。
ツッコミません。
「てなわけで、ボクとエッちゃんが顔見知りってことなのさ」
「そうなると……エクチルさんは一体いくつなんじゃろ」
「んー、ボクと戦ったときで若手のホープとか言われてたねー。エルフの若手は200歳かららしいし、シンイチがいたのが……あれ?何年前だ?ま、高齢者ってことで!」
……コイツ、忘れたな。
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