第16話 流石は勇者様の村! その2 ~フランツ・フィードルフィ~
「まぁ!この化粧水!肌にとても馴染みますわ?!もうしっとり馴染んで……まぁ、ハリが戻ってきましたわ!」
「でっしょーう?この化粧水、満月にしか咲かない『銀翼草』の蜜を集めて、裏山にある湧水とブラックハニービーのはちみつを混ぜて作っているの!男達じゃ花の蜜集めるの下手すぎるから、私が直々に集めて作ってるのよー」
「何ですって?!そんなに細い体で?しかも魔法使いにしては魔力が少ないような……」
「私は近接、メインはナイフと弓よ?親父に似て身体能力が高すぎて魔法はちょっと苦手なの……」
「……驚きすぎて言葉が出ませんわ」
キリアは雑貨屋で化粧品を見ているようだ。
セキさんに教えてもらったが店主の女性、名前をナナセと言って勇者センタロー様の七女だそう。
勇者様、男14人、女10人合わせて24人の子どもがいるそう。
しかも一番下の子どもはまだ14歳だそうな。
……年齢を聞いていなかったが50年前に異世界からこられたって話だったし、60はゆうに超えているだろう時の子どもとは。
……夜の営み、頑張りすぎでは?
いや、俺も街の遊郭や娼婦を相手することはあるが流石に1夜は数回でダウンしてしまうぞ?
流石、勇者というところか……
「おや、アンカーさんはもう上に行かれたんですかね?いつの間にかいなくなっている……」
「あれ?そうですね。アイツ……アンカーは武具に興味があるんですよ。特に戦闘向けでは無い、変に凝ったやつとか珍しいものに興味があるんですよ。いつも地方に遠征に行く際、各地の武具屋を覗いているので……もしや武具屋を探しに行っているのでは?」
「なるほど!じゃあ『龍の爪』に行かれてるのかと!武具屋は次の区画、生産区『龍の爪』にありますから。待ちきれずに行ったんですかねー。では俺達も行きましょう」
セキさんに連れられて次の区画へ。
こちらら生産がメインの区画だそうで、巨大な倉庫とカンカンカンという鉄を打つ音が聞こえる。
この村は少し離れたところに巨大な畑と牧場があるそうで小麦や野菜を育てているそう。
牧場には牛や羊を飼っているそうだが、恐らく普通の家畜では無い。
レッドテールサーペントを加工している村だからな……普通なわけがない。
明日見に行けるそうなので見に行ってみよう。
「な、なんという見た目!この大鎌!見たことの無い形式だ!使い方はどうやるんだ!?」
「へっへーん、見てなって……ここをこうするとギアが回転して鎌が外側に動くんだ!そうした後に!」
「ほう!槍のように突いた後に鎌による切り裂きが出来るのか!ギザギザになっているのは致命傷を与えるためか?」
「それもあるけど、この辺のモンスターって皮が硬ぇんだ。1度切りつけても歯が通らないことが多いから切りつけた後このレバーを引くと……」
「おぉ!歯が上下に!なるほどギアを使ってノコギリのように切りつけるのか!」
……アンカーが興奮しているな。
アイツ、ほんと武具が好きだよなー。
コスプレって言う小説のキャラクターになりきるイベントにも参加しているらしいけど、あれの理由も特殊武器を使えるからって理由だもんな。
今見てるやつも大鎌が可変式に動くもの。
セキさん曰く、農作業時にモンスターに襲われても戦えるように作られた鎌だそう。
……あそこまでガチガチに可変式なのはあの武具屋のオリジナルだそうだ。
武具屋、個性的な人が多いと聞くがどこの街にも必ず変なやつを作る職人がいるもんだ。
あの鎌、買うんだろうなー……
そろそろチームで借りてる家の部屋、掃除して欲しいんだけどなー……
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