第17話 流石は勇者様の村! その3 ~フランツ・フィードルフィ~
「……こんな所、いいんですか?」
「いえいえ、元はと言えばこの村に宿屋がないのが行けないので……ゲストハウスでも立てておけばよかったですが……」
「十分すぎます!なんですかこの家!ガラスが使われているし、かまどや井戸が部屋の中に!煙突もしっかり作られているし、王都の住宅街でもここまでの設備は無いですよ?!」
俺は驚きのあまり叫ぶ。
セキさんに案内されたのは第3区画にある居住区『龍の顎』。
ここは大小様々な家々が立ち並ぶ区画だった。
この村、外部との交流がなかったせいで宿屋がないそう。
ゲストが来ることもないので村長の屋敷にゲストハウスもないとこのとで、空いている家を借りることになった。
……まさか王都の貸家よりも設備がいいとは!
家に入っただけでかまどがあるは水汲み用の井戸がついているわで驚きの連続だ。
この家、そもそも二階建てで1階はキッチンと飯が食えるでかい机が置いてある他、トイレや風呂がある。
2階は寝室だけど6部屋もあるし、何なら各部屋ベットが置いてある。
シーツもあとから持ってきてくれるそうだが十分すぎる!
王都の高級宿屋でも見たことの無いようなふかふかのベットだし、マットレスを撫でると手に吸い付くような感覚に襲われる。
……こんなベットで寝たらほかのベットで寝れるのだろうか。
恐怖すら覚えるぞ。
「……というか、トイレもそうですけど風呂もあるんですか?!風呂は上流階級の屋敷にしかないものでは?!」
「まぁ、その辺は分かりませんがこの村ではひとつの家に必ずひとつはついてますね。じいちゃ……ゴホン、村長の屋敷にはでかい風呂が2つありますけど。あ、お湯はこの魔石を入れてください。一定時間お湯が出てくるので気持ちいいですよー」
「お、お湯が?!……この魔石、炎の魔石じゃないですか……しかもサラマンダーの魔石じゃないですか!強力なモンスターですよ!」
「これもこの村に入ればすぐ手に入りますよ。裏山に住むトカゲが落とすので。必要でしたら渡しますよ。村の倉庫に備蓄があるので」
……炎の魔石を落とす魔物は総じて危険度が高いのだが。
特にサラマンダーは酸を広範囲に吐き出すので危険度は飛び抜けて高い。
……ダメだ、常識が通じない。
まぁ、他と交流がなかったのであれば仕方もないことか。
とりあえず今日の宿は決まったから他の3人にも連絡しておこう。
なんなら迎えに行こうかな。
3人とも目を丸くするだろう……
もう村の中に入ってから驚きの連続だ。
自分の中の常識が音を立てて崩れていくのがわかるぞ……
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