第18話 寝る前に
『センタローさー。あの余所者どうすんの?』
「ふぁああ……もう眠いのう。んー?そりゃアイテムとか渡した後森から帰ってもらうぞい。王様に報告してもらえればこの村のことが認知されるからのう」
『んーと、それ大丈夫そ?』
クロが心配そうにこっちを見る。
……しれっと骨かじりながら向くんじゃない。
ちゃんと食べてから話しなさいよ。
あと儂もう寝るぞ?
またお前がベッド独占したからリビングのソファで寝るんじゃい。
今は孫たちが帰ったあとリビングでまったりタイム中。
婆さんは曾孫たちに寝る前の読み聞かせをしとるしな。
儂?儂はソファにクッションを敷きつめている最中じゃ。
まぁ、クロの心配は何となくわかる。
村のことを知られたら国の兵士達がやってくる。
もちろん国に属することになるから力ずくで押さえつけてくるかもしれない。
何なら税金を滞納しているって言われてガッツリ倉庫から穀物を持っていかれるかも。
穀物がなければ冬を越すことも出来なくなる。
その辺の心配じゃろう。
「なーに、その辺は若いもんがしっかりしてくれるじゃろ。伊達に婆さんが指導しとらんて。あとネスさんも生前しっかり言い聞かせておったし、騙されたりはせんじゃろて」
『……そりゃ知識はあるだろうけどさ。国に知られるってことでしよ?武力で来られたらどーすんのさ。センタローの知識?にあった悪役貴族的なのがやってきたりしたら』
「あー、金だけむしり取って還元しない極悪領主?そんなもんが来たら屁でもない。セキがデコピンで追い返してくれるじゃろ。後、兵力差でこの村が負けるとでも?」
『負けるわけないじゃん。勇者クラスの人間が何人いると思ってるの。逆逆、余りも力が強すぎて禁足地扱いになったりしないかなって。この村の自警団だけで国の兵士を追い返したって噂がたったらまず一般人は寄り付かなくなるでしょ』
「あー……」
そっちのパターンかー。
そもそもこの森が超危険モンスターが多いそうじゃしなー。
新人探索者とかは立ち入り禁止、とかになりかねない。
村人もべらぼうに強いなら尚の事。
ラスボス1歩前の村、って感じで人が来なくなったら目も当てられない。
「……今から演技してもらうようにセキに伝えとくか?」
『……無理でしょ。セキ、血を見たらブチギレるから。もし攻撃でもされたら先陣切って突っ込むよ』
「デスヨネー。儂もそう思うわい。あいつが自警団団長やってる理由もそれじゃしなー」
『そういうことー。あの4人がどう国に伝えるかにかかってそうだし。気をつけて対応しないとねー』
「なるほどのう……儂のイメージは行商人が数ヶ月に1回顔出してくれることなんじゃがなー。後はたまーに探索者とかパーティーが休憩がてら顔出す感じ」
『うん、100パーセントないね』
うーん、現実は甘くないのう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます