第3話 村の問題
「まーさかじゃったからのうー。村の住民の3割に迫る勢いじゃしなー儂達の子ども達に孫達」
「既に玄孫がいますよお爺さん。菊水家は総勢300人を超えてますよ。まだ結婚していない下の子たちもいますし、孫、曾孫に至ってはまだまだ現役世代」
「他の家族と結ばれるにしても、時間の問題かのう」
孤立集落の問題点。
それは血が濃くなること。
狭いグループの中で子どもたちが結ばれ結婚し、子どもが生まれて行く過程で外からの流入が無いと血が濃ゆくなるらしい。
俺も詳しくは知らないけど、日本などで近親者同士の結婚が許されていない理由とかがそれに当たるらしい。
なんなら世界の歴史でも近親者同士が結ばれ続けた結果滅びた一族があったりするそうな。
婆さん、オカルト系世界史学生時代から詳しかったからのう。
漫研時代も世界史から設定持ち込んで漫画書いてたもんなー。
「外部から新しい人間を取り込む……初代村長であり開拓使団のリーダーだったネスさんも言っていましたね」
「『今は生きることに専念!生活が出来たら元の王国に帰ろう!』……いつも皆に話しておったのう。もう亡くなられて15年か?そろそろ……帰る日が来たってことかのう」
「だからって、お爺さんが頑張らなくても……皆が止めたのに言う事聞かなくて」
「なーに、老い先短い老人が頑張らなくてどうする。若いもんには先人が残した道をしっかりと歩んでもらわねば……婆さんは村に残って居ればよかったのに」
「何言ってるんですか。『死ぬ時も一緒に』それが貴方のプロポーズでしよ?それに……」
婆さんがそう言うとフワッと食べ終えた皿が宙に浮く。
「まだまだ魔力は現役ですよ?」
「そうじゃったそうじゃった。流石『聖女様』」
「はいはい。その呼び名はやめてくださいね『勇者様』今日も無理せず帰ってきてくださいね?」
「ほいさ、任された」
儂はテーブルから離れ、玄関に置いてある斧を担いで外に出る。
村に新しい人間を入れるためにはどうすべきか。
簡単な話、道を作れば良い。
村のある森は魔物が住まう森として有名なところだったそう。
森を避けるために街道が迂回して繋がっているらしい。
その街道まで道を繋げて看板を作り人を呼び込む。
モンスターが多いから素材もたんまり溜め込んであるから行商人が来れば取引も出来る。
そこから探索者が来て移住してくれれば万々歳。
何なら村から外に旅に出るのも有りだからね。
世界を知るのは成長に繋がるからね。
若い子にたくさんの選択肢を与えることも年長者の務めですから。
「さーて、いっちょやりますか!……あてて……腰が……歳はとりたくないのう」
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