第7話 必勝祈願!
4日目にはメンバー同士も仲良くなり、合宿にも慣れてきた。
そしてなんと今日は!
『海~‼️🌊』
今日は息抜きも兼ねて候補者全員で熱海の海や必勝祈願で神社巡り💡美味しいものもいっぱい食べるぞー!っていう日♪
運営さんからレッスン頑張ってるご褒美かな?😊
『キャプテン!今日はお出かけだね!神社に行ったら絵馬も描きたいしおみくじも引きたいし楽しみ~!』
『うん!楽しみだよね!昨日調べたら現地にかき氷とかもあるみたいよ?🍧』
『ほんと~!!真希ちゃん絶対にかき氷🍧食べよう!』
『だね!ここに来てからこんな自然の中にいるのに1回も外の空気吸ってなかったもんね!もう今日は胸いっぱい空気吸おうね!🤭』
私は久しぶりの外出に心が踊っていた。
真希ちゃんもキャプテンという重圧にいつも気を張り詰めているんだけど、この日ばかりは普通の女の子の顔に戻っていた。
いざ!バスに乗って合宿所から海へ!!
まずバスに揺られて着いたのは神社の大型駐車場☝
ここから歩いて海にも行けるみたい🌊
バスを降りて神社へと続く石段をみんなで登って進む。
8月の暑い太陽の日差しを和らげるように
石段の両脇の竹林が風でたおやかに揺れていた。
その影の中に入ると風が気持ちよくて涼しくも感じる。
『なんか綺麗~✨』
その青々とした竹を見ながらリエが言った。
『ホントだね!なんか空の真っ青な色と竹の緑、その間から漏れるキラキラした太陽の光がひとつになってすごく幻想的✨️🎋☁️☀️.°』
カワチンが一緒に眺めながらそう言った。
リエの横に並んでその光景に陶酔していると、
『早く早く~!この先にかき氷あるって~!😆』
花はかき氷が気になってしかたないようだ笑
『真希ちゃんとマカロンと先に行ってるよー!!(*」´□`)」』
『今行く~!』
カワチンは大きな声で花に応える。
カワチンとリエちゃんが神社の境内に着いた頃には花達3人はもう五円玉を出して鈴の前に準備万端で立っていた。
『おまたせ~』
そこにカワチンとリエも並ぶ。
全員でタイミングを合わせ、小さく一礼をし、お賽銭を入れる。
みんなで鈴緒をつかみ一斉に揺らす。
全員『どうかDチームが最終グループ審査を絶対1位で通過できますように🙏🏻 ̖́-』
みんなでお願い事をした後
二礼二拍手一礼をしてその場を離れた。
『それではお目当ての~💡かき氷~😆』
『行こう行こう!』
やはりそこはみんな女の子☝かき氷は全員お目当てだったようだ笑
真っ白なふわふわな氷に抹茶のシロップが染み渡り、大きな餡子がドカンと乗った宇治金時のかき氷だ!もう食べる前から美味しい😁
それを食べながらリエが
『1位通過か~したいなぁ』
隣で聞いていたマカロンがすかさず
『するんだよ💡』
とリエに言った。
するとリエが
『本当にダンスが想像していた以上に難しくて、ずっと苦戦してるんだけど、今日寝るまでに完全に振りを1人で鏡を見ながら踊れるように頑張ろうと思ってる!』
普段はフワフワしているが実はしっかりした考えを持っているリエなのだ。
やる時はやる子である。
するとマカロンも
『私もダンスをやってたのが少し前で失敗しちゃうことも多いから、もっともっと練習して最終日にはミスなく踊れるようになりたいんだ!』
『だよね!この3日間、こんなに努力したことって今まであったかなって思って、まだまだ無限大にある自分を知れたなって感じたんだよね~』
リエとマカロン。1位通過するための自分の考えをしっかり持ったこの2人は、心配ないようである😊
一方、花と真希とカワチンの3人はと言うと、
浜辺の砂浜に座っていた。
『ねぇ花の体の硬さに笑ったんだけど笑』
カワチンは昨日のストレッチの時の花を思い出してそう言った。
『ねっ!私なんであんなに体硬いんだろw
てか、ダンス1回もやったことがなくて本当に難しくて全然ついていけてなくて今💧』
それを聞いたカワチンが
『この3日間で自分って変わった?』
と聞かれた花は
『変わったね。今までよりも自分にもっと自信を持てるようになったかなって思う。』
それを聞いてカワチンが
『私もまだ成長出来る部分って全然あると思うし、今以上に最終日まで上手く踊れるように頑張る!』
その2人の会話を隣で黙って聞いていた真希が口を開く
『私最年長で、まとめなきゃいけない立場っていう気持ちめっちゃあるのに、そこまでまとめられてないのが結構不甲斐ない気持ちがすごくて、、、でも!気持ちで先生に諦めたんだっていう風に思われたくないから、そこは最後までメンバーでできるところまで頑張ったんだなって言うのが伝わるようにパフォーマンスできたらいいなと思う。』
そんないつになく少し弱気とも取れる真希の発言を聞いた2人はなにも言わなかったが、いつもキャプテンとしてチーム全体を全力で鼓舞してくれている真希に対して感謝しかない。全員でグループDなのだから、みんな一人一人がキャプテンっていう気持ちで1位を取れるようにグループ審査に向けて練習していこうと心に強く思った。
真希も緊張感とプレッシャーしかない目まぐるしい合宿所から久しぶりに出たんだ。
ホッとして緊張の糸が切れたのだろう。
こんな日くらい心を休められて真希ちゃんにとって逆によかったのだろうと思った。
そのあと
Dチーム全員で1位通過の願をかけた絵馬も描き、つかの間の休息に羽を伸ばした。
そして午後からはまた厳しいレッスンが始まる。自然と真希の顔がいつもの凛々しいキャプテンの顔に戻る。
私にとっては憧れの存在だ。
これまで辞退者も何人か出ているがここに来て体調を崩し練習に参加出来ない者も出はじめた。
その日の夕方、Eグループのキャプテンのアヤがメンバーみんなを集める。
『ラミちゃんが今日1日体調悪くて、昨日の夜から体調悪かったから知ってた子は知ってたと思うんだけど。昨日の夜はそんなに熱は出てなかったんだけど、今どうしても熱が下がらなくてかなり辛い状態なのね。
結果的に言うと、明日の発表会にラミちゃんは出られません。だからラミちゃんの場所を全員で埋めるダンスを考えるのと、フォーメーションとかも若干変わってきたりすると思う。そこだけみんなよろしくお願いします。』
ミーティングが終わりアヤと同室のウランが部屋に戻ると、アヤがベットに座って声を押し殺して泣いている姿が目に入った。
『キャプテン…大丈夫ですか?』
アヤは唇を噛み締めながら無言で何度か頷いた後、
『あんなに…一緒に頑張ってきたから、、、
本人もやりたいって言ってたし…うぅ、、、
私はみんなにしっかり伝えることしかできないんだけど、、、うっ、、、みんなラミちゃんのこと待ってたから多分みんなもすごいショックだし、、、ラミちゃん本人が1番辛いと思うんだけど、、、』
そこまで話すとアヤは言葉を詰まらせ、とても話せる状態ではなくなってしまった。
そんな中、明日の5日目は最終審査だ。
酷なようだが夜もレッスンは続く。
「明日は最終審査です!それぞれ自分達のチームにわかれなさい!」
先生が大きな声で言った。
そしてチームごとに明日行われる課題曲の『指差し援護兵』のダンスパフォーマンス審査とボーカル審査に向けて最終チェックを兼ねた練習が始まる。
この審査で1位を獲ったチームは無条件でセカンドステージへの進出が決まる大事な審査である。
なんとしてもここで1位を獲って他の候補者に差をつけておきたい!
私のグループDはダンスが得意そうな子ばかりだ。しかも、みんな可愛いくてダンスも上手くて私なんかが居ていいのかなと不安になるくらい。
「みんな!明日に向けて後半部分の振りを合わせるよ!!」
真希ちゃんが大きな声でみんなを鼓舞し、全体の気を引き締める。
みんなのことをいつも1番に気にかけてくれる
しっかり者の真希!
「ピラミッドぉ~😆」
張り詰めた空気を発言1つで場を和ませ、チーム全体の肩に入った余分な力をリラックスさせてくれるリエ!
「うちらDチーム最強ー!!」
17歳ということもあり怖いもの知らず!物怖じをしないその姿は、同時にメンバーの闘争心も奮い立たせてくれるマカロン!
『よぉーし!!明日は絶対1位だよ!!』
最後にもう一度気合いの入れ直しとメンバーの指揮を1番いいところまで高めてくれる真希の右腕!副キャプテンのカワチン!
なに!?この絶妙にマッチした最強のカテナチオ的なこのバランス!!w
やっぱこのDチーム最高だよ!!
『ダンスが得意そうな子ばかり…』とか、
なに私は弱気なこと考えてたんだろ笑
こんな素敵なメンバーだから今私はここまで頑張れているんだ!!💪
そして各チームごとにダンスのレッスンが始まった。他のメンバー達は、たしかに私よりも更に早くて凄く上手だ。
でも私だって負けたくない!私はこの4日間必死に頑張った!
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