第28話 蒲生氏郷 怒る

 昔々、近江国に蒲生氏郷がもううじさとなる人物が生まれたそうな。


 観音寺城の戦いで六角氏が滅亡すると蒲生賢秀がもうかたひでは氏郷を人質に差し出して織田信長に臣従した。


 氏郷と会った信長は、「蒲生の息子の瞳は他の者と違う。普通の者ではあるまい。私の婿にしよう」と言い、自身の次女を娶らせる約束をしたという。


 岐阜城での元服の際には信長自らが烏帽子親となるなど信長から気に入られていたそうな。


 南伊勢大河内城の戦いにて14歳で初陣を飾り、戦後、信長の次女を娶って日野に帰国したという。


 氏郷は父・賢秀と共に柴田勝家の与力となり一千余騎で参陣し、朝倉氏を攻め、同年に当知行が安堵され5510石の領地が加増された。



 その後、1581年に第二次天正伊賀の乱が起きると、氏郷は伊賀攻めに従軍したのである。


 「この伊賀攻めでも戦功をあげて、信長様のご期待に応えなくては‥‥‥」


 氏郷は、信長の期待に応えようと意欲高らかに伊賀攻めに従軍した。


 

 玉滝たまたき口から蒲生氏郷は脇坂安治わきざかやすはると共に攻めたという。


 「よしこの地点から伊賀を攻める。苛烈に攻め立て伊賀の者らを倒すぞ!! かかれ――――――!!」


 氏郷は号令をかけると、兵士たちは大声をあげ苛烈に攻め立てたのである。


 伊賀の者らは苛烈に攻め立ててきた氏郷の兵士たちにことごとくやられていったという。



 このため、伊賀衆は比自山城に3,500人非戦闘員含め10,000人、平楽寺に1,500人で籠城した。



 戦功をあげていた氏郷は城攻めとなると時間がかかるため、日もくれてきたということもあり、野営を行うことにした。


 「よし、この地で野営を行う。皆の者準備せよ」


 家臣たちは野営の陣をひいたという。



 しかし、伊賀衆は河原で野営していた蒲生氏郷隊に夜襲を掛け、氏郷は寝込みを襲われたのである。


 「一体何事だ‥‥‥!?」


 氏郷はただ事ではないと思い、慌てふためいていたという。


 「伊賀衆が攻め寄せてきました‥‥‥ここは危のうございます。氏郷様お逃げください」


 家臣に逃げるようにうながされたため、氏郷は陣から非難したという。


 氏郷は無事だったものの、兵士たちの多くが打ち取られてしまったそうな。


 

 「まさか‥‥‥包囲された状態なのに城から出て夜襲を仕掛けようとは‥‥‥そのせいで我の兵士の多くが打ち取られてしまった。伊賀者め許さぬぞ!!」


 氏郷は夜襲で敗走したことに激怒したという。


 

 激怒した氏郷はその後平楽寺を攻撃したという。


 「苛烈に攻め立てろ!! 反撃されようとも敵勢を皆殺しにして、攻め立てるのだ!!」


 氏郷は一気に攻め立てたが、城攻めということもあり、難航したという。


 その時、滝川一益たきがわかずますの援軍が来たので一緒に攻め立て平楽寺を陥落させた。


 「一益殿の援軍のおかげもあり勝利することができた。夜襲の借りはこれにて返せたな! お前達勝鬨をあげよ――――――!!」


 「「えい、えい、お――――――!!」」


 氏郷は兵士たちと共に勝鬨をあげたのである。


 借りを返した氏郷はご満悦の表情をしていたという。


 

 その後、織田軍は各地で進撃し伊賀国をほぼ制圧した。村や寺院は焼き払われ、住民は殺害されたという。


 


 

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