第22話 高天神城攻めで暴れてやる!!
昔々、三河国刈谷に水野勝成という人物がいたそうな。
勝成は「倫魁不羈(りんかいふき)」(あまりに凄すぎて誰にも縛りつけることはできない)と称されるほどの暴れん坊であった。
また勝成は家康の従弟でもある。
さらに、織田の家臣団に加わってから近所には佐々成政が住んでおり仲が良かったと言われている。
勝成には多くの趣味もあった。女遊びや食などあらゆることが好きであった。特に女遊びに関しては京都でよく遊んでいたという。
さて、そんな勝成は1579年に起こった遠江高天神城攻めで忠重に従って出陣した。
「初陣で華々しく活躍して見せるぞ!!」
勝成は意気揚々と戦場の近くまで来たのだが、父・忠重や徳川家康、鳥居元忠が見学に努めよと言い聞かせてきたのだった。
「なぜ見学などしないといけないのだ。わしも武器を持って戦うぞ!!」
何度家康たちが説得しても言うことを聞かないので、家康たちは勝成を縄で縛りあげたのである。
しかし、勝成は縛られてもなおこう叫んでいたという。
「くそ‥‥‥見学何てしてられるか!! わしも戦い、武田軍をまとめてぶっ殺してやるぞ――――――!!」
勝成は縛られていたのが悔しかったのか、吠えまくっていたのである。
それを見た人の中には、「おーおー叫んでおるのー! これは名将になる逸材かもしれんな」といいながら笑っていたという。
ともかく、こうしてあざけり笑われていた勝成は結局の所、勝頼が撤退したため戦場に出ることができず、見学だけをしていた。
「くそ‥‥‥勝頼め、撤退などしおって‥‥‥おかげで初陣を華々しくかざることができなかったじゃねえか!!」
勝成は戦ができず、撤退した勝頼に激怒していた。
「全くお前は戦いが好きだな。一体誰に似たんだか」
そういったのは父の忠重であった。忠重も若かりし頃はよく戦場を駆け回ったりするほどの無骨ものであった。
そんな忠重は勝成の行動を見て何か思ったのか、勝成に対してあきれていたのである。
勝成は悔しくて悔しくてしょうがなかったが、何もできず、ただ月日だけ経っていったのである。
しかし、そんな勝成に再び初陣を飾れる好機の時がきたのである。
同年に第二次高天神城の戦いが起きたのである。勝成は父・忠重と共に参加した。
しかし、勝成を出陣させないように再び縄で縛ろうとしていた。
「また縄に縛られてたまるか!! 今度こそ戦場にでて暴れまわってやるのだ!!」
そう決めた勝成は、いつもと打って変わり家康に自分は戦場には出ないといったそうな。
それを信じた家康は勝成を縄で縛らなかったのである。
「くくく、しめしめ、まんまとわしの話に乗せられおったな。これで戦場で暴れられるぞ!!」
こうして勝成は第二次高天神城攻めに参加したのである。
そして、家康たちの目をかいくぐり、戦場に出たのであった。気づかなかった家康たちは慌てふためいたという。
その頃、勝成はというと、戦場を駆け回り敵兵をなぎ倒していたのである。
「おりゃ―――!! これでもくらえ―――!!」
勝成は相手が剣で攻撃してきたのを、持っていた剣で受け止め払いのき、逆に斬りかかった。
そして、斬られた敵の者はその場に倒れたのである。
「よっしゃ―――!! 一人討ち取ることに成功したぜ!! しかしまだ敵兵はいる。味方にとられる前にわしが倒さんとな!!」
こうして勝成は次々と獲物を見つけ討ち取っていったという。
そして、敵の本陣に突入して敵の大将を見つけると、勝成は真っ先にそちらの方に向かったそうな。
「貴様大将だな。わしが討ち取ってやる。覚悟しろ!!」
そういうと、勝成と敵の大将はにらみ合った。
その時、一瞬だけだが、冷や汗をかくような時を過ごしていた。
そしてその合間を勝成が打ち壊して、大将に向かっていった。
敵の大将は、持っている剣で先に斬りかかった。しかし勝成はその攻撃をよけると、すぐさま持っている剣で首を斬りつけた。
斬りつけられた敵の大将は、首を落として即なくなっていた。
こうして、勝成は敵の大将を討ち取ったという。
「見よ。わしが敵の大将を討ち取ったぞ!! 勝鬨をあげよ―――!!」
「「えい! えい! お――――――!!」」
勝成は勝鬨をあげると、高天神城に納められていた仏様をもらったという。
その後、勝成は家康の元に帰還した。
褒められると思っていた勝成だったが、家康は当たり前の如く激怒しており一晩中叱られたという。
「そ、そんな――――――!! 活躍したのに何で叱られるんだよ―――!!」
「うるさい!! お前は勝手に抜け出したのだ。叱られて当然だ!!」
その後、こってり叱られた勝成は織田信長にも謁見した。信長は家康とは打って変わり勝成をほめたたえ、感状を与えた。
勝成は信長に褒められ、上機嫌だったという。
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