第27話
休暇が終わって登校し、旭はまず最初にロータリーの掲示板のテスト上位者名リストを見に行った。
一位、三峰旭。
二位の秋田くんと二十三点差をつけての一位だった。
理数系科目は理数特進の秋田くんに数点の遅れを取ったが、文系特進の旭は文系科目は押し並べてぶっちぎりのトップだ。
勉強時間が違うから当然の結果ではあった。あったが、嬉しかった。
その場で真っ先に静夜さんにメッセージを送る。
『中間テスト、全科目じゃないですけど総合で一位獲りました。』
すぐに返信がくる。
『おめでとうございます。詳細は後で決めましょう。』
内心でガッツポーズを決める。
全校朝礼では成績優秀者のネクタイを授与され、教室に戻る最中にそれに付け替える。
嬉しかったので昼休みに木村研に行った。木村研には静夜と木村教授、佐々原准教授の三人が生協の弁当を食べていた。
「こんにちは!」
「元気やな」
「どうした三峰」
木村教授と佐々原准教授が弁当を食べる手を止めずに雑に対応した。
「見てくださいこのネクタイ! 成績優秀者のやつ!」
「偉い偉い」
「すごいやん」
こちらを見もしないその薄い対応を旭は静夜に言いつけた。
「静夜さん教授たちが褒めてくれません」
「木村教授はともかく、佐々原准教授は現役時代に取ってるからじゃないですか?」
「あっそうか。静夜さんも取ってましたもんね」
「それで、あなたは有言実行したわけですが、どこか行きたいところとかありますか?」
「今回は水族館に行きたいです!」
「水族館ですか。まあ良いでしょう」
「今回の土産はなんやろな、佐々原くん」
「遠回しに強請るのやめてください、木村先生」
旭の言葉に静夜が続けた。
「くらげ水槽の写真でも撮りましょうか」
「先生、写真でいいですか?」
「好きにしてくれ。あ、でもイルカのぬいぐるみとかは要らんからな」
「はーい」
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