第15話

 制服もクリーニングから戻ってきて、ゴールデン・ウィークも何事もなく開けた今日このごろ。

 生徒会執行部員は生徒会室へ移動して、生徒会業務を今日も始める。

 体育祭委員の招集は来週からだから、それまでに資料をまとめておかなければ。

 学園だよりに目を通し、生徒会長の印を押しながら次に新聞部の新聞に目を通す。

 体育祭、どうしようかな。出られるのかな。走ってる最中に身体もげたりしないかな。保護者や大学生も見に来るのに、いきなり身体がもげたらとんだスプラッタホラーだよ。

「生田」

 旭は副会長に声を掛けた。

「何、旭会長」

「今回、会長権限で生徒会長はレクリエーションにしか参加しないことにするわ」

「え、何でまた。サボりたいとか?」

「ちょっと事故の後遺症がまだね」

「そうなのか? 大丈夫か?」

「普通に暮らしてる分には問題ないんだけどねえ」

「そうか︙︙そうだな。そうした方が良いな。運営本部に詰めてろよ」

「当日はそうするよ」

 これで体育祭はゾンビバレせずに乗り切れそうだ。

 新聞に目を通し終わって印を押した。

「目を通さないといけないのってこれだけ?」

 書記の秋田くんに尋ねる。秋田くんは基本的に内部生で占められる生徒会執行員の内、外部生のなかから役員入りした唯一の猛者である。

「今日のところはこれだけですね」

「よし、じゃあ今日はこれから体育祭の仕事の振り分けをする」

 三角コーンはいくつ必要か、ポールはいくつ必要か。競技責任者はどこに何人配置するか。昨年度の資料をそのまんま引き出してくる。昨年度のそれを決めて書いたのは旭である。

「ほぼ完璧じゃないですか」

「去年と競技は変わってないから、あとは人数を変えるだけでこのまま使えると思うんだけど、どう?」

 副会長と書記に尋ねると、

「先生に一応確認通して大丈夫だったらこのまま使いましょう」

 と書記から返ってきた。

 これが上手なサボり方である。

「よし、来週の水曜にしようか。体育祭実行委員を集めるので各々間違って帰らないようにしてね」

「はーい」

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