第18話 中層突入!

         第一章

        中層突入!


 魔法を使えそうな魔力量をしているゴブリンを瞬殺した後、俺は木の上で敵のゴブリンを少し観察している。

 奴らは攻撃が飛んできた方向に警戒心を持って突撃している様だが、俺は木の上にいるので意味がない。

 そして、奴らは個体ごとに速度や力も違う。

 つまり、逃げ遅れたやつから順番に後ろからやっていけば良いだけだ。

 最後尾が俺の足元を通過した瞬間に飛び降りた。そして、胸にひと突きするとすぐに剣を抜き次々にバレぬ様に首を刎ねたり心臓を刺していく。


 あっという間にゴブリンの始末を終え集めて火魔法で焼くと次の獲物に向かって駆け出した。

 一際大きな魔力を放っているのは小屋にいる父だが、その次はあの時にあったアンガーベアだろう。

 きっとアンガーベアだろうと思い、あたりをつけ見に行くと、しっかりとアンガーベアがいた。

 こいつの戦い方は最初から決まっている。水で息を止める手法だ。さっさとウォーターボールを出して息の根を止める。

 他の魔物だと高速移動したり個体が多く小さくて効果的ではないが、一体で孤立しあまり動かずに暴れるこいつには有効だ。

 倒れたのを確認してもウォーターボールを解く事なく心臓をひと突きする。


スキル

ユニーク 心装顕現 lv1 (136/600)


ツリー表記


心装顕現→魔剣顕現lv1(54/100)

    →魔槍顕現lv1(1/100)

    →魔斧顕現lv1(1/100)

    →魔盾顕現lv1(1/100)

    →魔弓顕現lv1(1/100)

    →魔杖顕現lv1(82/100)


 これで、5ポイントも経験値が貯まってあと46ポイントになった。アンガーベアの素材の解体方法は教えてもらって実際にできる様になった。

 面倒臭いので今回は無視をして置いておく。上手くいけば後で父が回収できるだろう。


 この様な調子で来ない間に増えていた魔物を次々と飼って行くと昼時になるまでに73ポイントまで経験値を貯めることができた。

 一度休憩しようと小屋に戻りながら来た道とは別のルートを通って狩りをちょこちょこしながら戻る。


 「ただいま戻りました!」


 「おーう、お疲れ様。今回はどうだった?」


 父が火の用意をしたりして待っていてくれた。近くの場所で獣を狩りご飯の足しにしてくれた様だ。


 「はい!たくさん倒してきました!いつもより少し多い気もしましたが問題ありませんでした!」


 「そうか!よくやったな!」


 そう言って頭をガシガシと撫でてくる。


 「アンガーベアも一人で倒してきましたよ!午後はそいつの解体をお願いしてもいいですか?」


 「わかった!任せろ!そろそろ一緒に森の中層に向かってみるか?最近の仕事ぶりを見ていてもお前なら大丈夫だろう!」


 「え!本当ですか!是非ともお願いします!」


 「よし!ならその前に腹ごしらえだ!飯を食いながら中層の魔物について説明するぞ!」


 「はい!」


 父が言うには森の中層と浅層では魔物の格が違うらしい。今までは剣神流でいえば下級上位で圧倒できたが、中級上位でも相手によっては余裕で苦戦するらしい。

 代表的な敵では、

 根を使って地面から左右背後に向かって全方位の攻撃と魔法を使うトレント。

 小さな体躯に見合う俊敏性と似合わない腕力を併せ持つコボルト。

 大きな体躯に見合うパワーとタフネスを兼ね備えるオーク。

 ゴブリンを単純に強化したボブゴブリン。

 そして、森の深層からたまに流れてくる魔物は見えたらすぐに逃げてくるのが鉄則らしい。

 深層にどんな魔物がいるかは全く不明だが魔力の反応や敵の姿でヤバいのが1発でわかるそうだ。

 

 「分かりました!父様の指示には絶対に従いますし無茶はしません!ですのでこの後もよろしくお願いします!」


 「うん!信じているぞ!」


 父であるアルスは今回の魔物増加の原因が繁殖などではなく中層以降に何かがあったと思っている。

 だからこそ、使い物にはなるがまだ幼く不安の残る息子を連れていくことを決断したのだ。


 ご飯を食べて少し腹休めを兼ねて歩いて森の浅層を抜けた。午前中に掃除をしたこともあって特に問題もなく抜けることができた。


 「ここからは中層だ。初めの時以上に気を引き締めていけ!

 お前には剣神流以外教えていないから大丈夫だと思うが、生半可な技や流派を使えば死ぬ可能性があるからな!」


 「はい!魔力探知の結果が浅層とは違うことを示しています…!

 全ての魔物がアンガーベア以上のヤバさですね…。」


 これは魔法戦をメインで考えた方が良さそうだ。勿論剣でトドメをさせればそれが1番だが、それに固執したら死ぬかもしれない…。


 「それが分かっているなら大丈夫だろうさ。魔法をメインに俺をサポートしてくれ。この層なら大丈夫だとは思うがまずは慣れる事を意識するんだ。」

 

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