第16話魔物との戦闘2
第一章
魔物との戦闘2
父に言われて先頭を進み敵の姿を視界にとらえると普段では見ないゴブリン?がいた。
初めての人型ということもあり少し臆してしまいそうになる。
少し様子を見ているがギャギャとよくわからない言語で話している様子だ。知性があるのか?
「姿が人のように立っているからと言っても奴らは魔物だ。
村に来て略奪をしようとするし人を見たら必ず襲いかかる。遠慮をするな。
躊躇ったらお前が死ぬぞ。いいな?」
「…はい。」
そうだ。奴らは魔物だ。
そう覚悟が決まるとスッと頭が冷えた。今回は敵が散らばっていることもあるし、風魔法を選択した。こちらの攻撃を悟られないようにエアカッターを選択した。
奴らの首を刈り取るイメージで斜め上から地面に向かってエアカッターを6つ放った。
スンッ
特に奴らは魔力探知が出来るわけでもなくただ俺の魔法を喰らって首を地面にポトリと落とした。
「よし、良くやったな。この魔法があれば大抵の魔物には先制で遅れをとることはないだろう。
しかし、魔力がわかるやつもいる。油断するなよ?」
「はい!」
人型を初めて倒したが特段気持ち悪いなどの気持ちはわかなかった。ゲームで散々見たからだろうか?よく分からない。
父の背中についていきゴブリンも魔石を回収する。今回は全て倒したので俺のモノになったが回収は父が手伝ってくれた。
先ほどと同じように死体を焼いた。魔石は流石に全て使うと何故持っていないのかとバレるため持ってきた麻袋に詰めて置く。
「次は?」
「えーっと、500m前方に迫っています!こちらの戦闘に気づいたようです!迎撃体制を!」
やらかした!周囲の探知を切っていたせいでこちらに近づくのを気づけなかった!
父はそれを分かっていたのか既に盾を取り出して構えていた。
「すいません!」
「おう、気にするな!次に活かせば良いさ!」
ドスドスと走ってくる音が近づいている。やってきた姿が見えた。熊?のような魔物が近づいてきているようだ。
これはさっき教えて貰った魔物だ。
「アンガーベアです!推定6mの高さを持つと思います!」
「分かった!任せておけ!エルは魔法で援護だ!近づくなよ!」
父は前に出て盾を構えていた。その盾で防げるのか?と思っていると
「フォートレス!」
盾の基本アーツであるフォートレスを起動させたようだ。
フォートレスは読んで字の如く防御力をアップさせ相手の攻撃を防ぐアーツだ。
ガコン!
重たいモノ同士がぶつかった衝撃音が聞こえてくる。俺はそれをみて父の援護に入る。
まずはアンガーベアの足元を泥に変えて体制を崩させる。
そこに父が合わせて目に向かって剣を振るっている。
アンガーベアの体毛は硬く、ただ単に切り裂いただけでは傷を与えられないからだ。
ただその様子を観察しているだけでなく、俺はこの好機を活かすために次の一手を放つ。
アンガーベアの目が見えなくなり出鱈目に暴れ回っているので父は下がっている。
これならば躊躇いなく魔法が使える。
俺は水魔法のウォーターボールを射出速度を無しにしてアンガーベアの顔を覆うように作り出す。
そしてそのまま維持するための魔力を送り続けているとアンガーベアが呼吸できなくなって奴の体が大地に臥せた。
「父様!倒したとは思いますが一応トドメをお願いします!あ!素材の価値が下がらないようにお願いしますよ!」
えぇ…と父はめんどくさそうな顔をしながらも盾を置き両手で剣を構える。
あれは龍神流の構えだろうか?剣神流の構えではない事は確実だ。
「龍神流 山崩し」
大上段に構えた状態から倒れたアンガーベアの首に向かって剣を振るった。
物凄い音を立てながら地面も纏めて一刀両断にしてしまった様だ。
音と威力に対して首の切断面は綺麗で必要最低限の攻撃だ。
「うし!こいつは持って帰るか!肉は上手くないから捨てておいても大丈夫だから皮だけ剥ぐとしよう…。」
持って帰るには重すぎるし、せっかくなら切り刻んで運ぶなどという事はしたくない。
「あ、それなら任せてください。少しどいておいてくださいね。」
父に離れて貰って土魔法を使い、倒れたアンガーベアの体を調理台の上に乗せる様に下の地面を盛り上げる。
「これで作業しやすいと思います。僕も手伝いましょうか?」
「んー、いや、こいつはコツがいるからな周りの警戒をしておいてくれ。教えながら見せるからその勉強も忘れるなよ?」
アンガーベアの解体はコツがいる。
というのは本当のようで外の体毛が硬い一方、断面から差し込んだ短剣はスルッと皮と肉を切り離してしまう。
父がテキパキと剥がした皮を魔法で綺麗にしながら手に持って邪魔にならない様に手伝う。
水魔法で血と油を削ぎ落とし、毛の方も洗う。
効果があるかは分からないが気持ちの問題だ。俺はなんとか耐えられる。
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