第7話 新たな魔法と訓練開始
第一章
新たな魔法と訓練開始
俺が6歳になったこの日、父や母は仕事を休み俺のために祝いの準備をしてくれている。父は昨日飼った獲物を捌き、母が料理する。
俺もそれを魔法で手伝う。血を水で流したり、火をつけたり埃を風でどかしたりだ。
ご飯の準備ができて席に着く。
「「エル!誕生日おめでとう!」」
二人から祝われる。現代にいた頃の誕生日も良かったがこの世界での誕生日も良いものだ。
「これは俺たちからのプレゼントだ。」
そう言って手渡されたのは魔導書だった!タイトルは初級者から下級者までの各属性魔法大全だそうだ!
「本当は各属性毎の本だったら上級まで記されているものなんだが、エルは全属性使えるしこちらの方がいいかなと思って用意したんだ。」
「ありがとうございます!こちらの方が嬉しいです!まだ、中級や上級ができるには時間がかかってしまいますし、まずは下級までの魔法をマスターしてみせます!」
うんうんと二人が嬉しそうに頷く。
最近は生活魔法でも1日中使っても使いきれなくなっていたところにこの本は嬉しい!
「それと俺からはこれだ。本当は7歳くらいになってからと思っていたんだが、エルは努力家だからな。無理をしない程度に頑張ってみよう。」
そう言って父から受け取ったのは俺の体格に合わせた木剣だった。俺の身体に合わせて小さいといえどもずっしりとした重みを感じる。
魔剣顕現が解放されました。
剣を手に取った瞬間ふと頭の中に思い浮かんだ。なるほどな。各武器に属するものを一種類でも触っていないと顕現スキルは解放されないのか…
「ありがとうございます!!明日からよろしくお願いします!」
「おう、よろしくな!」
プレゼントを自分の部屋に置いてきて席に戻ると食事を済ませる。
父も母も俺が美味しそうに食べるのを嬉しそうに見ている。
テーブルの上に置かれた蝋燭や暖炉の火が温かみのある空間を作っている。
「明日は朝から剣の練習をするから早起きするんだぞ!」
「はい!父様!」
俺は新しい魔法を試すのは今度にしようと早めにベットに入って次の日の朝に備えることにした。
枕元に本を置き、横にある蝋燭を消すと部屋は窓から差し込む月光だけになる。
布団を被ると直ぐに微睡の世界へと誘われたのだった。
〜〜〜
「う〜ん、いい朝だ。いつも通りに起きてしまったな。」
毎朝やっているランニングの時間に起きてしまった。父はまだ起きてきていないので、いつものルーティンをこなそうとランニングとストレッチを済ませる。
朝露が身体に当たって最初は肌寒いが走っているうちにあったまってくる。
最初は息も絶え絶えになっていたコースも今となっては少し呼吸を整えるだけで良くなった。
そして父が起きてくるまで魔導書を読むことにした。ここに書いてあるのは生活魔法から基本攻撃魔法のボール系、アロー系、ランス系、スロワー系。防御魔法のウォール系だ。
ハイスラでも最初の方に覚える魔法とその強化系って感じだ。これが下級レベルなのは納得だな。
ここでも掲載されている詠唱は基本的に似たもので属性に対応する文言だけ変わっている様だ。
まずは手のひらを斜め上の誰もいない方に向けて読み上げる。
「我の求める形を現し、今敵を討ち果たさんとする。水の力を持って我が願いを叶えたまえ。ウォーターボール。」
生活魔法とは比にならない量の魔力を持っていかれて手のひらからしっかりと攻撃と言える様なバレーボールだいの水球が打ち出される。
どこに行ったかはわからないが、これで基本攻撃魔法が使える様になったみたいだ。
うん、これなら無詠唱で使えそうだし他の属性にも応用できそうだ。
父が起きてくるまでに各属性を試したが問題なく使うことができた。
使う魔力の量も増えた様だが、ここ数年ずっと魔法を使ってた俺の魔力総量はかなりのもので、攻撃魔法を持ってしても中々使い切るのは難しそうだ。
うーん、一回の魔法での魔力の量を調節できないかな?
色々試行錯誤しようとしていると父が家から出てきた。
次の課題は他の種類の魔法を試すことと魔法の1つ1つに変化をつけることだな。魔力量を増やしたり距離や威力を試したり。
「お、早起きだなエル。ちょっと待っててくれよ、顔だけ洗ってくるからな。」
「はい!」
魔導書を家の中に置きに行き木剣を手に持ち外に出ていく。
ちょうど戻ってきた時に父も用意が終わっていた様だ。
「では、今日から訓練を始めるわけだが、やる事は単純だ。素振りをしてもらう。
打ち込みや他のことをやらそうにもまずは素振りで剣を振るという感覚を覚えてもらわなければならない。
両手でしっかりと剣を持って目の前に剣先が来る様に構えろ。そうだ。
そして振り上げて利き足を前に出して振り下ろせ。それを繰り返すんだ。」
言われた通りに目の前に構えて振り上げて振り下ろす。剣の重みに持っていかれない様にしっかりと剣を握って止めることを意識する。
特に父からはああしろこうしろとは言われないのでこれを繰り返す。
ただ振り上げて振り下ろすのではなく、一回一回に意味を持たせて振る。
今回は振り上げる時にブレていないか。振り下ろす時にズレていないか。利き足の踏み込みと合わせて下ろせているか。
試行錯誤しているうちに訓練の時間はあっという間に過ぎていった。
「よし!今日はここまでだ。息も切れているしもう剣を振るには体力がないだろう!よく頑張ったな。毎朝走っていたおかげじゃないのか?」
父が笑みを浮かべながら話しかけてくる。二人で井戸の方へ向かって今日は俺もタオルを使って冷たい井戸水で体を拭く。
「はい!剣を振るだけでも夢中になれてとても楽しいです!」
「そうかそうか!だが、無理は禁物だ。ゆっくりと確実に身体を成長させながら剣を染み込ませるんだぞ。」
「二人ともー!朝ごはんができたわよ!」
「「はーい!」」
母からの呼び出しが掛かったので二人とも急いで服を着て家の中に戻り三人で朝食をとった。
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