第6話

         第一章

        属性判明!


 「火よ、種火よ。我の願いに応え火を現したまえ。ライトファイア」


 「風よ、そよ風よ。我の願いに応え風を現したまえ。ライトウィンド」


 「土よ、砂土よ。我の願いに応え土を現したまえ。ライトサンド。」


 「光よ、灯りよ。我の願いに応え光を現したまえ。ライトシャイン。」


 「闇よ、暗がりよ。我の願いに応え闇を現したまえ。ライトダーク。」


 それぞれの魔法の詠唱は基本構文は全て同じだった。

 俺は元々のゲームキャラの設定が反映されているのか全ての属性に適性があった様で母が小躍りして喜んでいた。

 言葉からわかる通り、種火を作る魔法、そよ風を出す魔法、砂を出す魔法、光を灯す魔法、暗がりを作る魔法だった。


 「エル!あなた凄いわね!全属性に適性がある人は複数の国に一人いるかどうかくらいの珍しいものなのよ!やったわね!」


 俺を抱き上げてクルクルしている。俺もつられて笑ってしまった。

 今回使った魔法の魔力量的に生活魔法を使っていけば半日集中して唱え続ければなんとか使い切れるかも?というくらいだ。


 下級の魔法使いで生活魔法を30回も使えばその日は魔法が使えなくなるらしいので既に俺の魔力量はだいぶ増えていると考えられる。


 「母様は、生活魔法以外の魔法も使えるのですか?」


 他に消費量が多い魔法があるなら是非とも知りたい。

 ゲームだとファイアボール、ランス、スロワーなど色々な攻撃防御魔法などが存在していた。


 「うーん。私は大体の魔法適性を持っているけど得意なのは癒しや光なの、だから求めてる魔法全部に答えられるわけではないの。ごめんね。」


 母様がとてもとても申し訳なさそうに眉を下げる。


 「大丈夫です!まずは生活魔法を何度も使って完璧にできる様に練習します!ありがとうございます!」


 「そう…?本当にごめんね?」


 もう一度気にしないでと伝えて俺は2階の自室に戻る。

 さて、先ほどの生活魔法で掴んだ感覚を思い出せ俺。あの感覚をつかめれば無詠唱でいける筈だ。

 ゲームのスキルに詠唱省略と詠唱破棄という無詠唱に繋がるものがある。

 それらを身体の体験でなんとかできないかという実験だ。


 まずは周りに迷惑を与えない光の魔法をもう一度使ってみる。今度は身体の中に意識を向けて魔力と言うものを感じてみる。

 詠唱をすると身体の中の魔力?であろうものが腹の臍の下あたりに集まる。

 そして出したいと思った箇所、今回であれば手のひらに臍の下から魔力が動いて集まる。

 最後にギュッと魔力の質?が変わって光が灯る。


 他の属性でも同じような流れだった。よし、やってみるか。

 まずは何もしていない状態から魔力を感じる練習だ。

 血流とは別の、しかし似た何かを感じる気持ちで意識をする。だめだ、さっぱりわからない。詠唱を途中まで唱えてみる。

 こうすると俺でも感じ取れることができる。まずは詠唱無しで魔力を活動状態にすることからだな。


 身体中の細胞一つ一つに魔力という因子が入っているイメージ、そしてそれらを活動させるイメージで内側に力を入れ込んでいく。

 そうしていると少しずつだが魔力が出てきたのが分かる。そしてこれを血管にのせて臍の下に集めるイメージで…。


 できた!!!


 この魔力を手のひらに動かす。集まった魔力に光の要素に変わるイメージで…シャイン!


 「おー、無詠唱。やってみればできんじゃん。」


 俺はその後も他の属性の魔法も無詠唱で使えるのを確認した後はひたすらに何度も反復練習をした。


 「はぁはぁはぁ、思った以上に意識を使うなこれ。戦闘だと実用性がほぼ無いぞ…。」


 身体の魔力を起こすところから具現化させるまであまりにも気を使う工程数が多すぎる。

 まずはいつでも魔力を活動状態にできる様に生活魔法1発分の魔力までは無詠唱の練習、その後は魔力活動状態を維持する練習。

 これをルーティンに組み込むこととした。


〜〜〜


 自分のルーティンを定めてから1年ほどが経ち6歳の誕生日を迎えた。

 生活魔法が使えるようになった後は毎日母と父の手伝いに魔力を使うことにしていた。

 目標としていた無詠唱のスムーズ化は達成していた。今は意識せず詠唱を破棄できる。

 それに寝ている間以外はずっと魔力を活性化する事も可能となっている。

 これらはスキルとして登録されているらしく、ステータスにも表示されている。


 「ステータスオープン」


名前 エルファン・シュヴァリエ・ウルス


身分 ウルス騎士爵 嫡男


称号 転生子


スキル

ユニーク 心装顕現 lv1 (0/600)


ツリー表記


心魂顕現→魔剣顕現lv1(0/100)

    →魔槍顕現lv1(0/100)

    →魔斧顕現lv1(0/100)

    →魔盾顕現lv1(0/100)

    →魔弓顕現lv1(0/100)

    →魔杖顕現lv1(0/100)


ノーマル


魔法系統

魔力感知 魔力操作

無魔法 火魔法 水魔法

風魔法 土魔法 光魔法 闇魔法

詠唱破棄


武器系統


共通系統

身体強化


魔力感知、魔力操作、詠唱破棄は言葉の通りだ。

 各属性がやっと現れたのは多分生活魔法ではいくら使っても意味がないということを現している。

 それと身体強化と無魔法は多分だが魔力活性化と俺が呼んでいる現象なのだろうな。

 こうやって少しずつでも結果が形に表されるとやる気につながって嬉しい。

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