第5話 初めて?の魔法

         第一章

       初めて?の魔法


 母が家事の手を止めて俺が座っている前の椅子に座って対面に来る。その手にはコップが持たれていた。


 「じゃあ、まずはお水を出す生活魔法の方法を教えるわね。私の言葉をスラスラと呼んだら魔法が発動するわ。出したい指をピンと立ててコップの上においてね。」


 言われた通りに人差し指をコップの穴のところに置き準備する。

 その様子をニコニコと母は見つめている。


 「いくわよ。水よ、清き水よ。我の願いに応え水を現したまえ。ライトウォーター」


 「これをつまらずに言えたら生活魔法が発動するわよ。やってみて。」


 「はい!水よ、清き水よ。我の願いに応え水を現したまえ。ライトウォーター!」


 身体から指先に向かって何かが抜ける感覚があった後に水がざーっと出てきた!

 魔法が使えたぞ!この抜ける様な感覚が魔力かな?ステータスオープンとは違ってしっかりと魔力が抜けていく感覚がわかる。


 「おめでとう!エル!どう?辛くない?大丈夫?」


 母は喜んだのちにすぐに顔を変えて心配そうにこちらを覗き込む。

 母を安心させる様にニコッとする。


 「はい!大丈夫です!全然何度でも行けると思います!」


 「まぁ!エルには元から魔法の才能があるのね!なら属性を確かめるために他の生活魔法も使ってみましょう?もしキツかったりしんどかったりしたらすぐに辞めるのよ?」


 「分かりました!母様!それと属性ってなんですか?」


 母がハッとした様に口に手を当てる。

 やっちゃった〜て感じだ。


 「あら、ごめんなさいね。魔法には基本となる6つの属性があるのよ。

 火 水 風 土 光 闇ね。それぞれに生活魔法があって他の属性が使えないけど別の属性なら使えるってこともあるから基本的に全ての属性を試すのよ。」


 これはハイスラの設定と同じだ!ゲームの設定のままなら進化と複合もあるはずだな。


 「なるほどです!基本ってことは他にもあるのですか?」


 「うんうん、よく理解してるわね。じゃあ続きを説明するわよ。基本の属性を使い込むと更に上の力が使える様になるわ。

 基本属性の順番通りに炎 氷 嵐 自然 聖 暗黒よ。そして、それらを組み合わせた複合属性ってものがあるんだけど人によって様々な属性に変化するわ。

 だから一概にこれって言えないんだけど、一般的に多いのは、火と水で爆発、水と風で雷、土と水で泥だったりするわね。」


 「なるほど!皆はどのくらいの属性が使えるものなのですか?」


 母が顎に指を当てうーんと悩む様子を見せる。まだまだ若く綺麗な母のその仕草は純粋に可愛いと思える。


 「そうねぇ。大体は基本属性が2〜4属性ね。その中から進化属性に昇格できるのは才能と努力によるわ。」


 詳しい説明によると、1属性なら才能が乏しくても進化属性にできる。けど、それ以上になるとどうしてもその属性の才能がないと厳しいとの事だ。


 「母様は何属性が使えるのですか?」


 「私は火と水よ。料理店の娘だったからとても都合が良かったのよ!」


 「おお!いつもお母様の料理は美味しいですからね!」


 これはお世辞じゃなく本心からの言葉だ。

いつも作られてる料理は現代日本では考えられない基本的な味付けだが簡素的過ぎず素材の良さを引き出している!


 「んもう!エルったら素敵な事を言ってくれるわね!」


 母は喜んでいるようで顔に手を当てて嬉しそうな満面の笑みを浮かべている。


 「ちなみに複合属性になるとどうなのですか?」


 「そうね。そこまで行くとエリートね。才能を持つ人でも選ばれた人しか使えないわ。それと複合魔法は基本属性の複合する数によって等級が変わるわ。」


 「等級?」


 なんだその制度は?ハイスラでは聞いたことがないな。


 「ええ、使える魔法や練度によって魔法使いとしての等級っていう称号が名乗れるのよ。」


 母が言うには、七段階の等級が存在しており


下級 入門者〜初心者

中級 ベテラン

上級 才能最低レベルでも努力でいける

王級 国に5〜10人

帝級 国に3〜5人

聖級 国に1〜3人

神級 各属性に1人

と判定される様だ。

そして、属性に当てはめるとこうなる。


基本属性 下級から上級

火 水 風 土 光 闇


複合 基本属性2種や実力 王級


複合 基本属性3種や実力 帝級


複合 基本属性4種や実力 聖級


神級 各属性最強


と言った感じらしい。

複合魔法については同じ魔法を使える人は才能の偏りで少ないらしくそれぞれがそれぞれにあった複合属性を使うらしい。


名乗りを上げる時は等級によって変わる。

下級から上級は 〜級〇属性使いというらしく

それ以降は ◯聖級や◯王級など属性に等級をつけるらしい。

しかし、複合魔法が使える王級以降の魔法使いは自分の使う複合魔法の属性を名乗りに上げるらしい。


 「いつか僕も複合魔法を使ってみせますね!」


 「ええ!頑張ってね。そのためにもまずは他の属性の生活魔法を唱えてみましょう?」


 その後は母の勧めに従って全ての生活魔法を試すことになった。

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