第3話 ユニークスキル
第一章
ユニークスキル
毎日食べて寝て起きてトイレするだけの生活では頑張ろうと思った意味がない。鉄は熱いうちに叩き潰せとも言うしやれることを探してみる。
「ばぶぅ」(暇だ)
赤ちゃんの体の俺には鍛錬をする事も勉強する事もできない。
となれば確認してみることは転生特典とやらと自分のステータスなどの確認方法を試すことだろう。
ゲームではポチポチっとボタンで選択すればなんでもできたが現実世界だとそうはいかない。
「ばぶぅーばぶ、ばーぶ」
(ステータス オープン)
念じながら言葉にならない言葉を発してみると目の前に透明の仮想ウィンドウが現れたと同時に急激な眠気に襲われた。
エルが次に目を覚ますとちらりと見えた仮想ウィンドウは無くなっており暗くなっていた。
「あら、エル起きたの?今日はぐっすり眠っていたわねぇ。ご飯食べたくなったの?」
母に身を委ね本能のまま食事をとる。
「そろそろ暖炉に火をつけましょうね。」
母はそういうと俺をベットに寝かしつけて暖炉の方はと向かって行く。そしてしゃがみ込み指を向けると
「火よ、灯火よ。我の願いに応え火を現したまえ。ライトファイア。」
母の真面目な祈りと言葉が通じたのか暖炉の薪に向かって小さな火が人差し指からフッと離れていく。
小さな火は薪にあたると燃え上がり暖炉に火がついた。
おお!魔法だ!ゲームではSEで流れたりする詠唱が実際に行われているんだ!
母が俺を置いて部屋を出ていったのを確認してからもう一度ステータスオープンと唱えてみると今度は倒れずに画面を見ることができた。
なになに〜
名前 エルファン・シュヴァリエ・ウルス
身分 ウルス騎士爵 嫡男
称号 転生子
スキル
ユニーク 心装顕現(0/1)
これらのみだった。ゲームの時はHPや魔力、筋力や攻撃力などが見れたが俺が見れるのはこの程度のもののようだ。
それに俺の転生特典とはこの心魂顕現というものなのか?どんな内容か全くわからない…。物は試しというやつか?唱えてみよう。
「ばぶばぶ、ばぶばぶ。」
(しんこん、けんげん)
一気に情報が頭の中に流れ込んできた!なんだこれは…!
エルは、耐え切れないほどの頭痛がやってきてそのまま気絶してしまったのだった。
目を覚ますと今度は朝になっていた。しかし、今回は収穫があった。多分分かったことが正しいなら…
「ばぶーばぶ、ばーぶ。」
(ステータス オープン)
名前 エルファン・シュヴァリエ・ウルス
身分 ウルス騎士爵 嫡男
称号 転生子
スキル
ユニーク 心装顕現 lv1 (0/600)
ツリー表記
心魂顕現→魔剣顕現lv1(0/100)
→魔槍顕現lv1(0/100)
→魔斧顕現lv1(0/100)
→魔盾顕現lv1(0/100)
→魔弓顕現lv1(0/100)
→魔杖顕現lv1(0/100)
やっぱりだ。このユニークスキル心装顕現は、ハイスラに出てくる英雄武器の武器種を自分で生み出せる能力のようだ。
アーツは存在しないようだが、各武器種のレベルと心装顕現?自体のレベルに応じて武器装備時パッシブと非装備も発動するパッシブがあるらしい。
それに各武器種は倒した敵の魔石を吸収させる事でスキル経験値が溜まる。特に強敵の魔石を食べさせたり相性の良い魔石を食べさせた場合は呼び出せる武器種の中でもレパートリーが増えるようだ。
ユニークスキルを起動する時はアクティベート、それぞれの装備を呼び出す時はアームド、解除する時はリリース。魔力が切れたり、武器自体が破壊されると解除扱いになる。装備の種類を交換する際は必要な魔力はなしだ。
これは今までのハイスラでは見たことのないスキル制度だ。多分だがエルにはこのスキルがあったからゲームの中で主人公に対して相性ジャンケンに勝ち続けて来れたのだろう。
問題は…そもそも俺の魔力が足りるかだ…ステータスオープンだけであのような気絶をしてしまっているのだ。多分だが顕現させる武器がなんであれ魔力は足りないだろう。
仮説だが、1回目は失敗して今回は成功した。つまり魔力は使うほど鍛えられる。ご飯や他のこと以外の時間は全て心装顕現を発動気絶を繰り返して行くしかないな…。
最初の目標は、武器を顕現させる事だ!
ステータス画面を閉じると記念すべき第一回のチャレンジを始めるために覚悟を決める。そう、気絶することに対しての諦めの境地だ!
「…ばぶばぶ、ばぶばぶ。」(心装顕現)
パタリ。やはり、エルは魔力切れで倒れてしまうのだった。
実はこの世界では魔力を伸ばす方法が確立されていない。
それは、できるだけ年齢が若い時具体的には18歳くらいまでに魔力を使い回復して行く事だ。
年齢が若ければ若いほど効果は高く、12歳をピークとしている。
しかし、幼少期に無理をして魔力切れの感覚を嫌がって魔法に対して忌避感を持たせる訳にはいかないため大人たちは子供の頃から魔法訓練をするのは避けているのが現状だった。
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