第116話 恐ろしい敵
私は死体となったドワーフを蘇生した。
白色闘気を吹き込み死体をなおし、そして黄金闘気で死を斬れば、人は蘇生することが可能なのである。
「本当にありがとうございました副王陛下……!」
村のドワーフたちが私に頭を下げてくる。
「無事で何よりです」
「副王様がこなかったら我らはどうなっていたことか……」
ふむ……。
私は蘇生作業をしてるときに、気になったことがあったので、聞いてみることにした。
「一つおたずねしたいです。あなた方を斬った剣士に」
「剣士ぃ~? 突然何言い出すんだよおっさん」
「おや、突然ですか?」
「そうだろ。だってこの村人たちが、剣士にやられたなんて一体どこにそんな証拠が?」
おやおや。
わからなかったようだ。
すると村のドワーフが目を丸くする。
「よく、ご存じですね。そうです、われらをきったのは、剣士でした」
「うぇ!? マジかよ……! よくわかったなおっさん……」
おやおや。どうやら古竜は本気でわかってなかったようだ。冗談ではなく。
「彼らのバラバラだった死体の、断面を見ればわかるでしょう? 相当の、剣の使い手であることが」
「いやわかんねえけど……」
まあ古竜は剣士ではないから、わからないか。しょうがない。
今はそれより聞いておかねばならない。
「どんな剣士でしたか?」
「刀身のない剣を使う、剣士でした」
「刀身が……ない?」
「はい。やつが剣を抜いても、刃が見えなかったのです。で、次の瞬間、殺されていました……」
おやおや。
刃のない剣……か。
「そんなもん存在するのか?」
「いちおう、闘気剣というものは存在します」
「闘気剣? なにそれ」
「闘気を刃に変える技術です。闘気使いでない人間は、闘気が見えないですからね」
だから、見えない剣に見えなくもない……が。
ふむ……。
「なんか釈然としねえ顔してるな」
「ええ、自分で言っていてあれですが、闘気剣ではないようなきがします」
「根拠は?」
「闘気剣で攻撃したにしては、切り口が見事でした。闘気剣はこう……」
私は手で手刀をつくり、降る。
ずばんっ!
村の外の木が、今ので切断された。
「ええええ!? え、何今のえぇ!?」
「だから、闘気剣です。手刀に闘気をあつめて、刃にして、きりつけたのです」
私は古竜たちを手招きして、倒したばかりの気のそばへとやってきた。
「見なさい。少し、断面が荒いでしょう?」
「え? そう……?」
ふぅ……やれやれ。
このレベルを理解できないとは。
「修行が足りませんね」
「いやまあそれは否めないけどよぉ」
「闘気剣で切ると、どうして、このように少し表面がざらついてしまうのです」
闘気を勢いよく吹き出し、刃にしてるので、その勢いの分だけ切断面が荒くなってしまうのだ。
一方で、私の見た死体の切断面は、恐ろしく平滑だった。
「んじゃ、闘気剣じゃないとして、どうやってドワーフらを倒したんだよ」
「さぁ、わかりません。が……戦えば自ずとわかるでしょう」
私は木刀を抜いて構える。
木の陰から、ゆらり……とその人物が姿を現したのだ。
「敵のお出ましです」
おそらく、村人達を惨殺した、剣士のでましだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます