第115話 村



 氷鬼の眷属を倒した。

 まあ、全員たいしたことない連中で助かりましたね。


 王都ウフコまではもう少し距離がある。

 どこかで止めてもらえる村があるといいのだが。


「ん? 見ろおっさん、村だ! しかも氷の結界に包まれてねえぞ!」

「おや、本当ですね」


 進んでいった先に小さな村があった。

 古竜が言うとおり、氷鬼が張った結界がない。


 これはどういうことだろう。

 ……なんだか嫌な予感がする。


「ひゃー! 寒かったからあっためさせてもらうぜい」


 ざふざふ、と古竜が先に進んでいく。

 まったく、何があるのかわからないのに。無警戒すぎるのだから。


「ふぎゃー! おおおおお、おっさぁああああああああああん!」


 先に村に入った古竜の悲鳴が聞こえてきた。 私も急いで村に入る。


 ……そこは、まさに地獄絵図とも言える光景だった。


 ドワーフたちが全員、殺されている。

 バラバラ死体があちこちに転がっているのだ。


 ……むごい。

 

「猿か犬のせいかな?」

「でしょうかね。氷鬼の闘気オーラが残っていますし」


 ……しかしこんな酷いことをしてなんとも思わないのだろうか。

 酷い連中だ。


「おっさん、どうする?」

「これならなんとかなりそうです」

「え!? で、でもバラバラ死体じゃ……」


 私は近くに落ちてる死体を集める。


「まずは白色闘気で肉体を修復」


 バラバラだった死体が、元通りになる。


「そして、黄金の闘気オーラで、死者の魂を元の肉体に戻す」


 亡者どもが、死者の魂を引きずり込もうとしていた。

 私は黄金の闘気オーラを纏わせた剣で亡者を切る。


「う……ここは……」

「おはようございます。私はアレクサンダー。ネログーマの副王をしております」


 とりあえず目覚めた村人に事情を説明する。

 その後ろで、古竜があきれたようにつぶやく。


「なんか普通にやってるけど、死者の蘇生してるのってだいぶやべえよな……」

「古竜さん。ボンヤリ見てないでこちらを手伝ってください」

「へいへい」


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る