第11話

 世界で一番強い魔女だった彼女は孤独が苦手だった。遠い昔に、悪魔の気紛れで魔女にされた人間それが彼女で、まだ、幼かった彼女は自分が魔女になったことを魔女狩りで捕まり殺されかかるまで気付くことはなかった。


そして、周りを見渡した彼女は絶望した。


彼女を殺そうとした大人、彼女に優しく接してくれた村人たち、幼なじみたち全てが喪われたから

理不尽に殺されることへの怒りで我を忘れ火を放たれた恐怖で我を忘れた。

全てが灰へと変わっていた。

気づいた頃には側にいた存在を家族だと思って愛した、それが悪魔だと分かると彼女の人生は堕ちた。人ではない自分に絶望した。


 悪魔との契約で自ら死ぬことすら出来ない

彼女は自分を滅してくれる存在を探すため世界中を巡り、殺されるために自ら戦いの火種をまき、自分に敵意が向くように振る舞い続けた。

 それは、人間、魔法使い、悪魔、神、天使

全ての存在を敵に回した。

 だが、殺されるどころか、彼女は勝ち続けて

魔力が強まっていくだけ、彼女に勝てる存在は世界にいなくなった。

 力が有りすぎる彼女は仲間である魔力使いたちにも疎まれ、人間たちにも恐れられ誰も彼女に近づがなくなった。


 一匹の悪魔を除いては

その悪魔は人だった彼女を魔女にした張本人で

唯一、彼女の心配をしてくれる家族のような存在だった。


 しかし、悪魔で人間を知らない彼は愛しい存在を

どう扱えばいいのか。全く、分からずに彼女が孤独を嫌う理由も理解ができなかった。

 2人は家族であって、他人でもあった。


そして、彼女を恐れるあまり同じ場所に留まれば、彼女を殺そうと人間、魔法使い、悪魔など様々な種族が襲ってくるので安住はなかった。

 体は、悪魔の契約で元通りになるし、疲れることなんて無いのに心は、少しずつ彼女を弱らせていき

癒えることは無かった。


 彼女が寂しくて寂しくて壊れてしまいそうになっていると、ある戦火の残る村で泣き叫ぶ赤ん坊を見つけた。周りには火と焼け落ちた家屋、原型のない死体たち、生きている人間は赤ん坊だけで

 赤ん坊は泣き続けて、彼女に救いを求めたが

コゼットはすでに人間に興味が無くなっていた。


 彼女を見る人間たちは恐れた表情

それか、戦火を広げた原因である彼女に怒りを込めた眼差しでしか彼女を見る者はいなかった。


 彼女が居れば、彼女の力を恐れる者たちが戦争を起こし、近くにいる人間たちは巻き込まれ死んでいたので彼女は人間に疎まれていた。


 コゼットが冷めた眼差しで赤ん坊を見つめると

赤ん坊は、泣き止み彼女に向かって微笑み返した。


 彼女は、自分を恐れない赤ん坊を護ってやりたいと感じ始めていたら、温かい気持ちになり

思い立って赤ん坊を連れ人間たちや追っ手の手の届かない場所で彼を育て始めた。


 赤ん坊にはウィリアムと名付け、彼と過ごす穏やかな日々が彼女の心を少しずつ人に戻していった。

 ウィルは成人し大人になると彼女の元を離れ人間たちの世界へ旅立っていった。


 また、孤独が彼女を襲う。

彼のために作った城で何年もの間、彼女はヨゼフと過ごしていたが、孤独が彼女を支配し、彼女は自分だけの家族を創ろうと城であらゆる魔法や錬成を試し長い年月をかけて、ようやく、自らの子を宿すことができた。

 そうして、彼女は七人の子を創ることが出来たのだった。

 七人すべての子が生まれながらならに魔法が扱えた。七人の娘たちを愛し育てる日々はすぐに終わり

 コゼットの娘たちは大人になると彼女を置いて

外の世界へ旅立っていった。


 でも、彼女は悲しむこともなく娘たちを城から見守りながら静に暮らしていた。


 何年も時がたつと、娘たちの居場所もそれぞれ落ち着き、彼女たちは自分の国を持つまでに成長して強く美しく育っていたが、人間たちは

 大魔女たちに国を奪われ、恐れる余り彼女たちが納めている国に攻め込むが力の差は歴然で敵うことは無かった。


 人間を統治し、自らの居場所を勝ち取った娘たちは自分の興味があることに国の仕組みを創った。


 その結果、人間たちは、魔女の奴隷として生きる選択しか与えられなかった。


 しかも、彼女たちはコゼットを七等分したような性格の持ち主たちで国それぞれで彼女たちの欲望のまま人間は従うしか無かった。 


 ちょうど、七人の数が人間が嫌う大罪の数と一緒だったこともあり魔女たちは人間たちから皮肉も込められ大罪の大魔女と呼ばれるようになる。


 そう呼ばれるほど、彼女たちの欲望は皆それぞれ人間たちを苦しめた。


 長女 

 傲慢の大魔女は

理念なき政治 で気が向いたまま政策を変え、飽きると新たな政策を考えて実行し

その度に国を逃げ出そうとする人々を縛り付けた。

統治国は新インド


 次女 

 怠慢の大魔女は

 労働なき富 で強制的に国の民を働かせ自分は政治にすら参加せず富だけをモノにしていた。

統治国は新中国


 三女 

 色欲の大魔女は

良心なき快楽 で人々を堕落させ、国自体を歓楽街のように作り替えると住んでいた民に売春させ、快楽と富を獲ていた。

統治国は新フランス


 四女 

 憤怒の大魔女は

人格なき学識 を求め続け

人間で知識欲が無い、出来の悪い人間達を怒りに任せて次々と殺していった。

統治国は新ドイツ


 五女 

 暴食の大魔女は

 道徳なき商業 で民を休むことなく働かせ、死んでも葬ることもなく自分の腹を満たす道具として人間を使い続けた。

統治国は新アメリカ


 六女 

 強欲の大魔女は

人間性なき科学 を求め続け魔法ではなく科学に取り付かれ人間を実験台にして、飽くなき知識を得ようと暗躍していた。

統治国は新ボリビア


 七女 

 嫉妬の大魔女は

献身なき信教 で皆が自由に、神に祈ることが出来ぬよう人々を操り、自分だけを崇拝するように支配した。

統治国は新日本


 大魔女たちの横暴さは目に余り人間たちは耐えきれず、魔女たちを駆逐しようと考えた。


 そうして、大魔女たちを産み出した始まりの最古魔女である彼女の弱みを探りあて、彼の存在に気づいてしまった。


 ウィリアムが世界で唯一コゼットが心を許した人間として彼を捕らえ、彼は魔女狩り裁判にかけられた。コゼットを葬るために


 彼女の居場所は結界によって、人間には辿り着けない場所だったので人間は彼を利用するしかなかった。彼が処刑を受ける寸前でコゼットが

 人間と契約を結び人間が有益に立てるよう首輪まではめウィルを救いだした。


 コゼットは、娘たちを説得し、それぞれに首輪をはめさせ世界の均等は戻りつつあった。


 だが、人間は強欲な生き物なので


 首輪をはめさせ、彼女らの真名を国の代表のみが知りつつ魔女を利用し国に富と平和を望み彼女たちに懇願した。「そのまま、居続けてほしい」と


 彼女たちに取っても、命を握られていることもあり逆らうことはできない。


 国を治めて、人間に利用されるようになった。


 人間の強欲さは止まらず、他国が欲しいと魔女に頼めば彼女たちは従い人間を殺して国を奪いにいった。国を護るためにと命令されて多くの人間も殺した。


 そのために彼女らは多くの人間恨まれるようになった。暫くたつと、それぞれの国から大魔女の力を持った人間が産まれて来るようになる。


 新人類の誕生を、何の力も持たない弱い人間は恐れる余り迫害していった。


 そして、魔法使いを生み出す元凶である大罪の大魔女たちを殺してしまおうと組織を作り上げ、人間を護るためと理由を作り民を先導して、魔女を殺していった。


 三女、四女、五女、、そして

 次女と大魔女は駆逐され続けていく。


 コゼットだけは契約していた

悪魔が首輪をはめた瞬間に消え失せ

心臓に呪詛をかけることが叶わなかったため

人間たちとは契約を結ぶことは無かった。


 だがウィリアムと死の約束をしてしまったために

行動は彼の言葉に縛られることになった。


人は殺せなくても十分に力はあったため彼女が人間の脅威であることは変わることは無かった。


人間はコゼットには敵わない


その、彼女の願いで増え続け、大魔女の子孫たちとして大半が殺され絶滅しかけていた魔女の落とし子たちに人権を与え魔法と人間の共存が始まった。

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