第8話
保健室にて。
「なんかこれ、皮ちょっと剥けてないか?」
「やりやがったな、アイツ……」
デコピンを喰らったところに触れると少しだけ血が付いたので、保健室に移動した。移動中、グラジオラスと出会い、「うわ…」と言われたので、強制的に付いてこさせた。
「公爵令嬢を怒らせたのか?」
「殿下がな。マジでふざけんなアイツら…」
「まあ前髪で隠れるし、大丈夫だろ」
「ん。ありがと」
因みに「うわ…」と言った理由を聞いてみると、" 俺と居ると面倒なことになるから "らしい。どういう意味だ。
「スターチアは元気か?」
「ああ。お前に心配される必要もない」
「そうか。ならいい」
会いたくないと聞いたときは驚いたが、意外にも馴れてしまうものなんだな。
ここ最近、いつもより忙しかったというのもあるかも知れないが。
「そういえば、チアから預かりものがあるんだった。お前宛に。明日の放課後、僕の部屋に来い」
翌日の午前の授業は、あまり頭に入らなかった。
( スターチアから、俺に?嫌われていると思ったのに。…はっ!まさか『今後二度と近づくな』的なことが書かれた手紙か!?うわ…、傷つく………。本当にそれだったらキツイな……… )
ゴスッッ!
「いっでぇ!」
悶々と思考を巡らせていた頭に鈍い痛みが這う。振り向くといつの間にか、マリーソワと殿下がいた。
「やっとこちらを向きましたのね。いくら呼び掛けても反応しないものですから、ついつい、手刀をいれてしまいましたわ」
「……おかげさまで考えていたことがキレイサッパリですよ」
「ははっ。よかったじゃないか。ぐるぐると考え込んでいても、結論は出にくいからな」
「ほら。食堂へ行きますわよ」
いつの間にか昼休みになっていたらしい。
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