第5話

「いや、あー。4人で言ってたんだ。お互いの子供を結婚させたい、みたいな、ことを…」



曰く、お互いの子供を結婚させたら両家の地盤もよくなるんじゃね?と思ったらしい。


曰く、お互いの子供が結婚したら面白いよね、と思ったらしい。


曰く、ほぼノリで決まったらしい。



「いやあ、うん。言ってて欲しかったよね、そーゆーこと。うわあ、父さんにここまで怒ったのハジメテー」

「ま、まあまあ。その人も大変だったんだから。許してあげて?」

「…それは分かりますけど」

「だろぉ?それに女の子が産まれるとは思って無かったんだよー」

「いや、だとしても貴方たちは言う暇ありましたよね?」


ああ…目ぇ逸らしたよ、この夫婦。動きが全く一緒だね。仲良く忘れてたな?


「はぁ…、まあ良いですよ。なにか書類とかがあるわけじゃないですし」

「「「………………」」」


おっとぉ?3人揃って黙りこくったぞ~?


「なんかあるんですか?」

「「「…………………………」」」

「なんか、あるん、ですね?」


スッ………


一枚の紙を差し出してきた。受け取ってよくよく読んでみると、要するに。


・どちらかに女児、どちらかに男児が産まれたとき、この2人を婚約関係にする。


・どちらか一方が婚約を拒否した場合、これは無かったこととする。


・どちらか一方が婚約後、不貞を働いた場合、家ではなくその者に賠償金を請求する。


コイツらはぁ…(#^-^)。


貴族の生まれである以上、政略結婚は仕方がないと思っている。愛の無い結婚も、相手と良好な関係でいられるのなら別に良いとも。


ノリで決められるとは思わなかったけど。

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