第4話

あれは確か、俺の13歳のバースデーパーティーの晩だった。


珍しく、我が家に伯爵家の4人が泊まったんだ。伯爵夫妻とグラジオラス、スターチア、俺に父だけのちょっとした会食。


いつもより、少し豪華なだけの食事。テーブルに花瓶を一つ、飾っただけの部屋。華やかではない。むしろ質素な、パーティーとは言えないようなものだった。

 それでも楽しかった。

庭から摘んできたような花束と、タイピン、ペンをプレゼントしてくれた。

 嬉しかった。



グラジオラスとスターチアが寝た頃、俺は父と伯爵夫妻に呼ばれていた。


「いや~、本当に大きくなったねえ。うちに来たときはこーんな小さかったのに」

「お前、爺さんみたいなことを言うようになったな」

「そりゃあ、小さい頃はお前より長くいたからな。な~」

「ですね~」

「やだ、プラニュモスくんたら。他人行儀になっちゃって」


お二人は昔と変わらず接してくれる。これから先もずっと、今の関係が続くと思った。


「このままチアとの婚約も進みそうで何よりだよ」


ん?


「そうね。ジオとも仲良くしてくれているし、いい義兄弟になりそうね」



ん?



「ああ、両家の地盤も安定するだろうな」




ん?




「ラースはどう思う?チア嬢との婚約について」


え?説明は?


「え?説明は?」


俺は相当なアホ面をしていたことだろう。3人は、何故かキョトンとしている。

いやいや、なんっっにも聞いてないからね?俺。そんな話知らないよ?

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