第12話 ボッチ井戸の異物混入対策をする
その夜はその集落の広場を借りて野宿した。夕食はここの住人に提供したおかゆを食べてみたいとリクエストされたので1品目はおかゆにした。それだけだと夜中に腹が減るだろうと物々交換マーケットで冷凍食品のドリアを1人2個ずつ提供した。
翌朝は今日1日様子を見たいとのバリュウさんの意見で次の出発は翌朝以降の予定となった。
ということで今朝の朝食はツナマヨパンとサラダ、雉肉とタマネギ,白菜のコンソメスープ(味付けは塩コショウで)を提供する。
それはそうとこの集落の食糧事情はどうなってるのかな?昨日まで皆病人だったし、市場まで買い出しに行って無いだろうし。
「先にアネモネイトに救助を求めに行ったデビットが帰ってくるまで食料は底をついていますじゃ。残っていた野菜も肉も腐ってしまっておりますですじゃ」
村長さんが悲しげに言った。
「2日分くらいの肉と野菜を提供しますから、元気になった人達に市場に買い出しに行って貰って下さい」
「俺はストレージに収納してある食材を取り出して、集落の共有財産のマジックバッグに入れさせた。肉はラビットとかウルフとかの普通に流通している肉だ。さすがにサンダーライガー・デザースターの肉は出せない。熟成させたり柔らかくするために色々下準備しないとあの美味さを引き出せないしそのままだと固く不味い肉だそれこそ宝の持ち腐れだからだ。
若者たちが買い出しに出発したのを確認してから、大切な井戸に異物が入らないように細工をする事にした。
井戸の上には雨水が入らない様に屋根はかかっているが横はがら空きだ。
井戸に蓋をしないといけないけれど水をどうやって汲みだすかだがここは定番のガッチャンポンプ(手押しポンプ)かな?いやいや電動ポンプにしよう。電動を魔道にかえて蛇口をひねった時にスイッチが入るものを選んで不壊魔法と井戸全体にクリーン魔法が発動するように蛇口に細工して置いた。頑丈な板で蓋をしてポンプを設置する。井戸全体とポンプを保護する囲いを結界で作る。人から見えない位置に結界を発動する魔石を取り付ける。空気中の魔素を取り込んで魔力に変換するのでポンプも結界も半永久的に使えるようにしてある。
さいわいこの町は冬でも凍結することが無いので簡易凍結保護装置で済む。心配な時は蛇口を少し開けて少量の水を流しっぱなしにするように注意書きを貼り付けておいた。
集落の人達に集まって貰い、1人の少女に蛇口を右に回してもらうと水が出た。
「「「「おおーーーー」」」」
人々は驚きの声を上げる。
もっと右に回すと激しく水が出る。左に戻すとちょろちょろと出る。小さなコップに静かに水を
俺はリヤカーに木桶を乗せて、蛇口にビニールホースを繋いで木桶に水を流して溜まったら止めてもらう。
非力な老人にリヤカーを引いて貰う。
「いやーこりゃ凄い!儂でも重い水桶を運ぶことが出来るぞ」
「あたしにも貸しておくれよ…………ホントだ軽い軽い」
荷車や馬車が普通に存在する世界だがゴムタイヤは無い。このリヤカーを見本にしてこの世界独自の車輪を開発して貰えばいいかなと思う。
「いやーこれはとんでもない代物ですなあ。この井戸とこの荷車で大金貨100枚は取れますぞ。(1000万円)(大金貨1枚=10万円)
この集落に残していきますから技術屋さんを呼んで仕組みを学んで似たようなものを作って貰って構いませんよ。但しこのポンプは簡単に真似出来ないでしょうから人力で汲めるポンプを他の場所で取付けて上げます。別に見本をおいておきますから。好きにばらして原理を解析して似たようなものを作って広めてくれて結構です」
「それは有り難い。これはこの国をあげて本気で取り組むべきことですぞ。一度王都に行ってそこで設置してください。しかるべき代価は保証しますぞ。もっとも私が勝手に決めるわけにはいきませんがね」
どうやら王都に行かなければならないみたいだな。
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