第10話 ボッチ厄災を消滅させる
1本当たり魔力量100万の魔力矢を10本纏めて2㎞の距離で放った。弓矢のスキルを何度も使っている内に【遠見】のスキルを覚えることが出来ていたのがありがたかった。2㎞先の敵の小さな眼と眉間がすぐそこに見える。それと【命中率上昇】のスキルを合わせることで、命中精度が格段に上がっている。
この敵に対しても狙い
奴の走行は停止した。
奴は断末魔の咆哮をあげて、【サンダーブレス】を吐き出そうと大きく口を開けた。
雷には雷を。矢に雷魔法を付与して1000万の魔力を与えて、開けた大口の中へ放った。
とんでもない雷鳴を伴ってその矢はモンスターの口中で、大爆発を起こした。その瞬間奴の頭部の周囲に花火の様な稲光を巻き散らかした。目が潰れるような激しい光が収まった後サンダーライガー・デザースターの頭が消え去っていた。小山の様な身体は力なくその場に
奴の生命は失われていた。
俺は奴の所まで転移した。
死体をストレージに収納すると同時に体内から魔石を取り出しておいた。解体機能は有るがギルドで討伐した証拠にするために身体をそのまま残しておいた。
遠くから討伐の一部始終を目撃していた商隊の皆の所に転移した。
「凄い凄い!厄災のサンダーライガー・デザースターをたった1人で、しかも弓矢だけで倒してしまうなんて、カズオあんた一体何者なのだ?」
リラさんが興奮して俺の肩を掴んで揺さぶった。頭がガンガンする。金属製のバストを保護する鎧が当たって痛い。下手に力ずくでやめさせると彼女の腕を折ってしまいかねない。
「リーダー、カズオが可哀想だよ、
弓矢の子のユミリがとめてくれて助かった。
しかし新たな災難に襲われることになった。
「師匠、カズオ師匠。あたしを弟子にしてください」
ユミリが俺にしがみついて来た。
(ごめん。俺、ロリコンじゃないんだ)
ユミリが何歳か判らんけれどシャイーもシノブも中学生くらいにしか見えないのだ。
「ずるいよユミリ。カズオ先生わたしに魔法を教えてください」
シャイーまでが迫ってくる。
「うう、なんでカズオは短剣を使わないのう。うちだけ仲間はずれ……」
シノブまで涙目で絡んできた。
「こういうの慣れていないんだよ助けてリラさーん」
俺の叫びは虚しく山彦になって消えて行った。
リラさんまで俺の首に腕を絡ませて抱き着いて来たのだ。
だから抱き着くのは鎧を外した時にして欲しい。
「羨ましい光景ですなあ」
商人さんのゲッズさんがほほえましい物を見るように言う。
俺は叫ぶ。
「みんなー今すぐ俺から離れないともう2度と飯作らないぞー!ハウス!」
なんということでしょう、その魔法の言葉で乙女たちはサッと離れてくれたのだった。
(よっしゃー次何か有ったらこのセリフを言おう)
心の中で小さなガッツポーズをとる俺だった。
その日の夕食はサンダーライガー・デザースターのバラ肉を錬金空間で急速熟成させて筋切りして叩いて柔らかくしたライカツ丼だ。肉を切り取った部位は回復魔法で見た目ではわからないようにしてある。決して詐欺行為をするつもりは無い。肉は売らないし、毛皮にしたときに傷が無い方が高く売れるだろうからだ。
さて味はどうかな?
肉食動物の肉は不味いという先入観が有ったので心配していたが
鑑定で調理方法によっては高級和牛に匹敵する美味しさになるとあったので、頑張って挑戦してみたのだ。
「「「「美味い美味い」」」」
「「「「柔らかくてとろけるーーーー」」」」
評判は上々だ。ようし次はステーキで出してみよう。
「これを食べたのは我々が世界初でしょうなあ。この料理だけでも金貨100枚の価値が有りますなあ」
「カズオさんに料理をお願いして大正解でしたなあ我々は幸せ者です」
「そんな大袈裟な」と俺。
「いいえ、決して大袈裟ではありませんぞ」
「さようさよう。われわれは国王陛下より先に幻の料理を食べさせていただきました、有難う御座います」
「「「いかにもいかにも」」」
喜んでもらえて良かった。
さて明日は今日の遅れを取り戻して伝染病の特効薬を届けなくてはな。
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