第8話 ボッチ食事を振る舞う
日が暮れる前に目的地に着いた。皆それぞれに野営の準備を始める。俺はそこを覆う防御結界を張った。自分のテントを張って夕食の支度を始める。
皆それぞれに準備するが干し肉と堅いパンが普通らしい。
俺が魔道コンロで大鍋のスープを温めていると。その匂いにつられてみんなが集まって来た。
「容器を持っていたらスープを分けてあげるよ」
というとみんなが容器を差し出してきた。
お玉でよそってあげる。
「なにこれとっても美味しい」
喜んでもらえたようだ。
自分の為のカツサンドを食べ始めるとみんなの目が怖い。
「1人分銅貨5枚でなら売るよ」
「売って欲しい」
商人さん達から声が上がった。
「あたしも欲しい」
「俺達も」
結局全員が買うと言う。
「試食用に1個ずつ上げるから口に合うかどうか食べてみてから買うかどうか決めてくれ」
「「「「「了解」」」」」
試食すると全員が2人分ずつ注文してくれた。
「なにこれ、パンが白くて柔らかくてとっても美味しいこの挟まれたお肉も茶色い衣も凄く美味しい」
大好評だ。
商人さん達が集まって何やら協議している。
カズオさん、ものは相談なのですが、食材に余裕が有ればですが、
今回の道中朝夕の食事を作って頂くことは出来ませんか?
勿論代金はお支払いします。1日銀貨5枚で朝夕19人分いいえ、貴方の分も含めて20人分占めて1日金貨10枚(10万円)でどうでしょうか?
「えっ高過ぎませんか?」
俺が言うと
「いえいえこれは王都の貴族御用達のレストランの料理よりも格段に美味しい料理です。貴重な食材を提供して頂けるのならまだまだ安い物です。冒険者の皆さんはどうですか今回の依頼につき今回の護衛依頼の食事についてはこちらが負担しますが」
「よっ太っ腹。大歓迎よ」「今回の依頼受けて良かったね」
みんなの喜びようをみたら断るわけにもいかないな。
「承知しました。今回だけ特別に引き受けさせていただきます」
「「「わー!やったやった。楽しみ楽しみ」」」
ということで俺は明日の朝食の下ごしらえの為に準備を進めていると
「シュイーどうしよう今朝トイレ寄ってこなかったので行きたくなっちゃった」
弓の子がシャイーさんに相談している。
こんな時こそ携帯トイレの腕輪の出番だ。
「シャイーさんこれを使ってみませんか?これを腕に嵌めて頭の中でトイレと念じたら亜空間の特別なトイレに行けますよ。使い方が頭に浮かんでくるのでそれに従ってください」
1個の腕輪で2室のトイレを使えるので1人だけだと心細いかも知れないと思って作って置いた女子用連れしょんバージョンの腕輪だ。
「有難う御座います。ほらユミリこっちきて」
2人手をつないで仲良くお花摘みタイムだ。
明日の朝食は肉入り野菜炒めとトーストバター塗りにしようと思う。トーストは6枚切り4枚。それに卵スープかコーヒー付きだ。
シャイーとユミリが帰ってきた。
「「凄い凄いとんでもない高級トイレだった!」」
二人共顔を赤らめて興奮状態だった。
そうだろう。なにしろ温水シャワー式水洗トイレクリーン乾燥付きなのだから。この世界での初めての体験者なのだ。
その声を聞き付けた商人さんが集まって来た。そこで全員に貸し出して感想を聞くことにした。任務が終わる時に回収する事にした。因みにお値段は1個金貨10枚(10万円)
値段を聞いて二の足を踏む人たちには10日用のトイレ不用の魔法薬をお勧めしよう。これなら銀貨1枚で済む。冒険者達が交代で夜の見張り番をするらしく2人1組で3交代らしい。俺は食事の準備で免除になった。
その夜は何事もなく過ぎて行った。
翌朝の朝食も大好評だった。
「あの柔らかいパンを焼いて固くさせるなんてと思ったけれどサクサク感と香ばしさが増してバターが染み込んでとっても美味しい」
「パン4枚だとちょっと少ないので追加で注文出来ませんか?」
俺は「いいですよ昨日のサンドイッチと同じで良ければ銅貨5枚で1人前追加ということでどう?」
「「「「「買った!」」」」」
「私はこのコーヒーのほろ苦さと砂糖とミルクを加えると甘くて美味しくなるのも素敵」
「カズオさん。街でレストランやりませんか?大儲け出来ますよ」
「そうそうあの魔道具や魔法薬の店を出しても成功出来そうですよね」
お「いやいや、せっかく冒険者になったばかりなのに転職する気なんか無いっすよ」
「そうさなあ、カズオ殿はすぐにもAランクに上がるだろうからな」
リラさんが擁護して呉れた。
そお、俺にはナビちゃんから依頼された秘密のミッションが有る。それを無事達成して1人だけのスローライフを楽しむんだからな。
その日日中は何事もなく予定地に到着。夕飯は特別に雉肉の唐揚げを振る舞った。主食はマーケットで交換した焼きそばパンだ。
飲み物は水魔法で出した飲料水かコーヒーか、紅茶か卵スープを選ばせた。
今はまだ任務中なのでお酒は出さない。任務遂行後の打ち上げでなら出してもいいかな。
思いがけなかったのは人気の飲み物は俺が魔法で作った良く冷えた美味しい飲料水だった。普通旅には生温い水くらいしか持って運べないからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます