第7話 ボッチ盗賊と遭遇する

 一緒に警護にするパーテイー2組と顔合わせして出発した。

今回は護衛のメンバー9人が商人馬車を5台に分乗して疲れない様にするのだ。俺は前から3台目の馬車に乗って馬車隊の前から後ろまですっぽり覆う防御結界を張っておく。

 ついでに常時敵感知レーダーを張る。1日目の夕方、レーダーに影が映ったその数50。大規模盗賊団だ。

俺は大声で皆に警戒用の合言葉を伝えた。


 商隊は後方が見晴らしの良い草原の広場に馬車隊を止めて盗賊の襲来に備えた。俺は当然馬車隊に防御結界を張っておく。これは俺が死なない限り壊れることは無い。


 盗賊団は道の片側の街路樹の上や木の陰から弓矢や魔法で攻撃してきた。

防御結界に当たって矢は落ちて魔法は消えた。

矢は消耗品なので、敵の撃った矢をストレージに収納しておく。この世界での弓矢の規格は1種類しかないので有難く使わせていただく所存。


俺は結界の外に出て馬車の幌の上に足場の結界を作ってそこから木の上と木の陰に居る敵に目標を定めて斜め上空に人数分の矢を放った。矢はそれぞれの目標に自動誘導で上から横から後ろから邪魔物を避けて行き1矢も外すことなく敵を仕留めた。

 レーダーに草原側に走る影を捉えた俺は矢を真上に放って誘導で倒した。一気に10人を失った盗賊団は諦めて逃げ去るかと思いきや、30人が一挙に躍り出て襲って来た。


打ち合わせ通り、他の2パーテイーの出番だ。

俺はまだ隠れている10人の動きを監視する。


味方のパーテイーは男だけの4人組Cランクの【獅子の咆哮】

女性だけのBランク4人組の【紅の翼】、今回の合同チームのリーダーは、このパーテイーのリーダーのAランク剣士のリラさんが務めている。身長180㎝超えのスタイル抜群の美人さんだ。

獲物はまさかの大剣だ。盗賊の大男を見事な剣裁きで薙ぎ倒し弾き飛ばしている。流石Aランクだ。

他の女の子は魔法使いの子と短剣使いの子、弓矢の子。それぞれに活躍している。


 Cランクの【獅子の咆哮】はまだ若い10代の少年達のパーテイーで普通の剣使いが2人、魔法使い、拳闘士の近接戦闘向きのパーテイーだ。そのパーテイーに盗賊の強力な氷魔法が襲った。俺は慌てて彼らに結界を張ったが一瞬遅れてしまって、1人に大怪我をさせてしまった。俺はその子に駆け寄って【奇跡の湧水】を

上級ポーションだと偽って飲ませた。たちまち怪我が治りメンバーを唖然とさせた。

氷魔法を放った男を特定して俺は風魔法で上空に舞い上げてそこに高速のフアイヤーボールを打って仕留めた。


 俺はリーダーのリラさんに、隠れている盗賊10人を殲滅してもいいかと確認した。

「え、そんなに残っているのか?頼む全滅させてくれ!」

言質を取ったので遠慮なくやらせてもらおう。

俺は隠れている奴らの頭上に転移して強化した矢を頭に直接突き刺しては次の獲物に転移する。結果10秒で殲滅完了。


「こっちは片付いた。後は任せてもいいか?」

「えっ、もう?!。判った。任された。お前達、もたもたしてると彼に手柄を独り占めされちまうぞ!意地を見せろ!」

「「「「おおー」」」」

「「「判ったわ」」」

俺は、俺が倒した盗賊共をストレージに次々収納していった。

その間に残党も始末されていた。


商人さんは全員無事。傷を負った冒険者は自前のポーションで治療していた。


盗賊は賞金首の【皆殺しのギャラン】を頭目とする【黄昏のむくろ】と言う悪名高い盗賊団だった。頭目の姿が見当たらないので俺の倒した連中の死体を出してみると隠れていた10人の中にいた。幹部連中も俺が倒していたのだった。

というわけで盗賊団50人中22人が俺、リラさんが12人。【紅の翼】の女の子達3人で10人を、残り6人を【獅子の咆哮】のメンバーで倒したことになる。

さて、後処理だが【紅の翼】は魔法使いの子がマジックバッグを持っていたのでそれに死体を入れて行くとのことだったが、【獅子の咆哮】には持っている者が居なかったので、彼らが倒した分にロープで両足首を縛って目印にして俺のストレージに入れて行くことになった。

俺のストレージ内は食料品と、死体は別のスペースに分けて入るので決して不潔では無いのだが、精神衛生上宜しくないので、そっれっぽいバッグを食品関係専用のマジックバッグに作り変えて腰に付けている。もしも盗賊がマジックバッグかマジックボックスを持っていたら、ギルドで中身を確認した上でバッグは【獅子の咆哮】にプレゼントする事にした。

「俺の命を高価な上級ポーションを使って治してくれた上、マジックバッグまで呉れるなんてあんたは神様か?」

俺が助けた少年が泣いて感謝した。

「待って待って、奴らがマジックバッグを持っているかどうか、まだ判らんぞ。糠喜びさせてしまったら後免」

俺が言うとリラさんが言った。

「こいつらクラスの盗賊団のボスなら持っているだろう。なあシャイー」

「そうだね、あたしのこのバッグも以前盗賊団討伐の時にボスを倒して手に入れた物だしね」

魔法使いの子はシャイーと言うらしい。


 その後その周囲をクリーン魔法で血の跡を消して,傷んだ道路を土魔法で整地するとメンバーや、商人さん達に驚かれた。

 「何種類も魔法を使えて、弓矢の腕前は百発百中。あんた本当にCクラス?」弓矢使いの女の子が目をキラキラさせて言った。

「そうだよ昨日冒険者登録したばかりの新人さ。でもド田舎のダンジョンで鍛えられてきたから魔物討伐には自信が有る」

「「「盗賊も魔物扱いかよ!」」」

皆の声が揃った。


 結界を消して消耗品の矢を回収して(自分の分の矢の他に盗賊団の矢も有難く頂いておいた。でも味方の分の矢はクリーン魔法で消毒して返してあげた)


他に盗賊の影も見えないので、次の野営地目指して出発した。

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